「ご褒美」
部屋で荷物の整理をしていると、セシリアがやってきた。
【セシリア】
「あ。ここにいらしていたのですか。くすっ、日中から寝室にいると
は……お昼寝するつもりでした? ……ん」
セシリアはベットの上に重なった俺の服を見て、声を上げた。
【セシリア】
「あーっ! 何しているんですか、もうっ。衣服でしたら私が畳んで
おきますのに! 貴方はそんなことをしなくてもいいのですっ」
【セシリア】
「この家の主は、ふんぞり返って家事全般を私に任せてくださいっ!
解りましたか?」
【男】
「いつから俺はこの家の主になった」
苦笑する。
【男】
「俺はずっとこの家の客人だろう?」
【セシリア】
「え……あ。そういえば、貴方は客人でしたね。あははっ、すっかり
この生活に馴染んでいますので、言葉を間違えてしまいました」
家の主が亡き今、ここの家主はセシリアになるだろう。
そのセシリアが、自然の体で『主』と指名した意味は大きい。
彼女が俺にどうあって欲しいのか、よく窺える。
【セシリア】
「ぁ……よかったら、この家の主になってみませんか?」
眩しい笑顔で提案される。
【セシリア】
「丁度空席の位ですし、何より……私一人にこの家は広すぎます。貴
方が居てくだされば、この家も活気付きますし」
【セシリア】
「どう……でしょうか?」
【男】
「……まあ、考えておこう」
【セシリア】
「あ……」
安堵の顔に変わる。
【セシリア】
「はいっ。いいお返事、期待していますね」
【セシリア】
「……それにしても」
セシリアが部屋を見渡す。
【セシリア】
「随分と、物が減ったような気がしますが……。ほら、サイドテーブ
ルに置いていました本とか、ハンガーに掛けていたコートとか……」
【男】
「セシリア」
話を中断させる。
【男】
「何か用事があってここに来たんじゃないのか?」
【セシリア】
「え? あぁ、そうでした。用事があって来たのでした」
【セシリア】
「……実は、つい先ほど『盗賊団』の者が町に侵入しました」
【男】
「なに?」
盗賊団が?
まさか。
【男】
「奴らがこんな昼間に襲うわけがないだろう」
【セシリア】
「はい、仰る通りで」
【セシリア】
「通常なら、深夜、町人がみな寝静まった頃合いを狙って襲ってくる
のが定石です」
【セシリア】
「今回の侵入は……恐らくですが、下見ではないかと」
【男】
「本当に勇者がいないのかを確かめに来たのか」
【セシリア】
「はい。勇者不在の報を受け、真偽を確かめに来たのかと思われます」
【セシリア】
「勇者様は、日中はいつも町を散策していましたから……。だからこ
そ、日の昇る時間に侵入したのだと思います」
【男】
「そうか」
【セシリア】
「それで、その『盗賊団』についてですが……」
【男】
「何か問題があるのか?」
嫌な予感がして聞き返した。
【セシリア】
「あ、いえ。問題はもうありません」
【セシリア】
「すべて、撃退しました」
【男】
「は?」
【セシリア】
「ふふふっ。この町には、勇者様だけしか強者がいないと思われては
困ります」
自信満々に己の胸を叩くセシリア。
【セシリア】
「教会の者と協力して、町の全域に結界を張っていました。侵入者に
即座に対応するための秘策です」
【セシリア】
「町のどこに侵入者が潜んでいるのか丸解りですから、あとは私が出
向いて各個撃破です」
【セシリア】
「ふふっ、大僧侶の位を舐めてもらっては困ります。これでも、世界
を救うために尽力してきた一行の、いちメンバーですからっ」
【男】
「……なるほど。そりゃ心強いな」
【セシリア】
「今は侵入者も少ないですし、相手の練度も低いですから、教会の者
と私一人でどうにかできます」
【セシリア】
「あとは……、この町を護るだけの力を持った強者が、養成学校から
輩出されるの待つだけです」
【セシリア】
「この町が自衛力を持つのも、時間の問題ですよ?」
【男】
「そうか」
【セシリア】
「んふー。どうですか? 宣言通り、きちんと町を護り抜くために、
日々尽力しているのです」
【セシリア】
「私は、ちゃぁーんとっ! ……立ち直っていますよ?」
【男】
「……そうだな」
誰がどう見ても、セシリアは立ち直っている。
もう後ろを見ることはない。
自分の為すべきことを見つけ、全速力で前進している。
……もう、俺の手助けもいらない。
【男】
「おめでとう」
【男】
「よくやったな」
【セシリア】
「……」
素直に褒めた俺の言葉に、難しい顔をするセシリア。
【セシリア】
「……それだけ、ですか……?」
【男】
「ん?」
【セシリア】
「もっと、褒めてくださっても……。具体的に、ここが良かったーだ
とか、ここが凄いなーだとか……。あと……」
【セシリア】
「ご褒美、とか……」
