第6話 二人にとってのサプライズ
善行部部室のドアが開き、主人公がバタバタと部室に勢いよく入ってくる
そして勢いよく襖が開く
主人公 「はぁはぁ……な、ナナ狐!」
ナナ狐 「買出しご苦労様。スティックシュガー切れてて悪かったわね……あら、そんなに息を切らせてどうしたの?そんなに早く私に会いたかった?」
主人公 「そうなんだよ!」
ナナ狐 「そ、そうなの……軽口を真剣に受け止められると動揺するものね……え、何?」
主人公 「こ、これ!」
紙袋から本を取り出す
ナナ狐 「これ、明日発売の悦楽天じゃない……どうしたの?」
主人公 「近所の小さい本屋で売ってたんだ」
ナナ狐 「あぁ、あの小さい本屋で早売りしてるの見つけたの?……たまにあるわよね、個人経営だと……でもあなた制服で買ったの?……度胸あるわね……というか売る方も売る方ね(ぶつぶつ)」
主人公 「そ、そんなことよりこれを」
マンガのページを開く主人公
ナナ狐 「なによ……気になるマンガでもあるの?……あっ……これって……私の漫画……小さいけど確かに載ってるわ……」
主人公 「そうなんだよ!努力賞って書いてあるだろ?」
ナナ狐 「努力賞……ふむ、こうして実際に見ると実感が湧くわね……わかっていても」
ナナ狐 「……(眺めてる)」
主人公 「……へ?」
ナナ狐 「あら、当然じゃない。こういうのは事前に受賞の連絡来るのよ……一週間ぐらい前に連絡があったわ」
主人公 「はい?」
ナナ狐 「ぷっ……あははははっ……いいわ、その顔……そういう表情が観たかったの……ちょっと早いけどサプライズ成功ね」
主人公 「ナナ狐~(怒ってる)」
ナナ狐 「あはは、怒らないの……私だって明日のためにケーキ予約してあるのよ……あなたがまさか早売りで買ってくるとは思わないからお祝い効果半減よ」
主人公 「え、あ、そ、そうなの?」
ナナ狐 「ということで今回はおあいこね」
主人公 「そうなのか?……でも、よかったよ。おめでとうナナ狐」
ナナ狐 「ありがとう……あなたのお陰よ……雑誌の端に載るような小さい成果だけど、それでも私、100年経っても今日の事は忘れないわ」
ナナ狐 「それとね、編集者の人から電話がかかってきたの…もっとあなたの読んでみたいからがんばってくださいって言われたわ……ただの社交辞令かもしれないけどね」
主人公 「凄いじゃないか……これからがんばろうな」
ナナ狐 「ふふっ、そうね……もっとがんばらないとね……だからこれからもよろしく頼むわね」
抱きつくナナ狐
ナナ狐 「んっ……わかる……私だって今凄くドキドキしてるのよ……心の準備をしないで見せられたから」
主人公 「す、すまん」
ナナ狐 「じゃあ慰めて貰えるかしら……んっ……ちゅっ」
主人公 「ナナ狐っ……」
ナナ狐 「ほら次はあなたから……んっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……ふふっ、今度はお祝い……んっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……んっ」
ナナ狐 「ありがとう……大好きよ」