④連れ添って町へお出かけ
【ニア】
は~~~……っ……ふ~~~……っ
ど、どこまでいくのじゃ~…っ、もうだいぶ…は~、ふ~…っ…歩いておるぞ~…っ
むうぅっ、ついてきたのは失敗じゃった!
もう帰るっ、わしは帰るぞ~っ!
…お? なんか、たくさんの建物が……
あ、あれはもしや…町というやつか!?
おぉ~っ、初めてみるな!
えっと~……目的地はあそこかの?
よし、ゆこうゆこうっ!
なにがあるのか楽しみじゃな~っ!
≪町に入り、練り歩く≫
ほ~~~……これが町か……
うむ、活気があって、なんか楽しいなっ!
【薬屋の女店主】
あらっ、今日は女の子連れ?
珍しいどころの話じゃないわねぇ…キミ、お名前なんていうの?
【ニア】
ん? わしは……ニアだ
【薬屋の女店主】
ニアちゃん…かわいい名前ねぇ
でも、自分のことをわしって…かわった子ねぇ
【ニア】
む……そんなことはないぞ!
これは普通なのじゃ、のぅ?
【薬屋の女店主】
あらまぁ…うふふっ♪
確かに普通かもね、元気があって、年相応♪
しかしまぁ、この町の英雄が、ついに女の子を連れてきたと思ったら…
あんまりに小さい子だったんで、ちょっとガッカリしちゃったわぁ
【ニア】
えい、ゆう……?
なにかしたのか、こやつは
【薬屋の女店主】
あら知らないの?
この町を襲ったドラゴンを退治してくれたのよ
【ニア】
なに……? ドラゴンというのは、その……み、見た目は?
【薬屋の女店主】
見た目? えぇっと……黒くて、大きかったわよ
鱗がまるで鋼鉄の鎧みたいで……怖かったわ
急に山から下りてきて……獰猛で、私たちは逃げるしかなかった……
でもね、この人が勇気を振り絞って、一振りの剣で立ち向かったの……
町を守りたいって言って……
自分の生まれた町を壊させはしないって……
結局倒しちゃうんだもの、ビックリしちゃったわ
この町が今、こうして活気づいていられるのも、この人のおかげ……
私たちが故郷を追われずに済んでるのもね
…あら? どうしたのニアちゃん?
なんだか、顔色が急に……
【ニア】
い、いや……なんでもない、だいじょぶじゃ……
【薬屋の女店主】
そう…? でもちょっと心配……
ちょっと待ってて……えっと……
≪戸棚を漁る≫
あ、あったあった!
風邪かもしれないから、これ飲んで元気になってね
【ニア】
え、と……あ、ありが、とう……あの、こっちのは?
【薬屋の女店主】
そっちはね、彼の喉の薬よ……
いくつかの薬草を調合してあるわ
効くかどうかはわからない……
でも、あの戦いで失った声を、なんとかして取り戻してあげたいの
次また同じようなことがあったら、私たちは全力で立ち向かうわ……
そのために、剣を作ってもらってる……
その代わりに、薬を定期的に渡してるの……
この町に住んでたらラクなのにね
ほんとにもう……いつでも戻ってきていいんだからね?
キミは、この町の英雄なんだから……
誰も迷惑だなんて思ったりはしないってこと、覚えておいてちょうだい
【ニア】
…どうやら、風邪とやらを引いたらしい…
帰ろう、あの小屋へ
【薬屋の女店主】
気をつけてね……
どんな経緯かわかんないけど…よろしく頼んだよ