『公園、説話、駄菓子』
;SE：歩く音
;ボイス位置：３ 隣で
【真理愛】
「申し訳ありません、あなたの分もお支払いするつもりが、逆に奢ってもらっちゃって」
【真理愛】
「私から誘ったことですのに」
;ボイス位置：３ 囁き
【真理愛】
「奢っていただいた分は、あなたを癒す事で返しますから楽しみにしていてくださいね」
;ボイス位置：３ 隣で
【真理愛】
「公園が見えてきましたね」
【真理愛】
「深夜の公園ってなんだかわくわくしてきませんか？」
【真理愛】
「真っ暗闇の中、街灯と月明かりだけが遊具を照らしていて、現実感から少しずれた幻想的な風景」
【真理愛】
「そして、私たち以外誰もいないんです」
【真理愛】
「近所迷惑にならないように、ここでこそこそと静かにお話をしましょう」
;ボイス位置：３ 囁き
【真理愛】
「きっと、楽しいですよ」
【真理愛】
「よいしょ」
;ボイス位置：１ 前から
【真理愛】
「最近は公園のベンチも綺麗で肌触りがいいものも増えてきましたよね」
【真理愛】
「良い変化だと思います」
【真理愛】
「ほら、あなたもお隣へどうぞ」
;ボイス位置：７ 隣で
【真理愛】
「早速ですけど、ご飯にしましょうか」
【真理愛】
「飲み物は冷たい内が美味しいですしね」
【真理愛】
「はい、あなたの分のスムージーですよ」
;SE：スムージーのカップにストローを突き刺す音
【真理愛】
「それでは、乾杯！」
;SE：プラスチック同士がこつんと当たる音
【真理愛】
「ちゅううううっ」
【真理愛】
「うーん！ 美味しいですね～」
【真理愛】
「真夜中に甘いものを飲むという背徳感が、さらに美味しくしてくれているような気がします」
【真理愛】
「シスターなのに背徳的でいいのかって？ 良いんですよ」
;ボイス位置：７ 囁き
【真理愛】
「私はちょびっとだけ、わるいシスターですから」
;ボイス位置：７ 通常
【真理愛】
「一応体には気を付けていますけどね」
【真理愛】
「深夜にお菓子を食べるとカロリーが２０倍になるとか言ったりするじゃないですか」
【真理愛】
「だから食べた後は運動をする、とかですね」
【真理愛】
「私の場合は、ゲームで運動しています。あとはお散歩を少々」
【真理愛】
「だからなんとか体型は維持できています」
【真理愛】
「シスターの服はシンプルな分、ラインが際立ちますから、気を付けないと大変な姿に……」
【真理愛】
「まあ、今は今、あとの事は未来の私に任せるとしましょう」
【真理愛】
「では」
;SE：１０円の駄菓子を開封する音
【真理愛】
「コーンポタージュ味、いただきます」
;SE：サクサクした食べる音
【真理愛】
「こうして食べていると、穴の大きさが社会の情勢によって変わっているなんて気づきませんねぇ」
【真理愛】
「チョコレート味だけは、なんか小っちゃいころより一回り小さくなった実感がありますけど、それ以外は本当に違いを感じさせません」
【真理愛】
「愛を感じますね」
;SE：食べる音
【真理愛】
「ん－！ 味も変わってなくて美味しいです」
【真理愛】
「いつまでも変わらない味があるって、嬉しいですね」
【真理愛】
「お菓子はいつの間にか消えたり変わったりしてしまいますし、親の作る料理は親しか作れませんから」
【真理愛】
「自分自身の味覚や食の好みも変わっていく中で、それは本当にすごいことだなって思います」
;SE：食べる音
【真理愛】
「大体のお菓子って３か月で切り替わるんですけど、長く続いてきた理由が分かるというものですね」
【真理愛】
「さて、お次は……」
【真理愛】
「よし。甘いものがある内にホットレーザービームいきましょう」
【真理愛】
「冷静に考えると、ここだけ切り取られたら何言ってるか分からない言葉ですね」
;SE：ポテチの袋を開ける音
【真理愛】
「さてさて……レーザービームのお味は……」
;SE：ポテチを食べる音
【真理愛】
「んっ！ からっ！ というよりいたっ！ 痛いです～、ひ～っ……！！」
【真理愛】
「これは、長い戦いになりそうですね……！」
【真理愛】
「継続ダメージが入るので、スムージーで回復しながらでないと食べられなさそうです」
;SE：スムージーを飲む音
【真理愛】
「はー、なんとかってところですね」
【真理愛】
「牛乳やのむヨーグルトを買ってもよかったかもしれません」
【真理愛】
「それにしてもコラボ商品だからと、たかをくくっていましたが」
【真理愛】
「結構攻めた辛さでしたね」
【真理愛】
「まあ、なんとかして食べきりましょう」
