2夏の耳かき
(左から走り寄ってくる音)
若様~!
お待たせしました~。
大旦那様に見付からないように耳かき棒を持ってくるの、大変でした。
ふふふ。
(若様の左に座る)
よいしょ。
じゃ、始めちゃいましょっか?
(膝を叩く音)
私の膝枕へどうぞ。
(膝枕される音)
(右耳が上)
(右耳、通常距離)
ふふふ。
若様のお耳をお掃除できるなんて嬉しいです。
あの、痛かったら、言って下さいね。
では・・・。
(耳かき開始)
(右耳、接近、囁き声)
ん・・・。
んん・・・。
んっしょ・・・。
痛くないですか?
・・・良かった。
私、実家で飼ってる柴犬のタロのお耳掃除はやったことあるんですけど、人間のお耳って初めてで。
ちょっと、緊張してます。
それに初めての相手が若様なので、なおさらです。
え?そうですか?
そう言って頂けると嬉しいです。
ガンバっちゃお。
ん・・・。
んん・・・。
あ、大きいのがあります。
どうすればいいのかしら。
う、ううんと。
こうかしら。
んしょ、んしょ。
若様、今は絶対動いてはいけませんからね。
えい、えぇい。
もうちょっと・・・です。
ううんしょ。
ううん。
ん~~~。
(耳元から通常距離へ移動しながら)
ぷはー。
取れました。
ねえ、ねえ、若様。
ご覧になってみますか?
私の初めての大物です。
・・・あ、ごめんなさい。
ちょっとはしゃぎすぎちゃいましたね。
えへへへ・・・。
じゃ、続けますね。
あとは細かいのばかりなので、もうすぐですよ。
(耳かき再開)
ん・・・。
んん・・・。
耳かきって難しいですねぇ。
んっしょ・・・。
ん・・・。
ん・・・。
・・・はい。
おしまいです。
仕上げに。
(息ふきかけ)
ふ~~~~。
(梵天)
(息ふきかけ)
ふ~~~~。
(梵天)
(息ふきかけ)
ふ~~~~。
(梵天)
はい。
こちらのお耳は、おしまいです。
次は反対のお耳を見せて頂けますか?
(寝返りする音)
(左耳が上)
ひゃう!?
あ、す、すみません。
寝返りされる時、ちょっと、くすぐったくて。
・・・私がくすぐったり屋さんなの、若様ご存知でしょう?
んもう、からかわないで下さい。
それじゃ、こちらのお耳もお掃除させて頂きますね。
(左耳、接近)
どれどれ?
わぁ。
こちらのお耳にも大きいがありますね。
私、頑張っちゃいますね。
若様はリラックスして、横になってて下さいね。
(囁き声)
何でしたら、このまま眠ってもいいですよ。
くすくす。
それでは・・・。
(耳かき開始)
んん・・・。
ん・・・。
えい、えい。
若様、あくびが出てますよ?
ふふふ。
私の耳かきが気持ちいいんですね。
嬉しいです。
ん・・・。
んん・・・。
それにしても、この場所はいいですね。
山からの涼しい風が吹いてくるし、母屋から離れているから静かだし。
若様の秘密の隠れ場所なんですね。
でも、私もこの場所を知ってしまったし。
(囁き声)
今日からの二人だけの秘密の場所ですね。
ふふふ。
ん・・・。
んしょ・・・。
ここと・・・。
ここ・・・。
んん・・・。
はい、終わりましたよ、若様。
・・・若様?
あ・・・。
寝てる・・・・。
んもう。
(囁き声)
じゃあ、最後の仕上げは、そっとしますね。
(優しく息吹きかけ)
ふ~~~~~。
(梵天の音)
(優しく息吹きかけ)
ふ~~~~~。
(梵天の音)
(優しく息吹きかけ)
ふ~~~~~。
(梵天の音)
(囁き声)
はい、おしまいです。
(定位置、やや小さい声で)
こんなに気持ち良い場所に居たら、眠くなっちゃいますよね。
・・・若様の寝顔。
カワイイ・・・。
くすくす。
(耳元、囁き声)
・・・若様、好きです。