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■06
まだ、家の最寄り駅までは数駅ある。
どれだけの人が乗り降りしても、この人と私の場所は揺らがない。
さわられ始めるといつの間にか端に連れ込まれ、人目に付かなくされてしまう。
だからもう、顔を上げても壁しか見えない。
人はいない。電車内が混んでいることだけはよく分かる。
横には人がいる、右にも左にも。でも、後ろにこの人がいる限りどうしようもない。
左腕で抱かれながら、右胸を揉まれる。
同時に右尻……小指が谷間をすべっていき、肛門に当たって止まる。
胸では乳首を摘まれながら、全体を包み込まれている。なんと器用なのか。
背中はほぼ密着しているのかあたたかい。
本当に背中から抱きかかえられているような感じがする……もちろん嬉しいことではない。
この人の熱気ばかりが伝わってきて暑苦しいだけ。
そしてお尻を執拗に撫で回し続けるこの手がまた熱い。
しかもあろうことか、すべての指で谷間をすべり降りてくる。
肛門にはあまり興味がないみたい……それはそうでしょうね、あぁ。
はぁはぁ、分かってる。この人が何をしたいのか、私には分かってる。
女性器に触れたいのでしょう? どれほど脚をギュッと閉じても、無理矢理こじ開けて入ってこようとする……。
そこにあるのは私の女性器。きっとオマンコと言えば喜ぶに違いない、私の一番大切な場所。
誰にもさわらせたことのない……自分でだって、洗う時以外はさわらない秘密の場所なのに。
あぁ、それなのにこの人はさわろうとしてる……うぅん、さわる。
ほら、もうすぐさわる。私のオマンコに、痴漢の指が届いてしまう。
あぁ、あぁ、届く……女の子の一番大切な秘部。
あ、あぁ、あぁ……痴漢が喜びに震えてるのが分かる、伝わってくる。
乳房をギュッと掴んで、腕に力を入れて私を抱きかかえ、強引にオマンコに触れて喜ぶ痴漢……なんて最低な……。
でも声を上げられない私は、脚をギュッと閉じるだけ。
でもそうすると、お尻から攻めていた手を前へと回す。
ようやく生え始めた陰毛をくすぐりながら、するりと股間に潜り込む。
ほら来た。陰毛をすりすりと擦りながら、下腹部をさすってそのまま股間へ。
そちら側から来ると、クリトリスに触れてしまう。
そこもとても大切な場所、敏感な場所だから……あぁ。
はぁはぁ、んっく! 腰を思い切り引いて、脚を閉じて……とにかく女性器にさわらせないようにするしかない。
オッパイはもういい、諦めるから。でもオマンコは駄目、そこだけは。
痴漢が伸ばした手から逃れるように腰を引き、左右に振り、何とかさわらせないようにする。
あぁ、困っているのが分かるわ。
私がこれまでになく動くから、戸惑っているのね……んっく。
胸はもう、揉むというより私を抱きかかえて捕まえるためだけにさわっているような感じ。
オマンコをさわることしか考えていないのね。
だったら、私はこうして逃げ続ければいい。
初めてまともに抵抗できている気がする。
ほら、もうすぐ私の降りる駅……あぁ、今日は気分よく眠れるでしょうね。
初めてのささやかな勝利の喜びに頬をほころばせながら……。