Track 4

『坊ちゃん、朝食にしようか』

;SE:食堂のフレンチドアを開ける音 ;ボイス位置:1 普通の会話 【結希】 「朝だー、あーさーだーよー。ごはんの時間だよー」 ;SE:椅子を引く音 ;SE:椅子に座る音 【結希】 「さあ、坊ちゃん。朝食にしようか」 【結希】 「今日の朝食のテーマは、アメリカの一般家庭の朝」 【結希】 「ホットコーヒーを飲みながら、新聞でも広げて優雅に朝を過ごそうじゃないか」 【結希】 「ラジオやテレビを流したりはしないが、代わりにぼくが小粋なトークで繋ぐとしよう」 【結希】 「トーストも今から焼くからね」 ;SE:ポップアップトースターのレバーを下げる音 ;SE:トースターの駆動音(以下暫く) 【結希】 「いつもはシェフがオーブンで焼いてるけど、たまにはこういう飛び出すトースターも良いだろう?」 【結希】 「火傷しそうなくらい熱々のパンに……カリカリのベーコンと新鮮でシャキシャキのレタスを挟んで、思いっきりかぶりつくんだ」 【結希】 「おぉう……自分で言っていて、早く食べたくなってしまったよ……」 ;SE:トースターが焼けた音 【結希】 「おお! なんてナイスなタイミングなんだ! 素晴らしい!!」 【結希】 「パンもぼく達に食べられたがっているのかもしれないね。はははっ」 【結希】 「おわっちっち……ふーふー。やっぱり焼きたては熱いね」 【結希】 「でも坊ちゃんの為なら、たとえ火の中水の中! 温かい内に美味しいサンドイッチにしてあげるからね! まかせたまえ!」 ;SE:具材を載せてパンを折っていく音 【結希】 「よし! 完成だ! じゃあ、あーんと君の美しいお口を開けてごらん?」 ;SE:サンドイッチに食らいつく音 【結希】 「ふふっ。どうかな?」 【結希】 「まずは、レタスの少し苦味をおびた爽やかさが駆け抜けていって……パン本来のほのかな甘みと、ベーコンの肉汁が後からやってくる。そして彼らはレタスに追いつき混ざり合う。口の中で、待ち合わせをしていたかのようにね」 【結希】 「するとどうだろうか。彼らがマリアージュになって、口の中でハーモニーを奏でるだろう?」 ;SE:サンドイッチに食らいつく音 【結希】 「しゃく、しゃく、しゃく……」 ;SE:サンドイッチに食らいつく音 【結希】 「小気味いい音も合わさって、口の中はオーケストラ、そして満員御礼だ」 【結希】 「喉に詰まらせるのは良くないからね、ゆっくり、よく噛んで味わってくれよ」 【結希】 「さて。ぼくはきみの食後のコーヒーを準備するとしよう」 ;SE:コーヒーカップを置く音 ;SE:ドリッパーにペーパーフィルターをセットする音 ;SE:コーヒーの粉を入れる音 【結希】 「ふふ。本来は裏のキッチンで用意するものだが、たまには目の前で用意するのもオツなものだろう?」 【結希】 「今日のテーマはアメリカの一般家庭の朝だしね」 【結希】 「一応、少し離れていてね。お湯が跳ねて火傷してしまうといけないから」 ;SE:お湯をゆっくり入れる音 少量 【結希】 「まずはゆっくり、コーヒーの粉にちょっとずつお湯を含ませるんだ」 【結希】 「こうする事で……ほら、いい香りがしてくるだろう?」 【結希】 「蒸らせば蒸らすほど、味が濃密になっていくんだ」 【結希】 「坊ちゃんの好みに合わせるなら……蒸らす加減はこのくらいかな?」 【結希】 「お湯をまた優しく注ぎ込んで……」 ;SE:お湯を優しく注ぐ音 【結希】 「サーバーに落ちていくコーヒーをゆったり眺めるんだ」 【結希】 「このドリッパーだと全部抽出するのに時間がかかるからね」 【結希】 「まるで砂時計のようだろう? まあ今日のぼくらは時間に追われているわけではないけどさ」 【結希】 「よし。出来上がりだね」 ;SE:コーヒーを注ぐ音 【結希】 「淹れたてのコーヒーだ。召し上がれ」 【結希】 「今日の新聞もいるかい? 今日もまた世界は大騒ぎさ」 【結希】 「まあ何はともあれ、ぼくたちはゆっくりと過ごすとしよう。普段はせわしない日常を送っているわけだしね」 【結希】 「この後はどうしようか? お出かけしてもいいし、宿題を片付けてもいいし、ぼくがひたすら坊ちゃんのお世話をするのも悪くない」 【結希】 「まあ、坊ちゃんが何をするとしても……お供いたしますよ」