微かに頬を染めながら、期待の眼差しで俺を見る。
【男】
「ほう……」
【男】
「お前もそんなに積極的になるとはな。しかも自分の行いをダシにす
るか」
【セシリア】
「……? 積極的? ……何を言って……――ッ?!」
俺はセシリアをベッドに押し倒した。
…
……
…
【セシリア】
「えっ、ちょ、ちょっと! なにして――っ!? やめ、っ……やめ
てくださいっ!」
【男】
「なんだ、お前。二転三転しやがって」
【男】
「褒美をくれてやると言ってる。大人しくしろ」
【セシリア】
「っ、褒美……? ……――あっ」
今更自分の言った意味に気付いたように耳を赤くする。
【セシリア】
「ち、違いますっ! ご褒美が欲しいと言ったのは、別にっ、こうい
うことを望んだわけではっ……!」
【男】
「褒美と言ったらこれだろ。他に何がある」
【セシリア】
「ぅぅっ……! 違います……っ! 私は、もっとっ、可愛げのある
ご褒美を……ゃっ!」
覆い被さる俺の胸を押し返す。
【男】
「可愛げとはなんだ。今からすることも、お前は可愛らしくなるじゃ
ないか」
【セシリア】
「っ、なにを……っ! 私がっ、可愛らしくなることと、可愛げのあ
るご褒美とは、わけが違いますっ! 私は、ただっ……」
【セシリア】
「頭を撫でる、とか……そういうことを……」
涙目で蚊の鳴くような声で言う。
【男】
「ふうん」
くしゃりと頭を撫でてやる。
【セシリア】
「あ――」
抵抗を続けていたセシリアは、頭を撫でるとぴたりと動きを止めた。
【セシリア】
「……そ、そうです……。そうやって頭を撫でてくだされば、よかっ
たのです……んんぅ……」
目を細めてくすぐったそうにする。
【男】
「ふむ」
こういう姿も可愛らしいが。
【男】
「……泣かせたい」
【セシリア】
「ん、んぅ……? 何か言いましたか……?」
【男】
「困った姿で嫌がるところを無理やり犯したい」
【セシリア】
「え……え……? い、いま……なんと……」
弛緩しきった顔のセシリアの唇を奪う。
【セシリア】
「――んっ、んぅ」
セシリアの抵抗はなかった。
【セシリア】
「ちゅ、ん……ちゅぴ、ちゅ……ちゅぅ……んふ」
【セシリア】
「ちゅ……ちゅぴ、れる……ちゅ、ちゅぷ……ちゅっ、ん……」
舌の侵入を拒もうとしているのか、セシリアの舌が積極的に動き回
る。
俺にはそれが、舌を絡めようとしている風にしか見えなかった。
【セシリア】
「っ、ぷぁ……はぁ……ふぁ……はふ……」
【セシリア】
「……いきなり、なにをするんですかぁ……。……舌まで入れるだな
んて……ひどいです」
【男】
「抵抗をしなかったくせ、よく言う」
【セシリア】
「て、抵抗したじゃないですかぁ……。無理やりしてきたくせに……」
【男】
「ふうん」
出まかせを言う。
【男】
「なら、今度はしっかり抵抗しろよ」
俺はセシリアの下着を脱がせにかかる。
【セシリア】
「ぅっ、わ……! なにし――っ! 下着、脱が、っ……ちょっと、
ま、待ってください……! 」
【セシリア】
「私たちは、そのっ……お付き合いをしているわけでもないのに……
こんなこと……っ、いけませんっ!」
【男】
「じゃあ抵抗したらどうだ?」
【セシリア】
「っ! 抵抗っ、してるじゃないですかあ! 貴方が、無理やりっ…
…!」
【男】
「そんな弱々しいのがか?」
【セシリア】
「~~~~っ、女が男に抵抗してもっ、力で勝てるはず、ないでしょ
う!? 放して、くださいっ!」
【男】
「そりゃご尤も」
だが、セシリアの抵抗は変則的だ。
こちらが力を弱めれば呼応するように抵抗が弱まり、力を込めれば
抵抗が気持ち程度増える。
まるで、襲うのを止めてほしくないような動き。
【セシリア】
「もうっ……、どうしてこんなことをするのですかっ? 嫌がってる
者と、行為に至ってもっ……楽しくないでしょうっ?」
【セシリア】
「それにっ、こういうことは……っ、好いている者同士で……」
【セシリア】
「あ、あとっ、こういうことは、楽しむためにするようなことではな
いと思いますっ!」
【男】
「でも、お前もこういうの好きだろう」
【セシリア】
「へっ……」
目を丸くして驚いた。
【男】
「この前の風呂のときだって、あんなによがってたくせに」
【セシリア】
「べ、別に好きじゃありませんっ! 全部っ、貴方が無理やりしてい
るんじゃないですかあっ!」
【セシリア】
「この前のお風呂のときだって、私が洗うだけだったはずなのに……
何故か私も洗われることになって……」
【セシリア】
「適当な理由をつけてっ、嫌がったのに、ぺ……ペニスを挿入してっ」
【セシリア】
「二回もっ、中に注ぎ込んでぇっ……!」
【男】
「嫌がったは嘘だろう……」
『混乱』していたときと同列の乱れっぷりだった。
