スッキリするのも大事ですからね♪」(シャンプー)
「……はい……はい。あら……それでは仕方ありませんね。いえいえ、急な申し出ですし、全然問題ありません」
「ユウカちゃんのほうこそ頑張りすぎないようにして下さいね」
「ふふっ、はい♪ 宜しく伝えておきますね。では♪」
「ふぅ」
「というわけで、先生、残念ながらユウカちゃんはゲーム開発部での用事の最中らしく、来られないとのことでした」
「ふふっ、残念そうなお顔をしてますが、ユウカちゃんも残念そうでしたよ。勿論、私も残念です」
「ユウカちゃんが居れば効率も上がりますし、早めにお仕事も終わるかなと思ったんですけど……今日は長丁場になりそうですね、先生」
「それでは、引き続き作業を――と、思いましたが……ふふっ、先生、疲れたお顔をなさってますよ」
「もうひと頑張りする前に、コンディションを整えたほうが良さそうですね」
「ストレッチで身体を動かすのも良いかな、と思ったのですが……」
「何か見覚えがあるなーと思っていましたが……丁度良いものがここにありますね♪」
「ふふっ、何をするの、ですか? この何の変哲もないウォーターサーバーですが……実はここにボタンが……ふふっ、やっぱりありました♪ そして、このボタンを押すと……爆発したりはしませんのでご安心を」
「ポチっと」
「私には分かりませんが擬態と変形はロマン、と言っていましたね。その様子だと先生もご存知ではなかったようですが」
「いつぞやのミレニアムプライスで審査をしたのですが、まさかシャーレのオフィスにあったんですね。ウォーターサーバー機能付きシャワー装置」
「ちゃんと変形しましたし動作もきっと問題ないはず、です」
「と、いうわけで、先生? シャキっとするために髪の毛、シャワー、如何ですか?」
「ふふっ、気分の切り替えもお仕事の一環ですからね」
「では、お仕事の手を止めてこちらにどうぞ。お仕事を続行したいのであれば私はお邪魔しませんので、そのまま席にどうぞ」
「ふふっ、やっぱりリフレッシュは大事ですからね♪」
「どうぞ。怪しい仕掛けも……無いとは言えませんが、恐らく大丈夫ですので腰を掛けて下さい」
「はい、では、椅子、倒しますねー。力、入っちゃうと思いますが楽にして大丈夫ですよ」
「ふふっ、大丈夫と分かっていても椅子を倒されるとき、首とかに力、入っちゃいますよね♪」
「こんな感じですが……頭や首の位置、腰の位置や感じに違和感は……無いのでしたら何よりです」
「……さて、では、身体の力を抜いて頂いて……髪を洗ってスッキリしましょうか」
「先ずは……はい、定番の目隠しの布、失礼しますねー」
「本職の美容師さんのようには上手く無いかと思いますが、その辺は目を瞑って頂くということで。先生は今、文字通り目を瞑っているかと思いますが♪」
「……お湯の温度は……これくらいで良いかしら……」
「まずは頭、軽く流しますねー」
「如何でしょうか? 温度は……大丈夫そうですね」
「ふふっ、まさか先生の髪を流す日が来るとは思っていませんでした。耳かきや肩もみについても、ですが」
「ふふっ、先生は他の生徒さんにして貰ったことがあるかもしれませんけれど♪」
「あ、ヤキモチやらの感情ではなく、ただの私の雑感ですので♪」
「はい。それではー」
「シャンプー、失礼しますねー」
「私は他の生徒さんにシャンプーをしてあげたりしないのか、ですか? ふふっ、私がシャンプーをするような相手はセミナー内でも1人だけなの、知ってて仰ってますよね」
「先生のご想像通りで間違いないと思いますよ。こうして洗髪台を使ってのシャンプーは今までに経験が無いので初めてですが」
「ふふっ、洗髪台以外でシャンプーを?と、そんなに驚くことでもありませんよ。美容院以外でシャンプー台なんて使いませんし」
「なんて♪ 本当のところはどうなのかは、秘密にしておいたほうが楽しそうですね」
「えーっと、ですね? 今お顔に掛けている布、実はこちらからは丸見えの素材になっていたり……」
「なんて、しませんよ♪ ちょっとからかってしまいました♪ ふふっ、先生? 見られたら困るような表情、してたんでしょうか?」
「どうしても答え合わせをしたいようでしたら、ユウカちゃんに聴いてみるのが一番かもしれません」
「聴き方次第ではユウカちゃんに怒られちゃうかもしれませんが……そこは大人の先生の腕の見せ所、ですね♪」
「ふふっ、とても良い機会ですので、そのときは書記として是非是非立ち会わせて頂ければ嬉しいです♪」
「さて、先生? 痒い所は御座いませんか? 洗い足りないようなところはありません?」
「ふふっ、痒い所や洗い足りないところがあっても、言い難くて大丈夫と答えてしまいますよね」
「そういえばこの、痒い所の確認というのは、もうシャンプーを終わりますよ、という確認の意味があるらしいですね」
「いつも行きつけの美容室でカットしているので他の美容室のことはあまり分かりませんが、確かに確認をされたあと、程なくしてシャンプーが終えられている気がします」
「ちょっと待って頂戴。頭頂部の辺りが洗い足りないわ。とか、ちゃんと言えた方がお得なのでしょうけれど、何となく気恥ずかしくなってしまいますね」
「はい。というわけで、シャンプーはここまでです」
「もう少し長めにして欲しかったら、次からはちゃんと言わないといけませんからね♪ 次があるかは分かりませんけれど♪」
「それでは。頭、流しますね」
「シャワーの温度は先ほどと同じなので問題、ありませんよね」
「ふふっ、温度までちゃんと記憶できるんですよ……と、言いたいところですが、温度調整機能付きのシャワーなだけです」
