Track 3

とりあえずトモダチに

あれから五日、善行部の庭、ゴミを燃やそうとしている二人 コン狐 「それじゃあ、見ててくださいね、はぁぁぁ・・・はあっ!」 何かを構えるコン狐 コン狐 「狐火!」 集めた燃えるゴミに火がつく 焚き火の前 コン狐 「どうですか?妖狐の必殺技『狐火』ですよー。私は見習いなんでライターぐらいの威力ですけど、 ゴミを燃やすのには便利なんですよ。えへへー、あそうだ、今日もスタンプ押しますね。」 コン狐 「んしょ・・・いっちぜ~ん!」 スタンプを押すコン狐 コン狐 「はーい、今日で五日目です。スタンプも溜まってきましたよ」 主人公 「あのさ・・・毎日ゴミ拾いしかしてないよね」 コン狐 「なっ、毎日ゴミ拾いしかしていない・・・って言いましたか?ここはゴミ拾い部じゃありません! 善行部です!た、たまたま、ゴミ拾い以外いいことが思いつかないだけで・・・失礼だなぁ!」 主人公 「怒るなよ」 コン狐 「怒ってません(ムスっと来てる)」 ちょっと間 コン狐 「・・・あの・・・本当はもっと色々いいことっていっぱいあるんでしょうけど、私、全然思いつかなく て・・・その・・・毎日ゴミ拾いばかりさせてごめんなさい・・・」 主人公 「いや、そういう意味じゃなくて」 コン狐 「も、もし・・・あんまりその・・・興味がないなら・・・サボッてもいいですよ?・・・おじいちゃんにはうま く言っておきますから・・・」 もしかして主人公は嫌々じゃないかなと不安なコン狐 主人公 「・・・なぁ」 コン狐 「は、はい!」 主人公 「なんで・・・えーっと、センコだっけ?になりたいんだ?」 コン狐 「なんで・・・私が、仙狐様になりたいかですか?・・・私にもよくわからないんです・・・なんていうか・・・ 他に・・・なりたいものがないんです」 主人公 「?」 コン狐 「妖狐見習いになった狐はみんな夢を持ちます。偉い妖弧になる、人間と恋をする、バリバリ働く・・・ 妖狐になったことに希望いっぱい・・・私もそうだとよかったんですけど・・・あはは」 主人公 「何もなかったのか」 コン狐 「はい・・・なりたいものがなかったんです。それで私悩んで、おじいちゃんに相談したんです。そう したら『ならとりあえずいいことをしておけ』ってこの善行スタンプカードを作ってくれたんです」 主人公 「はぁ、それで」 コン狐 「それで毎日いいことを始めたんです。主に・・・ゴミ拾いですけど」 主人公 「・・・他に楽しいことはないのか?」 コン狐 「他に・・・楽しいことですか・・・時代劇見るのは楽しいですし、盆栽育てるのも楽しいですよ?うーん、 あとは・・・あとは・・・」 何もないコン狐 主人公 「友だちと遊ぶとかは?」 コン狐 「・・・友達と遊ぶ・・・ですか・・・私・・・人間のお友達いないんです。まだ見習いで油断したら狐の姿を 見せてしまうから」 主人公 「・・・俺じゃだめかな?」 コン狐 「・・・俺じゃだめ・・・あの・・・それって・・・お友達になってくれるんですか?」 主人公 「よければ・・・もう、狐なの知ってるし問題ないだろ?」 コン狐 「は、はい、問題なんて何もありません!もう妖狐だって知ってるし、お咎めもないです」 主人公 「じゃ決まりだ」 コン狐 「で、では本日からお友達付き合いをはじめさせていただく次第で御座候・・・あ、すいません、 緊張して時代劇言葉が・・・」 主人公 「はぁ・・・友だちだから敬語ももういいだろ?」 コン狐 「と、友だちだから敬語ダメですか?・・・はい、わかりました。では師匠、敬語を辞めま、辞めるね!」 主人公 「し、師匠?」 コン狐 「えへ、友だち付き合いの師匠だから、師匠!」 主人公 「・・・なんだそれ」 コン狐 「うわー、やったー、人間のお友達だ。うれしいなぁ。じゃあ師匠、お友達としてお願いするね? ぜん部にこれからもいてほしいな」 ドキリする主人公 主人公 「お、おう」 コン狐 「ありがとー!・・・あれ師匠顔赤いよ?ごめん、火、強すぎたかな?」