【セシリア】
「っ、もう……! どうするんですかぁっ! 避妊魔法もしていない
のにあんなにたくさん注いで……」
【セシリア】
「“孕め、孕めー”って言いながらぁ……、ぅぅっ……本当に孕んで
しまったらどうするんですかぁ……!」
【男】
「皆まで言ってほしいのか?」
【セシリア】
「え、『皆まで言ってほしいのか』……。……そ、それってどういう
ことです?」
【男】
「……」
【セシリア】
「……?」
【男】
「――隙あり!!」
下着を脱がせた。
【セシリア】
「きゃあああっ!! どさくさに紛れて何をするんですかああっ!!」
【男】
「パンツをゲットしたぞ。ふはははは」
【セシリア】
「か、返してくださいっ! 下着っ……わぁーっ! 掲げないでくだ
さい! 光に透かして見ようとしないでくださいっ!!」
【男】
「ふん。こんな布切れに興味なぞないわ」
ぽいっ。
【セシリア】
「あぁ、部屋の隅に投げた……! っ、ん……!」
取りに行くために起き上がろうとするセシリアの肩を押さえ付ける。
【セシリア】
「っ、ぅぅ~っ! 手をどけてくださ……っ、下着を取りに行かせて
くださいっ……! ――んゃっ」
太腿の奥に手を伸ばすと、セシリアがびくりと反応した。
【セシリア】
「っ、待って、まってくださ……。っ、するにしても、お天道様が昇
っていらっしゃる時間にしなくてもっ……それにっ」
【セシリア】
「リビングに、カロがいるのですよっ……?」
【男】
「カロが?」
一瞬止まった俺の動きを見逃さず、ここぞとばかりに言葉を続ける。
【セシリア】
「そ、そうですっ。私が帰って来たのと同時にやってきて、今おやつ
を食べているところですっ」
【セシリア】
「大きな声を上げたり、お菓子を食べ終えたら、この部屋にきっと来
ますっ」
【セシリア】
「だから……せめて、するなら夜に……」
【男】
「セシリアは、今はしたくないと?」
質問の意図が解らないというように困った顔をするセシリア。
【セシリア】
「も、勿論です。いまからするのは……嫌です。カロに見られてしま
うのは……とても、耐えられませんっ」
【男】
「ほうほう。そうか」
【男】
「じゃあ、今からしよう」
【セシリア】
「『じゃあ今からしよ――」
【セシリア】
「え」
会話をしながら取り出していた逸物をセシリアの中にねじ込む。
【セシリア】
「ちょっ、と、話を聞いてくだ――ぁぐっ! んっ! んんんんっ…
…!」
【男】
「ん?」
前戯なしで挿入したにも関わらず、ぬめりを帯びた膣が奥まで誘う。
【セシリア】
「ゃ、ぅっ……! ~~~っ! だめ……っ、だめですっ……! 抜
いてっ、くださいっ……」
【男】
「……お前、言ってることと体の反応があべこべだぞ」
【男】
「どう考えても、期待してた体の状態だ」
抵抗と呼べる抵抗はしてこなかったと思っていたが、これはこれは
……。
【セシリア】
「へ、変なことを言わないでくださいっ……! 期待なんて、してま
せ……んんっ……!」
軽く前後するだけでこの反応だ。
【セシリア】
「とにかくっ、早く抜いてっ、ぅぁ……! っ、カロが来てしまいま
す……からっ……ぁっ」
言われた通り、ゆっくりと抜いていく。
【セシリア】
「っ、はーっ、はーっ、っ……く、はぁーっ、はぁ……」
酸素を求めて荒々しく呼吸を繰り返す。
【セシリア】
「っ、そうです、そのままっ、ん……ゆっくり、抜いて……」
反転、ゆっくりと挿し込んでいく。
【セシリア】
「っ、ぁ! 入れちゃっ、だっ、ぁぁぅ……! ん、ん~~~っ……
! そんなぁ……ゆっくりぃぃ……っ」
【セシリア】
「ぅ、はっ……ぁぁ……ど、どうしてですかぁ……入れないでって、
言ってるのにぃ……ひどいです……。ぅ、はぁっ……♪」
右腕で隠した顔から覗く顔。
涙目な表情にゾクゾクする。
左手は未だに俺の胸を押し、抵抗の姿勢を見せている。
そんな力も、俺の胸に添える程度の儚いもの。
もはや、ないのと同じだ。
【男】
「声を堪えればバレやしない」
【セシリア】
「んん……無理ですよぉ……。声を堪えるだなんて……勝手に出てし
ま――ぅあっ♪」
上擦った嬌声を上げるセシリア。
【男】
「じゃあこれで口抑えとけ」
手元に転がっていた枕をセシリアに押し付ける。
【セシリア】
「ぅぅ……? まくら、ですか……? ……ぁ、これで口を押さえて
……。……はい、解りま――あっ」
【男】
「どうした?」
【セシリア】
「っ……この、枕……もしかして、貴方が普段使っている……」
【男】
「そうだ」
【セシリア】
「ぅぅ……やっぱり……」
口元に引き寄せていた枕を俺に押し返す。
【セシリア】
「……これじゃ、駄目です……。もっと別のものを……。できれば、
普段あなたの周りにないような……」
