Track 2

02

■02 はーい、お疲れさまでした~……私は、もう少し残ってます。 美術室の鍵は閉めておきますから。 あぁ、はい。 先輩も残ってくれてるので大丈夫です。 えへへ~……は~い♪ はふ~……公認カップルになったのはいいですけど、あんまり茶化されると困っちゃいますよね。 照れるじゃないですか……それに、なにもかも見透かされてる感じがして……。 わ、私と先輩が、もう……キ、キス……したことなんかも、みんなにバレちゃってるんじゃないかって思うと照れるどころか恥ずかしいですしっ……そ、そうですよね、あはは。 と、ところで、先輩はまだ描きますか? そうですね、時間はまだ大丈夫だと思いますけど……あんまり居残りしすぎると、また先生に愚痴られちゃうかもしれませんね。 『お前ら~早く帰れよ~、俺も帰れないだろ~』って。 え、え~? 似てませんか? 自分では結構似てると思うんですけど……? はい、もう残ってるのは私たちだけですね。 先生は職員室にいるって言ってましたから、準備室にもいないと思いますけど……ん? どうしたんですか? 何を確認して……え? あ、あの……絵の続きはいいんですか? いえ、でも……先輩? ちょ、ちょっと待ってください。 学校であんまり顔を寄せ合うのは良くないかと思います。 だって、まるでキスしてるように見えちゃう……えぇえ!? す、するつもりだったんですか!? 駄目ですよ……あぁいえ、キス自体は駄目じゃなくて、むしろ嬉しいんですけど……学校ですよ? しかも部室でそんな……あぁもう、先輩。 駄目ですってばっ。 だって、誰に見られてるかわからないんですよ? 今はいないかもしれないですけど、いきなり入って来るかもしれないですし……廊下を歩いてたりも……。 も、もし、キスしてるところ見られたりしたら……っきゃー! はっ、恥ずかしくてっ……駄目です、無理です、明日から学校来られなくなっちゃいますよ~っ……ですから。 こうして、手を繋いでいるっていうことで♪ あ、そうだ。 後はほら、こうして座って、肩を寄せ合ったりして~……んふふ。 あの日のことを思い出しちゃいますねぇ。 二人で買い出しに行って、私が眼鏡壊しちゃって、先輩と腕組みして家まで連れ帰ってもらって、それで……あぁん。 最高に素敵な日でした……先輩、素敵過ぎましたよ~。 えぇ? 下心だなんて……そんなの、私にだってありましたよ? 画材を買うのに付き合って欲しい、なんて口実で、単に先輩と二人きりで買い物に行きたかっただけですし。 覚えてますか? あの日が三度目の買い物だったんですよ? ふふっ……最初に誘った日なんて、ドキドキしすぎて夜眠れなかったんですよね~。 おかげで、次の日フラフラで。 買わなくちゃいけないものもあったのに、全部忘れちゃってて……ただ先輩と二人きりでいたことだけしか覚えていませんでした。 あはは、それでドジな女扱いですよね~。 だって、ちゃんと来てくれるなんて、その時は思ってもいませんでしたから……えぇ? 本当ですか? そのワリには先輩、すっごく落ち着いて見えましたけど……ふーん? んふふ♪ いいえ。 ドキドキしてたのが私だけじゃなくて、嬉しいです。 今思い出しても、あの日の胸のドキドキが思い出されちゃいますよ。 今も、こうしてると……んはぁ~。 先輩のぬくもりを感じられてるだけで幸せです。 こうして手を握って、肩を寄せ合えるなんて、少し前は妄想の中だけでしたから……も、妄想と言いますか、空想です、空想っ。 意味はほとんど同じかもしれないですけど……何だか、妄想の方がちょっとふしだらな感じじゃないですか? えぇっ、ふしだらなのは駄目ですよっ。 清く正しく、美しく……。 いえ、キスは……美しいのでいいです♪ 美しいんですっ……で、でも、学校だと恥ずかしいので、うちに帰ってから……私の家でも、先輩の家でも。 はい、行きたいですっ。 いいんですか!? やった♪ 約束ですよ? わ~、先輩のお部屋、楽しみです~……う。 も、もちろん、キスだって楽しみです……別に、私だってしたくないわけじゃなくて。 したいですよ、もっともっと、先輩と触れ合いたいに決まってるじゃないですか♪ でも、その、あんまり恥ずかしいのは駄目です……場所とか、時間とか、色々と選んで……。 選べばって、何ですか? どれだけでもって……き、キスをですか!? どれだけでも、と言われると……ずっとキスしてたら、息ができなくて死んじゃいますよ~。 いいえ、やっぱり死ぬかもしれません……恥ずかしさのあまり! う、嬉しいけど、恥ずかしいんですっ。 せ、先輩だって、顔真っ赤にしてたじゃないですか……でしょう? いいじゃないですか、お互い恥ずかしければ平等です。 平等なキスができれば、その先だって平等に……え? その先って……そ、その先っ! 