第9話:東雲電鉄自宅行普通
[帰り道、始発電車の中で]
んぅ……眠い…………
(主「結局寝てないんだね」)
うん、ファミレスで寝てたから、全然眠れなかった……
起きてようにも携帯の電池は切れるし、お前のおかげで身動きも取れないしで、いろいろ大変だったんだからな?
(主「ごめんね」)
いや、私も寝てるお前に頬ずりしたりキスしたりしてて、そんなに退屈はしなかったんだが……
でも、流石に何時間も同じ体制だと……な。
それにしても、お前は元気そうだな……
気持よく眠れたか?
(主「君のおかげで」)
ふふふ……そうか。それはよかった。
……でも、あれだな。
こうやって始発で家に帰るの……なんだか懐かしい……
私はこの雰囲気、好きだぞ。
今から仕事の人や、私達みたいに遊び疲れてる人が入り混じっている。
まだ暗いが……やがて車内が朝焼けの色に染まるだろう。
人と地球の……世界の朝と夜の境界線を観測することができる、この時間が好きなんだ。
……時々目が疲れた時なんかは、空を見るといいぞ?
刻一刻と色や形を変え続ける空は、荒んだ心を癒やしてくれる。
……まあ、私にとっての一番の癒やしは、お前の存在なんだがな……
ん……こら、抱きしめるな……
電車の中だぞ……それに、今そんな風にされると眠くなってしまう……
帰ってからゆっくり寝ようと思ってるんだ。変に睡眠をとると予定がいろいろと狂ってしまうからな。
あ、ほら。外を観ろ。
先程まで黒く染まっていた空が、鮮やかな赤と青に……
……美しいだろう?
こんな空をお前と一緒に見ることができる……なんて幸せな日なんだろうか。
……ちゅっ(主人公の頬にキス)
にひ……今日は楽しかったぞ。
……ありがとう。