「ちなみに、ユウカちゃんはこれよりもちょっとだけ熱めのお湯が好き、みたいです。ふふっ、実際のところは本人に確認をどうぞ♪」
「そうですね……折角こうしてウォーターサーバー機能付きシャワー装置がありますし、ユウカちゃんにもシャンプーをしてとお願いしてみては如何でしょう?」
「ああ見えてユウカちゃん、優しく丁寧にシャンプー、してくれるかもしれませんし、ふふっ」
「シャンプーしてあげるのなんて私だけなんですからね、他の生徒にお願いしたらいけませんからね、とか、ユウカちゃん、言いそうなの、想像出来ちゃいます、ふふっ♪」
「はい、仕上げにコンディショナーしますね」
「そういえば私も人から言われるまで知らなかったのですが、コンディショナーは髪に馴染ませてから直ぐに洗い流しても良いらしいです」
「絶対にダメ、ということはないみたいですが、長い時間付けておいても特に効果が高くなる、というのが無いみたいですね」
「トリートメントでしたらモノによるみたいですが10分くらいつけておくと効果があるみたいですよ」
「ふふっ、先生でしたら私に言われなくてもそれくらい知っていそうですけど」
「私はすぐに流しても問題無いと知りつつ、コンディショナーを髪につけて、その間に身体を洗ったりとかしちゃいます♪」
「ふふっ、流石に今この場で身体を洗うわけにはいきませんので、頭、流しますねー」
「自分の髪のときもですが、コンディショナーを流した後のしっとりつやつやしたのを指で感じる瞬間、好きです」
「やっぱり髪の毛が綺麗になるのは嬉しくなるものですからね♪」
「シャンプーをされている先生もスッキリしていると思いますが、私も気持ちがしゃっきりしてきましたので、これからのお仕事も頑張れそうです」
「ふふっ、もしかしてお仕事の事、忘れてたりしました? それだけ気持ち、良かったということでしょうし、許してあげます♪」
「と、先生? 流し足りないところはありませんか? 」
「はい、では……」
「お終いです。お疲れ様でした♪」
「ふふっ、ユウカちゃんの頭をこうしてタオルで拭いているときもですが、何か不思議な感情が芽生えてきそうになりますね」
「何と言いますか、よしよし♪ みたいな? どう形用して良いのか難しいですが、そんな感じです」
「それは母性本能だと思う、ですか? ふふっ、それはお母さんみたい、ということでしょうか?」
「そう言われると真っ先にゲーム開発部といるときのユウカちゃんを思い浮かべてしまいますね」
「先生と一緒のときは……ふふっ、聴かなくて何となく想像が出来るので大丈夫です♪」
「はい、それでは椅子、起こしますねー」
「仕上げに髪、乾かしますね」
「ふふっ、先ほどはコンディショナーをしている時間が好き、といいましたが勿論、こうして髪を乾かしている時間も好きです」
「しっとり濡れた髪が、少しずつサラサラになっていく手触り、何だかちょっと良いなって思います」
「ふふっ、今日のシャンプーの一連の感触はちゃーんと記憶しておいてますので♪ 何かあった際の有用な資料とさせて頂きます♪」
「そうですね、また詩をしたためることになった際の参考に、とか?」
「ふふっ、そういえば私の書いた詩集を読んだことが無い、ですか?」
「言って頂ければ今度お持ちしますが……ふふっ、暗唱することも可能ではありますが、声に出して読むことを想定しているものではありませんので、ダメです♪」
「何故か未だにユウカちゃんしかきちんとした感想を頂けていないので、読了の暁には先生の感想、聴かせて頂けると嬉しいです」
「折角ですし、先生が私が書いた詩集を読んでいるところを観察するというのは――あら、読書は落ち着いてなさりたいタイプですか? それは残念です」
「ですが、先生がこうして私の書いた詩集に興味を持って下さるのは嬉しいことですね。また頑張ろうかなと思えたりしますし」
「詩集以外にも、私のことはちゃんと知りたい、と?」
「先生? そうやって他の生徒さんのこともやる気にさせているんですね、ふふっ♪」
「ですが先生? 私相手でしたら全く問題無いのですが……あまり皆さんにあまーい言葉を言っていると、そのうち面倒なことになったりするかもしれませんよ?」
「ふふっ、そうなったり、そうなりそうでしたら私やユウカちゃんに頼って下さいね♪ ちゃんとふたりでお守りしますので♪」
「はい、お喋りしている間にしっかり乾きましたよ♪ さらさらつやつやで私まで気持ちがスッキリします♪」
「どこかに出かけるわけではないので、セットまではしませんが……と、先生? 勿論ですが、すっきりしたのでこれからお出かけ、とか考えてはいませんよね?」
「ふふっ、でも、美容室に行って髪をちゃんとすると用事もないのにちょっとだけお出かけとかしたくなっちゃうのは分かります」
「それでは……もう少しお仕事をして、次の休憩は身体を動かしがてらに外をお散歩でもしましょうか」
「もしかしたら、それくらいの時間になったらユウカちゃんが来られることになって、お散歩どころじゃなくなるかもしれませんけど♪」
「はい、髪の毛、バッチリです。ユウカちゃん風に言うと、計算通り、完璧~、ですね」
「さて、もうひと頑張りしましょうか、先生。先生の書記として一生懸命お手伝い、しますよ♪」
「では……少し濃いめのアイスコーヒーを淹れてきますので、お仕事、始めていて下さいね」
「私が戻るまで休憩していても構いませんが……早く始めたほうが早く終わりますからね、先生♪」
「早く終わったら……その分、多めに構ってあげますから♪」