私っ、何てはしたないことを! あぁんっ、せ、先輩の意地悪っ……変なこと訊かないでください~。 そりゃ、私が言いましたけどっ、へ、変な意味じゃなくてっ……結婚、とか、赤ちゃん、とか、そういう。 そ、その前って! あぁいえ、その……それはもちろん、し、知ってはいますけど……っきゃ~! 先輩のエッチ! 何言ってるんですか、そんなことできるワケ……ひゃあ。 いえいえ、違いますっ。 興味はありますっ。 先輩となら私っ……で、でもっ、先輩の前で裸になるなんて……その前に下着とか、あぁ、眼鏡を外すなんてコト、私にはとてもっ。 あぁ、眼鏡はもう外してましたね、あはは……じゃなくて~! んもう、先輩のエッチ。 そ、そんなこと考えてたんですか? うっ……いえ、それは、まぁ……私も、ですけど。 そりゃ、まったく考えてなかった、なんて言いませんけどね? それこそ、キスだってもうずっと前から妄想してて~♪ んふふ、結構理想に近いファーストキスでしたよ。 できたら、先輩のお部屋の方が良かったかな~とか、交際前のデートで告白されてからのキスとか……あ、あぁん、もうっ。 先輩ったら、何を言わせるんですか~、もう~っ。 ですから、私だって妄想なら……いいえ、むしろ妄想はします、けど。 実際に先輩を前にしたら、頭の中真っ白になっちゃいますから……今だって、自分が何を口走ってるのか。 ごくん……だ、駄目です。 何を妄想してたかなんて言えません……と言うか、そういうのは訊いちゃいけないと思います。 先輩だって、訊かれたら恥ずかしいでしょう? えっ。 いえいえっ、教えてくれなくてもいいですっ。 んもう、先輩の意地悪っ……結構、そういうところあるんですね。 何だか子供っぽいです……駄目じゃないですし、嫌でもなくて。 そういう、先輩のいろんなところが知っていけたらいいな~って思います♪ あはは、ほら。 やっぱり恥ずかしいんじゃないですか~。 あぁでも、少しだけなら聞いてみたかったですね。 す、少しですよ? あんまり恥ずかしいことは……うーん、少しだけなら♪ あはは、ですから、私だって興味なら……でっ、でも、今はいいです、今はっ。 だって学校ですし……毎日来る部室で恥ずかしいコトなんてしちゃったら、これから、ここに来る度に思い出しちゃうじゃないですか……部活動、できなくなっちゃいますよ。 絵を描くより、先輩のこと考えるばっかりに……なっちゃいます、よ……あ。 せ、先輩…… んっ、んん。 んむ、んっふ、んん、んっ……っぷはぁ、はぁはぁ、はぁはぁ。 あぁんもう、ですから息が……鼻? あ、そうですね。 鼻呼吸すれば……って! ですからそういうコトじゃなくっ……んんっ♪ んっふ、んむ、んん、んっちゅ、んむんむっ。 んっふー、ふー、ふーっ……んん、んちゅ、ふはぁ。 はぁ、はぁはぁ、あっふ、先輩っ、んふん。 んっちゅ、ちゅむちゅむ、んん、ちゅぷっ、んぅうっ……せっ、先輩、舌がっ。 ま、待ってくだっ、ください……はぁ、はぁはぁ。 舌、差し込まれるの、駄目です……いいえ、そうじゃなくて。 ドキドキが強くなりすぎて、呼吸どころか心臓がおかしくなりそう。 嫌なわけないじゃないですか♪ 先輩になら、どこにでもキスされたいですし、どこでもしてあげたいですよ……でも、その、学校だと……あ、あんっ。 んん、んん、んむぅう。 んっちゅ、ちゅむちゅむ、んん、んちゅ。 ちゅむちゅむ、うちゅ、んん、んん、んふぅ、ふぅふぅ、んん、んっぷ……じゅる! ちゅぶっちゅぶっ、んぅう、ちゅむむっ、じゅぶ。 んっぷ、んぅうっ、ふはっ。 はぁっはぁっ、先輩、強っ……あぁ、激しいですっ、んん。 んちゅ、んんぅ、ちゅむちゅむ、んん、んちゅる。 ちゅぶちゅぶ、うじゅるるる、んぅう。 う~っぷはぁ、はぁはぁ、はぁはぁ。 あっふ、先輩の、味がしますぅ、うじゅる。 んむんむ、うちゅっ、ちゅっぷちゅっぷ、うう、んっふぅ……ふー、ふー、んっふー、んぅう。 ディ、ディープキスぅ、んん、うじゅる、ちゅむちゅむ、ちゅむ。 こ、こんなに、舌まで絡めるなんて……あぁ、ヨダレが垂れちゃって、はしたないですよぉ……あふん、んん。 んっはぁ~、は~、は~……あぁもう、結局しちゃったじゃないですか。 学校なのに、部室なのにぃ、んん。 うちゅ、ちゅむちゅむ、んん。 ちゅっぷちゅっぷ、ちゅる、んふん。 しかもこんなに激しいキス……今、私が死んじゃったら、先輩が辱めてくれたせいですからね? そうですよ、恥ずかしすぎると死んじゃうかもしれないんです、んふ、ふふふ。 あっ……で、でも、本当に今日はここまでですっ。 これ以上遅くなると、見回りの先生も来ちゃうし、そもそも顧問も戻って来ちゃいますよ。 私は、先輩とのキスを、他の人に見せる気はありませんからね。 はい、私と先輩だけの秘密なんです♪ 公認カップルになったからって、ですよ。 他人にキスを見せるのは……結婚式の時だけって決まってますから。