08
蝶「さて、お主よ。体のほぐしは大体終わったぞ?」
蝶「まだ眠いかの? ……うむ、大丈夫そうだの」
蝶「何かワシにして欲しいことはないか?」
蝶「ワシの戯れに付き合わせた礼じゃ。できる範囲ならばなんでもよいぞ」
蝶「なんだ、ワシに耳かきをして欲しいのか」
蝶「してやらんこともないが……そんなに耳をかいてほしいのか?」
蝶「やれやれ……ワシのは見よう見真似じゃからの、あまり期待するでないぞ?」
蝶「そこに座っていろ。耳かき棒持ってくるからの少し待っとれ」
蝶「ほれ、ワシの膝の上に頭をのせい。優しくしてやろう」
蝶「ワシが頭を動かすからの……お主は動くでないぞ」
蝶「手元が狂ってしまわぬように」
蝶「ふ~~~」
蝶「ふむ……思うていたよりも、ずっと、難しいものよの」
蝶「ふ~~~」
蝶「よし、よい感じじゃ……」
蝶「しかし、お主は耳かきをされるのが好きなのかの? クク……まぁ、悪い気はせぬよ」
蝶「ふぅ、こんなものか。そろそろ梵天かの」
蝶「ふ~~~」
蝶「次は反対側じゃ、ほれ、頭を動かすぞ」
蝶「こうしてると、お主の方が子供のようじゃの」
蝶「この辺りがよいのか?」
蝶「よいよい、黙って耳を掘られておれ」
蝶「ふ~~~」
蝶「ふふ……だいぶ、慣れて来たぞ」
蝶「ふ~~~」
蝶「あとは仕上げ、梵天じゃの」
蝶「じれったいか? それとも、気持ちよいか?」
蝶「ふ~~~」
蝶「こんなもんかの」
蝶「どうじゃ、これで耳もよく聞こえるようになったじゃろ」