Track 2

睡眠導入

■02 はい、坊や。 今日も一日大変だったわね。 疲れたでしょう? 今日はもう、ゆっくり休んでいいのよ? えぇ、お母さんが側にいて坊やを眠らせてあげる。 だから、安心して休んでね? 坊やはもう何もしなくていいの。 何も考えなくていいのよ? こうしてただゆったりとして、お母さんの声を聴いているだけでいいの……そうしたら、ゆっくりと眠れるわ。 深く、深くね。 えぇそうよ、お母さんがお休みさせてあげる。 私の可愛い可愛い息子……あなたを眠らせてあげるのが、お母さんの役目なんだから♪ さぁ、それじゃあまずはリラックスしましょうね。 目を閉じて、体の力を抜いて、心の緊張をほぐしていきましょう。 ゆっくりと呼吸するのよ? 鼻からゆっくりと吸うの……吐く時も鼻でね? 口は緩めていて? 力を入れちゃ、駄ぁ目。 吸って~~……吐いて~~……吸って~~……吐いて~~……体が重くなっていきます。 吸って~~……吐いて~~……吸って~~……吐いて~~……心は、軽くなっていきますよ。 足の力は抜けてるかしら? 足先の力を緩めて、太ももの力を緩めて……もちろん股間の力も緩めてね? 変に緊張したりしないで? 股間やお腹にたまった力を解きほぐしていくのよ。 吸って~~……吐いて~~……吸って~~……吐いて~~……足の力が抜けたら、お腹の力を抜いて……そして胸の力を、心に残った緊張をほぐしていくのよ? ほぐして、ほぐして。 心を優しく揉みほぐしていくイメージよ? ほら、お母さんが撫でてあげている、坊やの心……今は何も考えないで、お母さんの声だけ聴いて、心が解されていくのを感じてちょうだい。 吸って~~……吐いて~~……吸って~~……吐いて~~……肩の力を抜いて、腕の力を抜いて、指先の力も抜きましょうね? 坊やはもう動かなくていいの。 ううん、もう動けない。 頭の中もボンヤリとしてきたでしょう。 フワフワとして来るわ。 ユラユラとしてくるわ……さぁ、お顔の力も抜いてね? 目の周りの力を、口の周りの力を抜いて、鼻だけで息をして。 あなたのペースで息をして? ゆっくり、ゆっくり、ゆったり、ゆったり……もう、全身がクッタリとしてるわ。 力を抜き去った体は重たくて、けど温かくて……心まで温かくなるの。 温かくなった心が、ジワジワ、フワフワとしてくるでしょう? 坊やは今、癒されてるわ。 眠ることで癒される、お母さんの声で癒される、あなたの体が、あなたの心を癒してくれる。 この、ジワジワした感じをフワフワした感じを、素直に受け入れて? 坊やの中からわき上がるその温かさが坊やをゆっくりと眠らせてくれるわ。 穏やかに、ゆるやかに眠らせてくれる。 フワリフワリと、ユラリユラリと、甘い眠りに誘ってくれるわ……ほら、ふわり、ふわり。 ゆらり、ゆらり……甘く、甘く。 穏やかに、穏やかに……癒やしの眠りへと落ちていく……。 眠りに落ちた坊やの目の前には、広い広い草原があるわ……青々とした広い草原と、青々とした大空。 どこを見渡しても、ずーっと広い草原と空が続いてるのがわかる? とても綺麗ね。 さんさんと降り注ぐ太陽の光があなたを照らしてる……とても温かくて、とても優しい光。 時折吹く風は爽やかで心地良い。 あなたが熱くなりすぎないよう、涼やかな風を運んでくれる。 さらさら、さらさら……穏やかな風が頬をくすぐる。 大きな空を見上げると、真っ白な雲が緩やかに流れていくのが見えるでしょう? 大きな塊が一つ二つ。 中くらいの塊が三つ四つ。 そして無数の雲たちが、穏やかな風にながれていく……姿を変え、形を変え……一つにまとまったり、二つに分かれたりしながら、此方から彼方へと流れていく……ゆらり、ゆらりと。 さぁ、坊やも風の向くまま歩いて行きましょうか。 広い草原を、広い大空の元、ゆっくりと、ゆったりと歩いて行く……背中から穏やかな風が吹いて、あなたをゆっくりと歩かせてくれる。 ふわり、ふわり、ふわ~り、ふわ~り……草原を歩く、ゆっくりと歩く。 穏やかな太陽の光、爽やかな風、一面広がる草原の、緑の匂い……流れゆく雲のように、ふわ~り、ふわ~りと。 いつしか坊やの体もふわり、ふわりと軽くなっているわ。 そよぐ風に乗って、体が浮き上がっていく……軽い、軽い。 坊やの体はとても軽いわ。 今なら、そよ風にだって乗れそうね? ふわり、ふわり、ふわ~り、ふわ~り……一歩歩くごとに、空へと昇っていく。 一歩、また一歩、見えない階段を昇っているかのように、空へ、空へと昇っていくわ。 まるで風のように。 坊やは今、とても身軽になってる。 重たい物はすべて取り除いて、捨て去って、軽い体になっているわ……軽い心になっているわ。 ほら、ふわり、ふわり、ふわ~り、ふわ~り……。 風に乗って、空を歩いて行く。 とても清々しくて、とても爽やかな気持ちね。 坊やを束縛するものは何もないわ。 あなたを捕まえる物は何もない。 なんのしがらみもない、自由の身よ? ほら、思い通りに空を飛べる。 ゆらり、ゆらりと、ふわり、ふわりと、あなたの思い通りに飛んでいける。 風に乗って、風に揺られて、自由に空を飛んでいる。 軽く軽く、ふわりふわり。 すい~、すい~と……大地を見下ろすと、広い草原がどこまでも続いてるでしょう? 地平線の彼方まで、ずーっと続いてる。 同じように空も続いているわ。 どこまでも、どこまでも。 あなたはどこまでだって飛べる。 どんな所にでも自由に飛んでいけるわ。 地平線の彼方の、その向こうまでも。 すべてが坊やの世界、すべてが坊やの自由……雲のように、風のように。 飛んで、飛んで、心のままに飛んでいく……すると、ほら。 草原の真ん中に大きな樹が見えてきたでしょう? 大きな大きな樹、この世界の中心のような、どっしりと安定感のある樹。 まるで吸い寄せられるみたいね? 今日は、そこでお休みしましょうか。 さぁ、ゆっくりと降りていきましょう……風に導かれるように、大樹に招かれるように、あなた自身の意思で。 ふわり、ふわり、ゆらり、ゆらり……あなたの目の前には、大きな大きな樹があるわ。 そこは世界の中心、あなたの心のより所。 あなたがこの世でもっとも安心できる場所よ……ほら。 大樹の根元に座って、樹にもたれかかりましょう。 温かくて、柔らかな大樹……広い大地からゆっくりと水を吸い上げる鼓動が伝わってくるわ……とくん、とくん……とくん、とくん。 気が付けば、近くを流れる小川から小さなせせらぎが聞こえてくる……さらさら、さらさら……とくんとくん、とくんとくん……穏やかな響き、心地良い響き、甘い甘い、眠りへの誘い。 坊やはここで休むのよ。 大樹に守られて眠るのよ。 温かなこの場所で、爽やかなこの場所で、体と心のすべてが癒されていく……ここは、坊やが帰ってくるための場所、お母さんの所。 世界で一番あなたを愛してる、お母さんの胸の中……お休みなさい、坊や。 気持ち良く眠りましょうね。 ゆったりと、ゆっくりと、お母さんの胸の中で、お休みなさい……愛しい坊や♪