■第2話・無口少女は綴りたい
[昼休み、中庭の外れの「ふたりだけの秘密の場所」にて]
(ひと気のない中庭の隅のほう、使われてない教室の裏口の段差に腰掛け、台本を進めている雛美)
(昼食を持ってやってきた主人公に気付く雛美)
あ、お疲れ様。
(主「今日もお仕事(執筆活動のこと)?」)
うん、教室は騒がしいから、ね。
ここは静かだし、誰も来ない……絶好の仕事場……うん。
(雛美の近くに座る主人公)
(主「進捗はどう?」)
台本……7割、ってとこ、かな?
大まかな流れは決まってるから……あとは言い回しとか、ト書きとか……
来週の試験期間……それまでには練習、入れるように……うん。
(主「もうプロって感じだね。さすが雛美。」)
もう、からかわないで……(まんざらでもなさそうに)
でも……お話、書くの楽しいから……
小さい頃から絵本とか、児童書とか……うん。
好きだったし……自分でも、できるかなって……
それで、始めたんだけど……えへへ……
まさかこんな事、できるなんて……うん……
演劇部……誘ってくれたの、ありがとうって……いつも思ってる。
ずっと、見ててくれた……よね。
小さい頃から……うん……v
ありがと……次の公演終わったら、改めてお礼、書くね。
(「たくさん書くから覚悟しててね」の笑み)
んふふ……うん。
(主「そういえばお昼は食べたの?」)
え?ううん、食べてない。
授業中に思い浮かんだこと、忘れないうちにと思って。
(主「そうだと思ってパン買ってきたよ」)
ん……ふへ……ありがと。
えと……あ、じゃあ……たこ焼きパン(たこ焼きが入ったパン、雛美の好物)で。
んふ……これ好き……
(早速受け取った袋を開け、両手で持って無言で食べる雛美)
(食べてる時の音は雰囲気で、あくまでかわいく)
はむ、もきゅもきゅ……んむっ……むぎゅ……
んふ……んむ、んむ……んく……ふへ……
はむ、あむ、んむ……むぎゅむぎゅ……んむ……んむ……
ん……んむ……んふふぅ……
うん、美味しい……
やっぱりこれだね……はむ、はむ……もきゅもきゅ……うん……ん、むきゅ……んふ……
(最後の一口を放り込む)
はむっ、むぐむぐ……んむ、むきゅ……んくっ……
へへ……ごちそうさま……v
んっ、ふぅ……
(主「飲み物もいる?」)
あっ、うん。欲しい。
(主「オレンジとアップルジュースがあるけど」)
あ、今日はジュースなんだ。
じゃありんごの方、かな。
えへ……
(ストローを刺し、ジュースを飲む雛美)
ん、んっ……んく……んー……ふはっ……
にひひ……いつもありがと。
(チラッと見えた雛美の歯に、たこ焼きパンの青のりがついてることを指摘する主人公)
え?歯に?青のり……?
んっ、恥ずかしい……
(主「取るからじっとしてて」)
ふえ……?えっ、いいよ、そんな……
(ウェットティッシュで手を拭く主人公に感心する雛美)
あ、ちゃんと消毒……ん、偉いね。
えと、そう、じゃなくて……ん、んぃ……
(いいとは言いながら、吝かではないといった表情で自身の歯に触れさせる雛美)
(優しく指で雛美の歯に触れる主人公)
ん、ぇ……え、へふ……
(主「取れたよ」)
ん、ふぅ……ん……もう……
むむぅ……
(恥ずかしかったのでちょっと仕返ししてやろうと思ってる雛美)
ん……ね、もっかい……指……
(主「もう取れたけど?」)
んーん、違う……
お礼に、指にちゅー……ね。
好きでしょ?うん……
えへへ……ん……
(主人公の手を取り、人差し指の第二関節のあたりにキスをする)
んむ、ちゅ……ちゅ、ちゅ……はむ、ぁぷ……ちゅ、ちゅぷ……
ぷちゅ、ぷちゅ……v、んちゅ、ちゅ、ちゅぷ、ちゅぴ、ぷちゅ……
ふふ……んむ、ちゅ、ちゅぷ、ちゅ……
お昼休みに……んむ、ちゅ、ちゅ……隠れて二人で……んちゅ……
悪いコト……してるみたいで……んむ、ちゅ、ちゅぷ、れる……
ちゅ、ちゅ、ちゅぷ……んむ、ちゅ……んふふ……ちゅ、ちゅぅ……v
(突如ひらめきがあり、指へのキスを中断する)
ん……んむ……ちゅ……ぷぁ…………
あっ……うん、うん……!
なるほど、これは天啓……
待ってて、メモするから……
(ぶつぶつと何かを言いながらノートに走り書きをする雛美)
うん……ん、んふふ……うん、うん……そう、そうして二人は……
ふむふむ、ん……うん……んふ……えへへ……良いね……
だったらここも、こうすれば解決……あー、なるほど、うん、うん……!
(突然中断され、放置された主人公と目が合う)
あ……あの、えっとね……えっと……
(主「好きなだけ書いてていいよ」)
えへ……ありがと……
じゃあ集中する……時間来たら……
(主「5分前くらいに教えるね」)
うん……えへへ……
(集中モードになり、ノートにどんどん書き込んでいく雛美)
(見てないところで、雛美がキスした指に唇をつける主人公)