【男】
「うるさい。使え」
【男】
「それに、この部屋にそんなものはない」
【セシリア】
「ぅー……。……はい……、解りました……」
おずおずと手を引っ込め、枕で口を押さえるセシリア。
【セシリア】
「はぁ……すぅ……はぁ……。っ、ん……、ぅー……やっぱり……匂
いがします……」
【セシリア】
「この匂いは、駄目です……だめなのです……。私を狂わせてしまう
……危険なにお、い……ん、ぁっ……」
動いていないのに苦しそうな声を上げる。
……そうか。
そういえばこいつは、勇者の匂いを嗅ぐと我を忘れてしまんだった
な。
【男】
「ふむ……」
こいつを使わない手はないか。
【男】
「おい、セシリア」
【セシリア】
「……? はい、なんでしょうか……?」
ぼんやりとしたセシリアが掠れた声で返事をした。
【男】
「こんなことをして、勇者殿に申し訳ないとは思わないのか?」
【セシリア】
「は、え――。ぁ、あの……何を言って」
【男】
「出会って少ししか経っていない男に抱かれて、勇者殿に後ろめたさ
はないのか?」
【セシリア】
「どうして……勇者様のお名前が、ここで出るのですか……? いき
なり、なんですか……」
【男】
「なあ、どうなんだ?」
【セシリア】
「勇者様に対する、申し訳ない気持ち……? 出会って少しの男性に
抱かれてしまっていることの……後ろめたさ……?」
【セシリア】
「ど、どうして……いま、そんな話を――」
腰を小刻みに動かす。
【セシリア】
「ぅっ! んっ、ぁっ、ぁっ! ぁっ、ぁぁっ……♪」
【男】
「勇者殿も不憫なもんだ。自分の大切な者を任せた男に、寝取られて
いるんだから」
【セシリア】
「っ、やめっ……やめてくださいっ……、そんなことっ、言わないで
くだっ、さ……ぁっ! ぅぁっ……!」
【セシリア】
「勇者様はっ、ぁっ、ん……勇者さまっ、は……! あなたに、私を
託した、だけですっ……!」
【セシリア】
「あなたはっ……私を支えてくれました……、立ち直らせてっ、ぅぁ
……く、くれまし、たっ……ぁ、ぅっ……!」
【セシリア】
「それで、終わりですっ……! ん、ふぁ……勇者様は、不憫じゃあ
りませんっ……!」
【セシリア】
「たとえ、自分の遺志を、託した者とっ……ぅ、んんっ! っ、ぁ…
…私が、床を共にしたとしても……きっとっ……」
【男】
「本当にそう思うか?」
下がってきた子宮口を乱暴にノックする。
【セシリア】
「ぁ、ぁっ、ぁっ、あっ、ぁああっ♪ ぅ、ぁあっ♪ な、ん……ぅ
ぁっ! っ……どうして、ですかぁ……っ」
【セシリア】
「ど……どうして、そんな……酷いことっ、言うのですかあ……」
涙でぐしゃぐしゃになった顔。
セシリアは、快感と胸の苦しさに訳が分からなくなっていた。
【セシリア】
「酷いですっ、ぅ……ぁ……ひど、ぃ、ぅ……ぅぅっ! ぁ……、あ
なたが、言ったんじゃないですかあ……っ」
【セシリア】
「『勇者様を忘れろ』とっ、……『一人で生きていけ』、っ……と…
…」
【セシリア】
「どうしてぇ……。どうして、勇者様のお名前を、ぉっ、ぅぁ……っ、
今、……出すのですかあ……」
【セシリア】
「酷いです……ひどいです……っ!」
確かに酷いと思う。
だが、そんな『酷いと思うこと』だからこそ、今日やってしまおう
と思ったのだ。
俺に残された時間は、そう多くない。
楽しめる時間を、できるだけ楽しむだけだ。
【男】
「……確かに、酷いかもな」
【男】
「だが、好きでもない男に抱かれているのは事実だ」
【セシリア】
「え……? ぇ、ぅっ、ぁ……っ、ちがっ……違い、まっ……んっ、
ふ……ぅあっ!」
【男】
「快感にかまけて姦通している女を、勇者殿は天国でどう思っている
だろうな?」
【セシリア】
「っ、わ、わたしっ、はっ……ぁ、ぁっ! っ、快感にっ、かまけて
などいま、せ――んんんんっ……!!」
【男】
「セシリアは、天国の勇者殿に顔向けできるのか?」
【男】
「酷いのはどっちだ? 俺か? お前か?」
【セシリア】
「ぅ、ぁ……ぁぁっ……、っ……ごめ……っ、ごめんな、さ……っ」
【セシリア】
「ごめん、なさぃ……っ、ごめんなさいっ……っ、ごめ……ぅ、ぁっ
……ぁ、ぁっ、ぁッ、ぁあ、あああぁぁぁああぁあっっ……!」
【セシリア】
「ゆるして……ゆるして、くだ、さっ……ぅあっ! ごめんなさい…
…ごめん、な……さい、ぃ……ぃ、ぅぅ……っ!」
【男】
「謝ったところで、どうにかなるわけでもない」
【男】
「潔くいっちまえ」
我ながら堂に入った演技だと思う。
荒々しく腰を動かしていく。
手加減なしの乱暴な動きに、感極まったセシリアが声を上げて喘ぐ。
【セシリア】
「っ、っ、ぁ、ぁっ、ぅ、ぁあッ! ゃ、やめ、ぅぐ……っ、ゃぁ!
