Track 2

02_暗示と調教

//■2.暗示と調教 (かなり間を空ける) 「…………そう、お兄ちゃんは、私のものになりました」 「私のものになったから……右手。右手に意識を集中して。すると右手が、ずぅんと重たくなって、動かせなくなる」 「重たいのが、右の手から、手首……肘へと上がっていって……腕……肩まで、全部、ずぅんと重たくなる……」 「今度は右脚。右の、足が、ずぅんと重たくなって……その重たい感じが、足から、足首、ふくらはぎ、膝へと、上がっていく……上がってきて、右足全体が重たくなる」 「右手と、右足が重たい。重たくて、動かない。お兄ちゃんの体は、私の言うとおりになるの。だから右側だけが重たい」 「私がハイって言ったら、その重たいのがフッと消えて、元通りになるの。……ハイ。そう、元通りに、フワッと軽くなる」 「そして……3、2、1、ゼロ。はい、落ちる……」 「……落ちたまま、今度は左手が、重たくなる……重たい感覚が、左手から、肘、腕、肩へと上がって……左腕全体が、ずぅんと、重たい……」 「そして、左脚。左脚全部が、私が言うと、いきなりずぅんと重たくなるよ……ほら、重い。ずぅんと、全部が重たくなった」 「体の左側だけが、ものすごく、重たいね……でも、また、ハイって言ったら、元に戻る……ハイッ」 「そう、体が軽くて、ぽかぽかして、気持ちいいね……気持ちいいまま、もっと深く落ちよう。3、2、1、ゼロ」 「……すごく気持ちいい。もう、私の言うがまま。どんなことでも、私の言うとおりになっちゃうよ……」 「だから、さあ……今度は、気持ちよさが、ふくらんでくる」 「胸の中に、熱くて甘い、幸せな感覚が生まれて……それが、どんどん、大きくなってくる……ほら、ほら……すごく、幸せ……幸せ、気持ちいい……たまらない」 「気持ちよさが……快感が、体中に、広がっていく……胸から、頭へ流れこんで、渦を巻く……気持ち良くて、頭の中が、とろとろに溶けていく……」 「頭から、腕へ、腰へ、爪先まで、快感がどんどん広がっていく。体中が気持ちいい。体中が満たされる。体中が幸せ」 「そして、幸せな気持ちが、数を数えると一気にふくらんでいくよ…… 「1、2……3……ほら、大きくなる。もっと幸せに、もっと気持ちよく……」 「もう一回いくよ。快感が、数と共に、大きくなる……1……2……ふくらむ……3……どんどん、ふくらむ……4……5……どこまでも、どこまでも……6……7……」 「……お兄ちゃんは、どこまで気持ちよくなれるのかな?」 「試してあげるね。気持ちいいまま――落ちる。3、2、1、ゼロ」