■第3話・漆黒の雷
[無事に寝落ちに成功し、数時間後に目が覚める少女]
【正面・近距離】
うーん……んー……
ふあぁ……うーん、暗い……今何時だよ……
(手元にあるだろうスマホを探す少女)
あれ、スマホ……どこだ……
(見つけるが、充電が切れていた)
あっ、寝落ちしたせいで充電切れてる……
そういえばオートモードでストーリーが読めるように、自動でスリープしない設定にしてたんだっけか……これはやらかしだな……
ん……というか、パソコンも落ちてないか?
もしや……停電、か?
(「理想郷」で味わったことのない不安感を覚える少女)
うっそだろ……おいおい……えー……マジか……
(起き上がり、手探りで窓辺まで行き外を見ると、周りも真っ暗になってる)
うわ、外も真っ暗……これは本格的に停電だな……
いやいや、勘弁してくれよ……私は引きこもりの現代人なんだぞ……?
文明の利器の一切を奪われた状態で生きていけるほど強くはないんだぞ……?
モバイルバッテリーは……あった気もするが、どこに置いたか記憶にないな……
探すにしても部屋の中は完全に暗闇状態……うぅ……
居間の方が窓大きいし、明るいかな……
ここにいても何も出来ないし、そっちに行くか。
[少しでも明るくするためカーテンを開け、居間のソファで毛布にくるまってる少女]
(電気がついたり充電ができそうなものを探したが、特に何も見つからなかった)
はぁ……暗いな……
時々雷で光るのは何の役にも立たないし、コンロの火を付けっぱなしにするわけにもいかないし……
あー、あーあー……はぁ……
(だんだんと気分が暗くなってくる少女)
っていうか、普段ならもう帰ってきてる時間だろ?
もしや、停電で交通機関が麻痺してるんだろうか……
ならしょうがないが……
(電池切れのスマホを握りながら)
あー……なんで寝落ちなんてリスキーな選択肢を取ったんだよ、昼の私……
大丈夫だよな……事故とか事件とかじゃないよな……?
嫌だな……独りは、嫌だ……怖いよ……
なんで連絡のひとつもよこさないんだよ、馬鹿者……
……ってのは、いくらなんでも無茶な話か。電池切れてるわけだし……
うぅ……でも、こんな時にこそ護ってくれるのがナイトの役目だろ?
私は一人じゃ生きられないクソザコなんだぞ?
今すぐ帰ってきて、抱きしめて、安心させてくれよ……
もう最悪……私が何をしたっていうんだよ……
(自分勝手な言葉ばっかり出てくるので自己嫌悪な少女)
あーあーあー、ううぅ……なんでこんなに卑屈なんだ、私は……
……いや、昔からこうだったか。
今は暖かくて幸せで、大切にしてもらえてて……
だから忘れてただけ、なんだよな……
本当は迷惑かけてるんじゃないか?
私がいるせいで、私が……負担になってて……
もっと、いろんな人生とか、可能性が、あいつには……
うぅ……でも、やっぱり寂しい……
(毛布にくるまり、自分の体を抱きしめる少女)
ううぅ……
ぐすん……ん……うぅ……
早く帰ってこいよ……ぐす……
うぅ、うううぅ…………