ゃぁあッ……!」
【セシリア】
「ぃゃ……っ! やぁ……っ、やぁっ……! ぁっ、ぅっ、んっ、ん
っ、んんんッ! んんっ、ん、んんんぁぁああぁあっっ……!!」
背中を逸らして絶頂する。
結合部からはセシリアの潮が噴き出していた。
【セシリア】
「っ、ぁっ、ぁ……わ……ぁ、ぁぁ……は、ぁ……ぅ……」
断続的な身体の痺れに声を漏らすセシリア。
嗚咽ともとれる喘ぎ声に、さすがに胸が痛む。
……可哀想になってきたな。
【セシリア】
「は、ぅぁ……は、ぁぁ……はぁ……っ、はぁ……ふ、ぅ……」
【セシリア】
「ぅ……、ぅぅっ……。どうして、こんなやり方でするのですかぁ…
…。もっと、普通のほうがいいです……」
おや。
【男】
「バレてたか」
【セシリア】
「はい、気付いています……。楽しそうに演じてらっしゃいましたか
ら……何も言いませんでしたが……」
【セシリア】
「んんぅ……。言葉一つ一つが、結構……胸に突き刺さりました」
【セシリア】
「はぁ……訳が分からなくなって、少々泣き乱れてしまいましたが…
…不覚ですー……」
【男】
「なんだ。面白くない」
【男】
「迫真の演技だと自画自賛していたというに」
何か悔しいな。
【男】
「なら、今度は普通にするぞ」
繋がったままの逸物を抜かないようにして、セシリアの体を持ち上
げる。
【セシリア】
「っ、わっ……。……まだするのですか……? もう、ヘトヘトです
……」
【男】
「まあまあ」
【男】
「次は、セシリアの動くようにしてみろ」
【男】
「騎乗位だ、騎乗位」
【セシリア】
「上から……? ん、しょ……っと」
寝転んだ俺の腰の上でバランスを取ろうと苦戦するセシリア。
【セシリア】
「……騎乗位……? 騎乗位、というのは……」
【男】
「馬に乗ったときの動きを再現すればいい。慣れたもんだろう?」
【セシリア】
「あ、はい。馬なら乗り慣れています。……馬に乗ったときのように
……。……こう、ですかっ? んっ……」
上擦った声で具合を確認するセシリア。
控え目な水音を残しながら、腰を上下させる。
【男】
「っ、そうそう。そんな感じ」
【セシリア】
「んっ、ふぅっ……。っ……なるほど、こんなっ……動き、ですね…
…」
イッたばかりでヘトヘトなセシリアの動きはぎこちないが、休憩さ
せるためには丁度いいだろう。
俺も暇をしない。
【男】
「自分の動きたいように動けるだろ? 主導権を握れて良い気分にな
れるぞ」
実際の女の気分なんて知らんが。
【セシリア】
「あ、はいっ……。自分の動きたいように、動くのは……、はぁ……
精神的負担が、少なくて……いいです、ねっ……ぁっ」
健気に腰を動かしていく。
イッたばかりというのに、まだ快感を求めるのだろうか。
いや……。結局、こうして主導を渡されても、俺に尽くす気持ちが
一身に表れているのかもしれない。
可愛い奴じゃないか。
【セシリア】
「ん、んっ、んっ……ぁ、はぁ……はぁっ、……ん、んん……ぁ」
体を少し持ち上げ、自重に任すように腰を下ろす。
【セシリア】
「でも……これ、は……全体重が、掛かるので……っ、安心はできな
いですっ、ねっ……」
【セシリア】
「――あっ。べ、別に、私が重たいということではないのですよ?