;SE：ポテチを食べる音
【真理愛】
「(一分ほど息遣い、苦戦しながら食べるように)」
;SE：スムージーを飲む音
【真理愛】
「はふ……はふ……ひぃぃ……はぁぁ、からいですねぇ」
【真理愛】
「でもあとちょっとです。頑張らねば」
【真理愛】
「(一分ほど息遣い、苦戦しながら)」
;SE：スムージーを飲む音
【真理愛】
「ふぅ……ふぅ……完、食っ！」
【真理愛】
「私、やり遂げました……！」
【真理愛】
「口の中が大火事です……甘いもの甘いもの」
;SE：スムージーを飲む音
【真理愛】
「これだったらカレー味の煎餅から先に食べておいた方が良かったかもしれませんね」
【真理愛】
「箸休め代わりに、少しお話をしましょうか」
【真理愛】
「今って、夜ですよね。それも、とびきりの真夜中」
【真理愛】
「私たちは真っ暗闇の中にいます」
【真理愛】
「神話によると、最初はこの世界もそうでした」
【真理愛】
「媒体によって、順番は多少異なりますが」
【真理愛】
「真っ暗な空間の中で神様が天と地を作り、神様が『光あれ』と言いました」
【真理愛】
「そうすると、世界を光が照らしたんです」
【真理愛】
「世間一般で言うところの、天地創造ですね」
【真理愛】
「神様が一週間で世界をお創りになられた、という話です」
【真理愛】
「宗派などによって七日間の順番や、内容がところどころ異なる場合がありますが、闇の世界に光が出てくるのは変わりません」
【真理愛】
「この世界は元々真っ暗闇だったという訳ですね」
【真理愛】
「なぜ神様は光あれと言ったのに、夜が残っているのか、考えたことはありませんか？」
【真理愛】
「これは、あくまで私の解釈ですが」
【真理愛】
「きっと、光では救えない人がいるから、なんじゃないかなと私は思っているんです」
【真理愛】
「真夜中でしか治せない痛みや傷があると思うんですよね、私は」
【真理愛】
「神様は、全てを救う訳ではないんですよ」
【真理愛】
「信じる者は救われる。だから、信者を救う存在なんです」
【真理愛】
「あなたは――神を信じますか？」
【真理愛】
「宗教勧誘かと思われるでしょうね。危ないと思ったら去って頂いて大丈夫です」
【真理愛】
「…………（返事を待つように息遣い）」
【真理愛】
「話を続けますね」
【真理愛】
「信じていない、あるいはお腹が痛い時だけ信じている、そういった方もいらっしゃいますでしょう」
【真理愛】
「ものすごい事のたとえに、神という言葉を使われる方もおられるでしょう」
【真理愛】
「私は、今現在はいると、そう思っています」
【真理愛】
「何故、そう思うのか。例えばの話をしましょう」
【真理愛】
「火のない所に煙は立たない、と言いますが……起きていない火を複数の人が信じれば、そこに火がある事になるんです」
【真理愛】
「事実や真実ではなく、認識」
【真理愛】
「この世には解釈だけしかないと、ある人は言いました」
【真理愛】
「多くの人が同じように解釈したものが、人であり、神であるのだと思います」
【真理愛】
「普通の人の普通とはなんでしょう、それは多くの人が普通であると解釈したものが普通なのではないでしょうか」
【真理愛】
「では、神様とはなんでしょう」
【真理愛】
「多くの人が、神様であると解釈した共通認識が神様なのではないかと私は思います」
【真理愛】
「だから、様々な宗教や宗派が存在しているわけです」
【真理愛】
「それぞれ信じるものが同じ人が集まるわけです」
【真理愛】
「だから、私は神様は存在していると思っています。人間の集団がそのように解釈している限り」
【真理愛】
「では、なぜ、神様が存在し始めたのか」
【真理愛】
「あなたは、どうしても謝りたい事があったりはしませんか」
【真理愛】
「謝りたいけど、時間が経ちすぎた。謝りたいけど、もうその相手はいない」
【真理愛】
「様々な事情があると思います」
【真理愛】
「そうして謝りたい気持ちが積み重なって、苦しくなる事もあるのではないでしょうか」
【真理愛】
「その為に謝る相手、謝れる相手」
【真理愛】
「人は、謝りたがっている」
【真理愛】
「だから懺悔（ざんげ）があり、悔い改める、といった習慣や教義が生まれたのではないかと私は考えています」
【真理愛】
「もう一度言いますが、これはあくまで私の解釈でしかありません」
【真理愛】
「実際のところは違うかもしれませんので、悪しからず」
【真理愛】
「さて、長々と話したおかげか、口の調子も戻ってきました」
【真理愛】
「一緒にカレー味の煎餅でも食べましょうか」