Track 4

お姉さまと楽しい寄り道

「おーっ……やっぱり結構人気のお店みたいです。  お店の中が女の子でいっぱいですねー」 「えーっと、空席は……あ、あそこ、丁度空いてるかも……」 「お姉さま、やっぱり私たちは運が良いですねー。  ちょうど2席空いてるみたいですよ?」 「あ、はい、2名です。  お姉さま、ちょっと狭い2人掛けのテーブルらしいですが……構いません?」 「ええ、構いません。むしろそのほうが……。  あ、いえいえ、こちらのお話ですので!!」 「おーっ……か、かわいいものがいっぱい……」 「こ、こほん。一応事前に調べてはおきましたが、かわいい店内ですねー。  お客さんも予想通りではありますけど、女の子ばっかりですし……」 「ふふっ、でもやっぱりお姉さまが一番輝いて見えますよ」 「えーっ!? べ、別にお世辞や社交辞令ではありませんよ……。  まったく……お姉さまってば意地悪なんですから……」 「あっ、はい、私はまだどのパフェにするか決めていません。  お姉さま、いっしょにメニューを見て決めましょう」 「って、ええっ!? お、お姉さま、もう決まっちゃってるんですか!?  まだ座って間もないというのに……さすがお姉さまです」 「では、申し訳ありません、ちょっとだけ考えさせてもらいますね」 「……苺……でもレアチーズもおいしそうですね……  あー……でもアボカドっていうのも珍しくて……」 「うーん……あーでもない……こーでもなー……  かくかく……しかじか……うーんうーん……」 「お、お姉さま!! いつものことですが…………私、決まりません!!」 「……う、ううっ……いつも外食だとこうですよね、ごめんなさい……」 「お姉さまが食べたそうなものならパッと思い浮かぶのに……よよよ……」 「は、はい、一応2つまでは絞れたんですが、そこからはなかなか……」 「えーっとですね、ビターチョコパフェと  マロンクリームパフェで悩んでいるんですけど……」 「お姉さまはどれになさったんでしょうか?  参考までに……同じものにすると……ごにょごにょ……」 「え、ええっ……秘密ってお姉さま……教えて下さいよー」 「ふむふむ、お、お姉さまはビターチョコ!?  では私は……マロンクリームにして……  お姉さまもマロンクリーム、気になりません?」 「ふふっ、では私、迷うことなくマロンクリームにします。  これなら……ふふっ、なんでもありません」 「お姉さまには言わずとも伝わっていると思いますが。  ではお姉さま、店員さんを呼びますが……はい、では呼びますね。ぽちっ!」 「えーっとですね、ビターチョコパフェとマロンクリームパフェを1つずつ  ……以上ですね。あっ、お冷を1つずつもらえると嬉しいです」 「お姉さまとここまで考えが同じだなんて……  やはりこれは運命でしょうか、ふふっ」 「それにしてもお姉さま……お姉さまは……こうして見ると本当に……。  お美しいです……周りの女の子がかすんでしまうほどに」 「いえいえ、私のほうが美しいだなんて、そのような言葉は要りません。  私は客観的事実としてお姉さまの美しさを実感しているだけです」 「ふふっ、お姉さま? ずいぶんと嬉しそうにしていますね?  そんなにパフェが楽しみだったなんて、かわいらしい」 「えーっと……お姉さま、そういえば本日の夕飯は何がよろしいでしょうか。  一応簡単に作れてお姉さまのお口に合う献立はいくつか考えましたが……」 「うーん、でもですね、この時間にパフェを食べてしまうと夕飯は……」 「え、ええっ……ぎゅ、牛丼ですか?  構いませんが……たまねぎはあったと思いますし……」 「ふむふむ、なるほど……テイクアウトですか……うーん……  それは簡単で良いですけど……私はお姉さまに作ってあげたいです……」 「ですがどうしてもテイクアウトの牛丼が食べたいのであれば……  ……涙を飲んでお姉さまのご希望に沿う形にしますが……」 「えっ!? そうですね!! やっぱり夕飯はテイクアウトにしましょう!!  空いた時間をのんびり過ごせますからね!! お姉さま、天才です!!」 「実のところ、私も今日は牛丼弁当が良いなぁと思っていたんですよー。  やっぱりお姉さまと私、頭の中まで繋がって……ふふっ」 「あっ、お姉さま、パフェが来ましたね。  えーっと、ビターチョコパフェはお姉さまに。  マロンクリームパフェは私です。ありがとうございます」 「おおっ、お姉さまのビターチョコパフェ、おいしそうですねー。  かわいらしくておいしそうで、まるでお姉さまみたい……」 「さて、まずはどこから頂きましょうか……。形を崩すのが勿体無い――」 「って!! お姉さま!? そんなに自然な感じで私のパフェを!?  ううっ……べ、別に全然構いませんけれど……」 「というわけで、私も……いただきですっ!! ていやっ!! あむっ」 「……むぐむぐ……甘すぎず……苦すぎず……おいしいですね」 「マロンクリームもおいしいです? ふふっ、ビターチョコもおいしかったですよ?」 「はい、ではお返しですね。お姉さまもビターチョコをどうぞ。  大丈夫ですよ、みなさん、同じようなことをしていますので」 「はい、あーん。早くしないと溶けてしまいますよー?  それとも、私が食べちゃって良いんですかー?」 「ふふっ、どーぞ」 「いかがです? 甘くてほろ苦くておいしいですよね」 「えっ!? わ、私は良いですよー!?  あ、あの……人の目もありますし……」 「も、もう……あ、あーん…………ぱくっ……もぐもぐ……」 「おいしいです……まるでお姉さまのように甘くて苦くて……ぺろっ」 「そ、それはそうとお姉さま、帰りはどこの牛丼を買って帰りましょうか!?  私はどこの牛丼でも良いのですが……」 「あ、あーん……ぱくっ……もぐもぐ……」 「トッピングがうれしいお店にするか、王道なお店にするか……」 「あ、あーん……ぱくっ……もぐもぐ……」 「あ、あの……お姉さま? 面白がってません……?  って、お姉さま、私に食べさせるだけではなくご自分でも……」 「あ、あーん……ぱくっ……もぐもぐ……」