……そういえば、重く……ないですか?」
【男】
「これくらいどうってことない。そらっ」
軽さを証明するために、腰を跳ねさせてセシリアを持ち上げる。
【セシリア】
「っん、ん! わか、解りましたから、ぁっ……! んんぅ……、わ
ざわざ腰で持ち上げないでください……」
【セシリア】
「ただでさえ、苦しくて……フラフラなのに……動かれたら、死んで
しまいます……」
【男】
「ははは、そうか」
【セシリア】
「……じっとしていてくださいね……? んっ、ふぅ……っ」
自分の動きやすい角度を探すように腰を動かすセシリア。
右側面を重点的に擦られたと思えば、裏筋をねぶる。
【セシリア】
「はふ……ふ、っ……ぁ……ぁっ、……っ……ん……。……んんぅ…
…っ、やっぱり大きいですよぉ……」
聞かせるつもりのない呟き。
控え目な喘ぎ声も新鮮だ。
【セシリア】
「ん、ふぅ……ぁふ……ふぅ、っ……ん、……ん……はぁ……」
気の抜けた声を出すセシリア。
湯に浸る心地よさを味わっているような顔をする。
【セシリア】
「ん、んっ、ん……はぁ……この、角度……ん、ふぅ……」
好い加減を見つけたのか、腰をうねらせながら逸物を擦りあげてい
く。
【セシリア】
「っ、ふぁ……。ぁ……ぁっ……♪ きもちっ……んぁっ……♪」
自我を保っていられる程度の快感ポイントを見つける。
蕩けた顔で腰を前後させる。
愛液が増えて、ぱちゅぱちゅと耳に心地いい音が響いてきた。
【セシリア】
「っ、んっ、ぁ……ぅんっ……♪ んゃ、はぁ……はふ、ふぅ……、
ぅ……っくぅ……」
【セシリア】
「ん、んっ……は……。ぁ……あの……。気持ちいい、ですか……?」
ぼんやりとした目で俺を見つめる。
【セシリア】
「私だけ、気持ちよくなっていたり……していませんか? 結構、我
が儘に動いてしまっていますけど……」
謙虚なセシリア。
【男】
「いや。いい感じに気持ちいい」
【セシリア】
「あ……。くすっ、気持ちいいのでしたら、……満足です。……自分
一人だけというのは、虚しいですからね」
【男】
「たまにはこういうスローセックスもいいな」
【セシリア】
「……たまには、という言い方が気になります。スローセックスに興
味を持たれるのは構いませんが……私を巻き込まないでくださいね」
【男】
「ふうん、なんでだ?」
【セシリア】
「ん、ぁ……。む……それは、……私は、まだ……こういうことは…
…。出来れば、したくないので……」
【セシリア】
「……こういうのは、好きじゃありませんから」
【男】
「ほう?」
腰を乱暴に突き上げる。
【セシリア】
「――んっ、っ、んぁっ! ぁっ、ゃっ、やめ、ぇうっ! わっ、は
っ、ぁ、ぁっ、ぁぁぁあっ♪ う、嘘ですっ、嘘ですぅっ……!」
【セシリア】
「すきっ、好きぃ……! ぅんっ、ぁっ♪ はっ、ぁ、ぉ、おちんち
んっ、だいすきですっ……んんぁっ!」
腰を止めてやる。
【セシリア】
「――っ、はっ、はぁっ、はぁっ……はぁ、……はーっ、……んもぅ
何をするのですか……意地悪ですー……」
【男】
「良いことが聞けたな」
【男】
「まさか、セシリアから『おちんちん大好き』が聞けるとは――」
【セシリア】
「ぅわ、ち、違いますっ! 今のは、口走ってしまっただけです!
