3-1.『お隣さんから、催眠アプリを使われそうになったら』
☆3-1
……ふー。よいしょ、っと。
通販で色々買い物してると、どうしても段ボール溜まっちゃうな……。
あんまり溜めすぎると、あの人に叱られちゃうし……
定期的に捨てにいかないと。
……あ。こんにちは。お隣さん。
っと。すみません。廊下、邪魔ですよね。
今、片付けますから……
……え?
あ……いえ。そんな。悪いですよ。
往復して捨てに行くつもりでしたし……
い、いえいえっ。本当に大丈夫ですからっ。
……そ、そう、ですか?
分かりました。じゃあ……お願い、します。
ありがとうございます。
…………。
……エレベーター、来ないですね。ふふ。
…………。
……あ。あの。
お仕事は……ご自宅でやられてるんですか?
はい。今日、平日なので……
リモートなんでしょうか。
……あ。すみません。立ち入ったことをお聞きしました。
答えづらければ大丈夫ですから……。
……〝アプリ開発〟?
そうなんですか。ご自分でやられているんですか?
へえ。すごいですね。ふふ。
……え? 作ったアプリを?
それは……部外者が見てもいいものなんでしょうか?
そ、そうですか。
では……せっかくですから。拝見します。
…………。
……なんだか、不思議な画面ですね。
目が少し、チカチカします……
……これは、何のアプリなんでしょうか?
ゲームか何かですか?
あ……
……さ。
〝催眠アプリ〟……?
それは、一体、どういう……?
あれ……
すみません、なんだか急に、立ちくらみが……
ん、っと……
耳が、きーん、って……
変な、気分……
あなたは……お隣さん……?
……え。
違う、んですか?
あ、〝あなた〟……?
え、でも、あなたは、お隣さんで……
ええと、ええと……
これは……どういうこと、ですか……?