第8話:お気に入りの、あれ。
うう……やっぱりダメだった……
せっかくこのパソコン、最近プレイしてるオンラインゲームが入ってるみたいだからネットカフェボーナスのためにもやってみようと思ったんだが、
店においてあるゲームパッドがどれもこれも安物な上にボロボロで……
あのゲーム、キーボードでプレイするにはアクション性が高くて厄介なんだよなぁ……
きっといいパッドは、この店の住民に占拠されているんだろう。
かと言って今あるのじゃ、本当に使えるかどうかも怪しい……
こういうことになるなら、自分のをかばんに忍ばせておくべきだったか……
いや、でもそれだといろいろ入らなくなってしまうし……ううむ……
……なぁお前、聞いてるか?
………………ふふっ……
何だその顔……もう殆ど眠ってるじゃないか。
さすがのブラックコーヒーも、今日の疲労には全く刃が立たなかったようだ。
……ほら、来い。(自分の膝の上に誘う)
ん……(膝枕)
(耳元での囁き声/)
なんだかお前、このまま何もしなくても眠ってしまいそうだな……
「して」って……そんな切なそうな声で言うなよ……
わかってる。今日もお前の心地よい眠りのために……なんてのはきっと建前なんだろう。
ただお前がこういうのが好きなだけ。そんなことはわかってるんだがな。
それでも……私がお前のためにしてやれる数少ないことの1つなんだと思うと、嬉しく思うんだ。
時々、まだ眠ってほしくないって思って激しくしてしまうこともあるが……
今日は場所が場所だし、何よりお前も疲れているだろうしな。
……では、失礼する……はぁ……ぁぷっ
(最小限の音で耳を舐めながら/)
どうだ?くすぐったくはないか?
ふふ、いいんだな。了解した。ではこのまま……んむ……
(れるれると、舐め主体な耳なめ1分)
なあ、お前……無意識かもしれないが、さっきから変な声出てるぞ……
ん、ぷゅ、んりゅ、ちぷ……できれば、あまり声を出すな……
愛らしいが……変に思われると困るからな……
私はただお前の耳を舐めているだけで……ん、つぷ、りゅ……いかがわしいことをしてるわけでは……んぷ……ないのだが……
母犬が子犬の体を舐めてやるように、親が子の頬にキスをするように……
普通の事だよ。私はお前を寝かしつけているだけだ。
んちゅ……(頬にキス)
お前……頭撫でながら……んぷゅ……してもいいか?
……はぷ、るゅ……いやなに、あまり声を出せないからな……その分……お前に触れていたいと……思っただけだよ。
ん……頭皮に触れると……んりゅ、ぷゅ……熱いな……
私も少し……汗ばんできてるような……気がする……
ふふ……そろそろ本格的に眠りにつきそうだな……
いいんだぞ?このまま……このまま眠るがよい……
ちぷ……好き……はぷ、りゅ……好きだ…………
(/最小限の音で耳を舐めながら)
(/耳元での囁き声)
ふふ……寝てしまったか。
ネカフェを楽しもうかとも思っていたが、お前に膝の上に乗られていては身動きがとれんな。
ふふふ……自由が制限されているというのに、どうしてこうも幸せなのだろう。
まあ、いつも好き勝手にやらせてもらっているんだ。たまにはこういう日もあっていいだろう。
それに、制限された中で見つける自由というのは、放り投げられたものよりも何倍も価値が有るように思えることだし。
さて、どうせ私は眠れそうにもないし、さっきしそびれたアプリゲームを触っておくか。
まだ日付は……変わってないな。よし。
あやうく連続ログインが途切れてしまうところだった。
別に報酬に違いが出るわけじゃないが、数字が伸び続けることは悪いことじゃないしな。
そして一通り終わったら……ちょうど出る時間になる頃だろう。
お前の頭の上でゲームをすることになるが、許してくれよ?