Track 5

3-1.『お隣さんから、催眠アプリを使われそうになったら』

☆3-1  ……ふー。よいしょ、っと。  通販で色々買い物してると、どうしても段ボール溜まっちゃうな……。  あんまり溜めすぎると、あの人に叱られちゃうし……  定期的に捨てにいかないと。  ……あ。こんにちは。お隣さん。  っと。すみません。廊下、邪魔ですよね。  今、片付けますから……  ……え?  あ……いえ。そんな。悪いですよ。  往復して捨てに行くつもりでしたし……  い、いえいえっ。本当に大丈夫ですからっ。  ……そ、そう、ですか?  分かりました。じゃあ……お願い、します。  ありがとうございます。  …………。  ……エレベーター、来ないですね。ふふ。  …………。  ……あ。あの。  お仕事は……ご自宅でやられてるんですか?  はい。今日、平日なので……  リモートなんでしょうか。  ……あ。すみません。立ち入ったことをお聞きしました。  答えづらければ大丈夫ですから……。  ……〝アプリ開発〟?  そうなんですか。ご自分でやられているんですか?  へえ。すごいですね。ふふ。  ……え? 作ったアプリを?  それは……部外者が見てもいいものなんでしょうか?  そ、そうですか。  では……せっかくですから。拝見します。  …………。  ……なんだか、不思議な画面ですね。  目が少し、チカチカします……  ……これは、何のアプリなんでしょうか?  ゲームか何かですか?  あ……  ……さ。 〝催眠アプリ〟……?  それは、一体、どういう……?  あれ……  すみません、なんだか急に、立ちくらみが……  ん、っと……  耳が、きーん、って……  変な、気分……  あなたは……お隣さん……?  ……え。  違う、んですか?  あ、〝あなた〟……?  え、でも、あなたは、お隣さんで……  ええと、ええと……  これは……どういうこと、ですか……?