パート5 鞭の後の飴
いっぱい頑張ったわね……さすがは私のマゾイヌちゃん、良い子ね。
反省している気持ち、十分に伝わったわ……ほら、こっちにいらっしゃい。
鞭のお仕置きに耐えられたご褒美よ……ふふっ、ほら早くいらっしゃい?
よくご主人様のお仕置きに耐えることが出来たわね。
偉いわ……あなたならきっとできるって、そう思っていたのよ?
こんなにお尻を赤くして……痛かったでしょ? でも、逃げ出さなかったわ。
私の気持ちをしっかりと受け止めてくれたから……よね?
そういうところ、ポチの良いところだって、前からずっと思っていたの。
ご主人様の……私の意図するところを、しっかりと汲んでくれて嬉しいわ。
きっとこんなこと、ポチじゃないと無理……他の人にはできないことだわ。
私だけのマゾペットちゃん……そうでしょ、ポチ?
もっとこっちに来なさい……来て……ほら、なでなでってしてあげるわ。
どうしたの? ……そうね、こんなことするなんて始めてだったわね。
いつもは調教するだけ……だけどね、本当はこうやって褒めてあげたいって思ってるのよ。
だって私のために、こんなに健気に頑張っているんですもの……褒めたくなっちゃうわ。
ほら、頭をこっちに出して? そう……ふふっ、どう? 頭を撫でられる気分は?
目を閉じちゃって……気持ちよさそうにしているわね……頭撫でられるの好き?
ふふっ、嬉しい?…そう…私もよ。……いいわ、今日は好きなだけ撫で撫でしてあげるわよ。
どうしたの? ……くすっ、これだけ近いから、また私の香りを嗅いでいるのね?
本当だったら叱っちゃうけど……いいわ、好きなだけご主人様の香りを嗅ぎなさい。
どう? 甘くて、とろけちゃう? ふふっ……そんなこと言われると、少し嬉しいわ。
ポチは本当にご主人様が好きなのね……従順で健気で……良いこと思いついたわ。
ねぇポチ……ご褒美に抱きしめてあげましょうか?
そうよ……この胸で、ポチのことぎゅーってしてあげるの……どう?
ふふっ、正直ね……ほらポチ、ご主人様の胸の中にいらっしゃい。
どう? 柔らかい? 良い香りがする? それに……温かいかしら?
いつもはこんなことしないけど……今だけは、ポチの自由にしてもいいんだからね?
ふふっ、そんなに吸い込んで……大丈夫よ、私はそばにいるわよ。
ほら、たくさん甘えて良いのよ? 全部受け止めてあげるんだから。
……そんなに良い香りがするの? とっても幸せそうな顔してるわよ。
そんなにご主人様のことが好きなの? あれだけお仕置きされたのに?
ふふっ、お仕置きしてもらって…きちんと躾けてくれる…、ご主人様のことが大好きなのよね。
単なる暴力じゃなくて、ポチのことを想ってのこと……それが伝わって私も嬉しいわ。
うん……あなたとの絆を感じることができているみたいね。
それにこれだけ近いと、お互いの体温まで分かってしまいそうになるわね。
ポチ……とっても身体が熱いわ……たくさんお仕置きしたから? それとも……。
ご主人様に触れていると、安心するのかしら?
……私もね、ポチに触れていると安心するの……お互い様みたいね、ポチ?
ポチがいるから安心するなんて…、口にするのはちょっと恥ずかしいけど……正直な気持ちよ。
……もっと、身体を撫でてみてもいいかしら?
さっきまで汗をかいていたのに、もう引いているわね。
背中……手を当てていると、ポチの呼吸の動きが分かるわ。
すごくゆっくりな呼吸……リラックスしてくれているのね?
それに、心臓の音も感じることができているわ。
トクッ、トクッて打ってる……ゆっくりね。やっぱり安心できているみたい。
これだけポチに近づいた事なんて、本当……始めてね……。
……ふふっ、こんなに近いと、あなたの匂いを嫌でも嗅ぐことになるわね。
だけど不思議ね……なぜだか私も落ち着くわ……ポチの匂い嗅いでいると。
男なんて、汗くさい人ばかりだって思っていたけど……ポチは全然違うのね。
なんていうか、落ち着くの……こんな風に感じるの、始めてかもしれないわ。
おかしな話よね、ポチにご褒美をあげようとしているのに、私が……癒されている、なんてね。
ねぇ、ポチ? 私の……ご主人様のお願い聞いてもらってもいいかしら?
ふふっ、ありがとう。それでこそ私の従順なマゾペットちゃんね……。
もう少しだけ……もう少しだけ、このまま抱きしめたままいてもいいかしら?
あと少しだけ…、こうしていたいの。
ありがとう……ポチのそういう優しいところ、私好きよ?
(ここまでしっとりと)
……って、なんてこと口走っているのかしらね、私は。
この雰囲気に飲まれて、少しおかしくなってしまっているみたい……気にしないで。
えっ? あ、熱いですって? この私が熱くなってるって言いたいのかしら……?
まさか、照れて体温が上がっている、なんて言いたいのかしら、ポチ?
そんなこと言えるほどに偉くなったものね、ポチ……?
なんて、冗談よ……まぁ、少しだけ身体が熱くなっていることは、否定しないけど。
……なんだか、私らしくないこと言ってしまっているわね。
え? 余計に体温が上がった? まさか……ポチのくせに生意気なことを言うのね。
そ、そろそろ終わりにしましょうか? ほらポチ、身体…離すわね?
……ちょっと、どうしたの? ほら、もう十分でしょ? 離れて、ポチ。
……ポチ? もしかして……ご主人様に何か隠していることでもあるのかしら?
ふふっ、どうやら図星のようね……気づいていない? 呼吸が乱れてきたわよ?
だいたい目星は付くけど……こうやって身体を離さないようにしてるのに、
腰は不自然な程に引かれている……。
ポチ、あなたもしかして……そういうことなんでしょ?
ほら、いい加減にしなさい? 遅かれ早かれ、悪いことはばれてしまうのよ?
お仕置きされた後でばつが悪いのは分かるけど……だけど誤魔化すのはもっと悪いことなのよ?
ご主人様の命令よ……早く身体を離しなさい?
そして正直に言うの……それがどんなことであってもね。
ほら、ポチ? もうご主人様の命令に従わない悪い子じゃないでしょ?