■第5話・クエストリザルト
[そんなことを数回繰り返した後にお風呂に入り、ポカポカの体でソファに座ってるふたり]
(ソファの前のテーブルの上に置いて充電してたスマホを手に取る少女)
【正面右寄り・近距離】
お、風呂に入ってた間に充電も復活してるな。
はぁ、この見慣れたホーム画面をどれだけ切望したことか
(充電して復活した携帯を見ながら)
って、うわ……すごい量の通知が……
メッセージも着信も……苦労かけたな。
(主「全然返信ないから、寝てるのかなと思って」)
まあそれは……たまたま充電が切れててな。
(主「停電してたらしいね」)
ああ、電気、結構長い間止まってたよ。
お前の方は違ったのか?
(主「この辺りに雷落ちて、その影響みたいだね」)
そうか、落雷で……そういえば、遠くの方は電気ついてたっけ。
そのおかげで、居間だけは少し明るかったもんな。
だが、もしここに落ちてパソコンやゲーム機がやられてたらと思うと、恐ろしいな……
今度から、天候が荒れてる時は電源引っこ抜いておくか……
ところで……
(主「?」)
私からの返信……ないと、やっぱり寂しいか?
(主「それはもちろん、寂しいし不安になるよ」)
そうか……お前も一緒なんだな。
私もな、電気止まって暗くて、何もできなくて……
ゲームができないことよりも、ネットが見れないことよりも……
お前との関わりが全部なくなってしまったみたいで、すごく怖かったんだ。
でも、お前も同じように思っているんなら……うん。
今度からはしっかり充電、切らさないようにしておくよ。
これ以上私のことでお前に心配、させたくないからな。
(主「ポータブル電源とかあった方がいいかもね」)
ポータブル電源っていうと、あの大きなやつか?
モバイルバッテリーは暗闇だと探すのに苦労するし、今日みたいな状況には最適なアイテムではあるが……
いいのか?結構高かったと思うんだが……
(主「備えあれば憂いなしっていうし、連絡つかないよりはずっといいよ」)
ふふ……そうだな。
これからも何が起こるかわからないし、なんでもあるに越したことはないか。
あと、ラジオとかもあるといいかもな。
懐中電灯とか、防災セットみたいなのがあると、一人でも、もう少しは耐えられるかもしれない……
(寂しさを思い出し、主人公の腕を抱く力を強める)
【正面・至近距離】
……本当は、ずっとそばにお前がいてくれると、今日みたいなことになっても安心なんだがな。
流石にそこまでのわがままは言えないが……
自分の立場だって理解している……一応は、そのつもりだ。
だが、まあ……いろんな奇跡が重なって、そういう日が来たら嬉しいなって。
例えの話だよ。
(主「今日は甘えてくるね」)
む……別にいいだろ?
めちゃくちゃ寂しかったんだよ……まだちょっと寂しい。
お前だって今日は帰りが遅かったんだし、その分の埋め合わせだと思って、我慢してくれ。
(主「我慢だなんて」)
ふふ……ああ、わかってる。
お前の愛は私のことを、全力で包み込んで離さないもんな。
そこに我慢や妥協や、自己犠牲の心があるとは思っていないよ。
今日みたいに気持ちが弱ってると、無性に不安になることもあるが……
それだけ、お前から注がれる愛情が大切なものだと、私自身が理解しているということなんだろうな。
大切だから、無くしたくなくて、手放してしまうのが怖くて……
もし、お前が私のそばからいなくなったらと考えると……
ああ、いかん……また暗い気持ちが出てきてしまっている……
おかしいな、今日は……はは……
(主「お腹空いてるからじゃない?」)
ん……確かに。お腹すいてる……
そういえば、いつもなら食事も済ませて、お前の寝る準備をしているような時間か。
(主「買い物してきてないから簡単なものしかできないけどいい?」)
ふふ、買い物も忘れるくらい急いで帰ってきてくれたんだろう?
その事実だけで、十分に幸せだよ。
それに私は、お前の作るものならなんでも美味しく食べる自信があるぞ?
(主「そう言われると美味しいもの作らなきゃって気持ちになるね」)
んふふ。楽しみにしてるよ。