本当に好きなわけでは――ぁ、う、嘘です。動こうとしないで……」
腰の動きを予知したセシリアが抗弁を止める。
【セシリア】
「ぅぅ……、気持ちいいのは嫌いじゃありません。けど……それに自
我を失い、乱れてしまうのが嫌いなのです……」
【セシリア】
「すん……、恥ずかしい……ので」
【男】
「ほう」
【セシリア】
「……。ぁ……あの……乱れてしまう私を見ても、淫らな女だと思わ
ないでくださいっ……」
【セシリア】
「こんな姿っ、……誰にでも彼にでも、見せるわけではないのですよ
……?」
【男】
「お……?」
【セシリア】
「誰にでも、こんなこと……殿方の上で腰を躍らせるだなんてこと、
するわけじゃないのですよ……?」
【セシリア】
「それは、わかってください……ね?」
【男】
「お、おぉ……」
セシリアのいじらしい主張に、少しだけときめいたものを感じた。
【セシリア】
「……っ、ん……っ、ん……んっ……んはぁっ、ぁっ……ぁっ……♪
ぁっ、ぁ……ぅ、んふ……ふぅ……、っ……ん、ぁっ♪」
拙くも的確な腰の動きに、俺の下腹部が甘い痺れに支配される。
脊髄反射のように逸物がビクビク跳ね始めた。
痺れが逸物全体に広がり始めたところで、俺は声を上げる。
【男】
「ちょ、ストップストップ!」
【セシリア】
「ぁっ、ぁ……ん……? え……? ストップ……。は、はい……」
無心で腰を動かしていたセシリアがゆっくりと体重を下ろして止ま
る。
根元までずっぽりとはまり、未だに蠢く襞の動きに戦慄く。
【男】
「いきそうだから、少し休憩だ」
【セシリア】
「いきそう……? ……“いく”というのは、精液が出ることでした
よね?」
【男】
「そうだ。無知なおぼこだったくせに、よく覚えていたな」
【セシリア】
「この前お風呂場で、執拗に言っていらしたので……。勝手に憶えて
しまいました」
【セシリア】
「ん……、精液が出てしまいそうなのでしたら、動いてあげましょう
か? ん、んんっ……」
返事も待たずに、襞を顫動させながら逸物を引き抜き擦っていく。
【男】
「まーままままてまてまて!! やばっ――こらっ!」
【セシリア】
「ぁっ……は、っ、んふ……はぁ……、……どうしてです? いきそ
うなんでしたら、もっと激しく搾ってあげないと……んん……」
【セシリア】
「こう、するとっ……ん、ぁっ♪ はぁっ……ぁ、気持ちいいんです
よね……? ……くすっ。ほらぁ、気持ちよさそうな顔です……」
【男】
「気持ちいいけど、そうじゃないっ!」
【男】
「理由を言わせろっ、とにかく止まれっ!」
力を入れた下腹部の奥から射精を導く快感がふつふつと沸き起こっ
てくるのを感じる。
【セシリア】
「んふー、嫌ですよぉー……ぁっ♪ ぁ……あ、はふ……ふは……は
ぁ……」
溜息を混じらせるような呼吸の乱れ具合。
自我を保ちつつ快感を求めるように、自己的ではない献身的な動き
を繰り返すセシリア。
ただただ純粋に俺へ奉仕しようとする姿勢が見えて、胸の高鳴りが
止まらない。
愛おしさに、下腹部に入れた力が抜けていく。
【セシリア】
「止まってしまったら、折角気持ちよくなってくれたおちんちんが可
哀想です……ふぅ、は、ぁっ……」
【セシリア】
「私は、今の貴方の……苦しいお顔は見たくありませんから……。早
くその先の……っ、ん、ふぅっ……」
【セシリア】
「気持ちよさに蕩けるお顔をっ、見せてくださいっ……ん、ぁっ♪」
力づくで止めることは簡単だった。
だが、止める手が伸びなかった。
セシリアの純粋な気持ちが、俺の心を虜にさせて、身動きをさせな
かった。
俺はただ、セシリアの息遣いと卑猥な腰遣い、膣内の執拗な締め付
けに身を委ねるだけ。
【セシリア】
「ぁ、ぁっ……はぁ、はふ……ん、んっ♪ んぁっ、ぁっ、ぁ……♪
あ、ふぅ……っ、んん……っ」
【セシリア】
「はぁ……っ、あはっ……♪ ビクビクしてきましたあ……。もう、
我慢できませんかあ……?」
言葉を返す余裕もない。
【セシリア】
「いいですよお……? 好きなっ、ときに……んっ、はぁっ……好き
な、だけ……出してくださいね……っ」
【セシリア】
「っ、このまま……っ、中に出してしまっても……ぁ、はっ……、…
…構いませんからっ……」
【セシリア】
「あなたなら……おまんこの奥……っ、……子宮に注いでも、構いま
せ、んっ……! ぁっ、ぁ!」
【男】
「せし、りあっ……!」
自動的に腰が跳ね動く。
【セシリア】
「ぅっ、ぁ、ぁっ、あッ! そん、なっ……! 腰っ、動かし、ッ…
…! ぅ、ぁあっ……!」
セシリアの腰を掴み、跳ね落ちるタイミングを見計らい、最高の快
感を求めるために腰を打ち上げる。
【セシリア】
「はっ、はっ、ぁっ、ぁっ、あッ! っ、が、我慢のっ、限界ですか
っ……? 腰っ、掴ん、でっ……ガンガン、突いてっ……!」
【セシリア】
「ぅぁっ、ぁっ、ぁ、はっ、はぁっ! はっ、は……っ、どぅ……、
どうぞっ……、どうぞっ……!」
【セシリア】
「好きなだけっ、奥にっ……! ぴゅっ、ピュッ、て……! いって
くださぃっ……! っ、んっ、んっ……! ――っっぅぁあっ!」
【男】
「――ッ!!」
びゅくくくっ! びゅっ! どくっ! どくっ……!
