撫猫さんと告白前夜編
食後の一時
撫猫さんが台所からお茶を持ってやってくる
撫猫 「旦那様……今日のカレイの煮付けはいかがでしたか?」
主人公「うん、美味しかった(そういえば魚料理多いな……この辺りも猫なのか?)」
撫猫 「ふふ、今日のは自信作だったので嬉しいです」
撫猫 「はい、食後のお茶が入りましたよ」
主人公「ありがとう、撫猫さん」
撫猫 「はい、私も失礼致します」
撫猫さんも座る&主人公飲む
主人公「あ、いつもと違う」
撫猫 「ふふ……お気づきになりましたか?今日は冷えるのでほうじ茶を入れました……茶色いお茶は身体を温める効果があるんですよ」
主人公「へー」
撫猫 「お布団も今日は一枚追加です……旦那様がお風邪を召したらいけませんからね」
主人公「いつもありがとう撫猫さん」
撫猫 「いえ、お礼なんて滅相もありません!当然のことですから……(照れ)」
撫猫 「……」
主人公「……(うーん、照れる撫猫さんかわいい)」
撫猫 「そ、そうです!旦那様、ほうじ茶の「ほうじ」は焙じる……つまり焙煎のことなんですよ……ご存知でしたか?……は、はい!何でしょうか旦那様」
主人公「へー、そうなんだ……ところで撫猫さん……暮らしはじめてどのくらいだっけ」
撫猫 「……旦那様と暮らし始めてですか?……ひぃ、ふう、みぃ……一月程でしょうか?」
主人公「ということではいこれ」
封筒を渡す主人公
撫猫 「なんでしょうか旦那様……封筒?……い、いけません!私はこの家の備え付けです……お給金をいただく訳にはいきません」
そこはしっかりと弁える撫猫さん
主人公「そう言うと思った……だからプレゼント……開けてみて」
撫猫 「え……そう言うと思った……ですか?……ではこれは?……プレゼント?はい!……開けてみます」
封筒に旅行券が入っている
撫猫 「封筒の中にさらに便箋があります……これは旅行券?だ、旦那様!?」
主人公「あれからよく旅行雑誌見てたからさ」
撫猫 「は、はい、たしかに旦那様からいただいた本は毎日読んで、自分なりの旅のしおりなどを作っておりましたが、ほんの一人遊びでして……だ、第一、猫の私では土地勘のない場所に旅行などとてもとても(焦り&恥ずかしさ)」
主人公「んー、じゃあよかったら一緒に行くよ。京都とかなら修学旅行で行ったから案内できると思うし」
撫猫 「だ、旦那様も一緒についてきてくださるんですか!?……そ、それはつまりその……」
撫猫 「……(恥ずかしい)」
主人公「撫猫さん?」
撫猫 「あ……こ、これは……受け取れません!し、失礼します」
急いで自室に逃げ込む撫猫
場面転換
撫猫 「殿方から……旦那様から……旅行に誘われてしまいました……これは……」
ノック
主人公「撫猫さん……」
撫猫 「だ、旦那様!?……申し訳ありません……今は会わせる顔がありません」
主人公「さっきはごめん……それだけは言いたくて」
撫猫 「そんな、謝るなんて……決してそういう意味では……あ、お部屋に戻ってしまわれました……」
撫猫 「こうなった以上、私も覚悟を決めねばなりませんね……とにかく紙と筆を用意しなければ……旦那様どうかお許しください」?