【セシリア】
「――っ! んっ! っ! っ……ぅあっ! あッ! あぅっ! っ
……ん!」
【男】
「っ、ぁ……!」
射精のタイミングに合わせ、無意識にセシリアの子宮を突き上げる。
力強い脈動と腰の打ち付けに、セシリアが大きく喘ぐように息を漏
らした。
食い縛っても口の端から垂れてしまう涎を気にするでもなく、注ぎ
込まれる精液の熱さに身を震わせていた。
【セシリア】
「んっ……ん、んぅ……! っ、でましたぁっ……はぁっ、はっ……
はふ、ふぅ……ふは……はぁ……はぁ……はぁぁー……っ」
荒い息を整えながら、逸物に残った精液を催促するように膣内を収
縮させた。
それに応えるように、ひとつふたつと精液を吐き出していく。
その動きに、セシリアは体をピクンと反応させた。
【セシリア】
「っ、ん……っ。……ふう……ふぁ……。……出ました、ね」
開口一番、セシリアはそう言った。
【セシリア】
「熱いのが、たくさん奥に注がれたの……解りますよぉ……? びく
びく脈打って……ふふっ。……気持ちよかったのですか?」
【男】
「皆まで訊くな……出た量見れば解るだろう」
【セシリア】
「……はい。失礼しました。……皆まで訊くのは、マナー違反、……
ですかね」
【セシリア】
「……でも、気になってしまうのも、女の性と言いましょうか。……
とにかく相手のことが、気になるのです」
【セシリア】
「だから……『ご満足いただけましたか?』って、訊いちゃうのです。
くすくすっ」
乱れた前髪をそのままに、慎ましやかに笑うセシリア。
【男】
「……今日は、楽しめた」
【男】
「たまにはお前に任せるのも悪くない」
【セシリア】
「あ……、……はい。私も、今日は少し楽しめました。上から見下ろ
して行為に浸るというのも、悪くありませんね」
【男】
「そうかよ……」
【セシリア】
「……」
微かに頬を緩ませて、体を傾けてくる。
【セシリア】
「余韻に……」
【セシリア】
「甘い口づけは、……いかがですか?」
事もなげに言う姿が、慎ましさの奥の淫靡さを感じさせた。
【男】
「貰おうかな」
【セシリア】
「はい……♪」
【セシリア】
「……ん……ちゅ……。ちゅ……ちゅぴ……、んふ……ちゅ、……ち
ゅぷ……」
甘いと表現した通りの丁寧な動き。
乱暴さの欠片もない、ゆっくりで濃厚な口づけ。
【セシリア】
「ん……ぷぁ……はふ、……ふぅ……、……くすっ。……ぁ、むぅ…
…んむ、……ちゅる、ちゅぴ……」
俺の唇を軽く咥える。
【セシリア】
「ちゅ……っ、……はぁ……。……いいものですね、こういうのも」
【セシリア】
「なんだか……、ん……。……へへ」
突然、はにかむセシリア。
【セシリア】
「……幸せです」
【男】
「セシリア……」
お前は……やはり……。
そのとき、視界の端に動く物体を捉えた。
【カロ】
「ぉー……」
【セシリア】
「……」
【男】
「……」
少しの間、見合わせていた俺たちは、ゆっくりと首を捻る。
出入り口に佇む少女。
【セシリア】
「……か……ろ……?」
【カロ】
「おいっす。お邪魔してまっす」
場の雰囲気を察してか、抑え気味のトーンで返事をするカロ。
【セシリア】
「ぁ、ぁ……いつから……みて……」
【カロ】
「ちゅーしてた」
【セシリア】
「ぅっ――!」
涎が垂れた跡の残る口元を裾で隠すセシリア。
そんな様子は気にせずに、カロは自分の訊きたいことを訊いてくる。
【カロ】
「ねーねー。上に乗って、何してるの?」
【セシリア】
「あ、の、その、ぁ、ぅぉ、と……」
狼狽する。
なかなか面白い展開だ。
なんと釈明するのだろうか。
まさか、本当のことを言うわけではあるまい。
【カロ】
「お馬さんごっこ?」
助け船だ。
【セシリア】
「そ――そう! お馬さんごっこ! こうして上に乗って、腰を動か
すのよ~」
【男】
「あ、ばか」
突然の動きに膣内に収まったままの逸物がビクビクと反応する。
【セシリア】
「っ、んっ♪ ぅ、ぁっ♪」
【カロ】
「……」
【セシリア】
「ぁ……」
しまった、という顔のセシリア。
差し出された舟に乗って、わざわざ沈没しやがった。
【カロ】
「……」
【カロ】
「……えっち」
頬を染めて、カロは出ていった。
【セシリア】
「あ……あ……」
【男】
「バレてんぞ、あれ」
【セシリア】
「あっ、え、いやっ、でもっ、服は着ていますし、結合部は見られて
いないと思い、ま……ぅぅ」
【セシリア】
「か、かろ……。お姉ちゃんを見損なわないで……」
それからというもの、カロが少しマセてきたのは別の話。