Track 4

4-ピロートーク

 ……ご主人様。本日は、ありがとうございました。  奉仕のはずが、思いもかけず、ご主人様と素晴らしいお時間を過ごさせて頂きまして……。  カズハは本当に、心より嬉しく思っております。  このままゆっくり、お休み頂ければと思いますが……他に、なにかご希望はございますか?  ……え? 耳かきを、して欲しい……?  ……ぁ。……はい。  かしこまりました、ご主人様。  では、耳かき棒を用意しませんと。  少々、お待ちいただいてもよろしいでしょうか。すぐにお持ちいたしますので……。  ……はい? ベッドサイドの、小物入れでございますか……?  こちらに、なにか…………。  …………。  ……あ。  これ、昔使っていた……。  まだ、持っていて下さったのですね。  ……ありがとう、ございます。  ではご主人様。久しぶりに、お耳のお掃除をさせて頂きます。  まず、あちらを剥いて、右耳を上になさって下さいませ。  ……はい、ありがとうございます。  ……ん、このやり取り……久しぶりで、懐かしい思いが致しますね。  では、しばらくの間、なるべく動かぬようにお願いいたします。  …………。  ……ん、耳垢、溜まってしまっていますね。  ずいぶん、お掃除できなかったから……。  ………………。  ……ん、ご主人様、無防備なお顔……。  久しぶりですのに……またそうして、カズハにお耳を預けて下さるのですね……。  ……心地よいでしょうか、ご主人様。  腕がなまっていなければよいのですが。  本当に久しぶりで……とても嬉しく思います。  またこうして、ご主人様のお耳をお世話できる日が来るとは……思ってもみませんでした。  ご主人様がこうして、わたくしを心から信頼して下さって、お耳を預けて下さる……。  ……そうして、二人きりでゆったりとした時をご一緒させて頂けるこの時間が、わたくしにとってはこの上なく幸せなのです。  できなくなった時には正直、寂しい思いもいたしました。  ……あ、申し訳ございません。恨み節のつもりではないのです。  むしろ、カズハは本当に、幸せ者でございました。  あの日、坊ちゃまにお会いできた幸運に、感謝しなくてはいけません。  あの時の坊ちゃまの思い違い……わたくしがサンタさんからのプレゼントだなんて。  ……思い返すたびに、頬≪ほお≫が緩んでしまいます。  ただ……今でも時々、思うのですが。  もしあの時、坊ちゃまにお会いしていなければ……。  そうしたら、坊ちゃまは、他のお姉ちゃまを見つけていたのでしょうか……。  わたくしよりも、女性らしく、お姉ちゃまらしいお姉ちゃまを……。  その方が、坊ちゃまのためには良かったのかもしれない、と。  ……でも、もしもあの日をやり直す事ができたとしても……。  他の誰にも……坊ちゃまのお姉ちゃまを、譲りたくはないと、思ってしまうのです……。  ご主人様。本当に、こんなわたくしがお姉ちゃまで、ご主人様はよろしいのでしょうか?  わたくしがいい、と……カズハは母性的だ、と……仰って下さいますが……。  それは……本気にしても、よいのですか……?  …………ん。ありがとうございます。  でしたら、カズハはご主人様のお言葉を、信じることに致します。  正直な所、わたくしなどのどこが良いのかと、思ってしまいますが……。  でも、ご主人様が……ご主人様さえ、そう思って下さるのなら……。  カズハお姉ちゃまには……それだけで、十分なのですから。  ……はい、ご主人様。右耳はお掃除できました。  梵天で、細かいのを綺麗に致しますね。  ………………。  ……お疲れさまです。最後に、息をかけますね。  ……ふぅーっ。……ふぅーっ。……ふぅぅぅー……っ。  ……ん、ご主人様? いかがなさいましたか、身体が震えておりますが……。  そういえば、昔からお耳に息を吹きかけられると、随分くすぐったがっておられましたが……。  ……もしかしてご主人様は、お耳が、感じやすいのでしょうか?  もしかして、それが恥ずかしかった、とか……?  ……ん、そうだったのですね。  申し訳ございません。確かにあの頃のわたくしは、ご主人様を子供扱いしすぎていたのかもしれません。  ですが、もう心配なさらないで下さいませ。  ……お耳で気持ち良くなってしまわれたなら……カズハお姉ちゃまが、責任を取って差し上げるのですから。  さあ、ご主人様。今度は左のお耳を。  そのまま、寝返りを打って下さいませ。  …………。  ……はい。では、左耳さんのお掃除も、させて頂きますね。  …………。  ……ん、こうして、お腹が目の前に来るのも、恥ずかしかったのですか?  そうですよね、意識してしまわれるのも、仕方がございません。  ……でも、いいのですよ。  そのような事はお気になさらず、どうぞたくさん、カズハお姉ちゃまに甘えて下さいませね……坊ちゃま。  …………。  ……こちらも溜まってしまっていますね……。  カズハお姉ちゃまが、キレイに、キレイに、して差し上げます……。  坊ちゃまのお耳のお世話は、お姉ちゃまの大切なお仕事……。  どうぞ今後は、坊ちゃまのお耳のお世話を……カズハお姉ちゃまに、全てお任せ下さいませね。  坊ちゃまの可愛いお耳をお世話するのは……お姉ちゃまにとっても、一番幸せな時間なのです。  その……ですから、あの……もう、お姉ちゃまから、離れないで、下さいますか……?  ……ふふ、嬉しい。ありがとうございます、坊ちゃま。  ……まだまだ、甘やかすのは上手くありませんが……。  坊ちゃまがたくさん甘えて下さったおかげで、ほんの少しだけ、自信が持てたように思います。  ですから、これからもたくさん甘えて……。  カズハを立派なお姉ちゃまに、育てて下さいませ……。  その、お恥ずかしい話なのですが……。  坊ちゃまが甘えて下さる度に、もっともっと、甘えて頂きたい……。  坊ちゃまのお役に立ちたい……坊ちゃまに癒されて欲しい、と……。  カズハはそのように、思ってしまうのです……。。  ……え? そんな所が、母性的だと?  ……なっ……そ、そのような……だって、その……それは、全部、わたくしの欲でございますから……。  母性というのは、もっとこう、無償の好意、といいますか……。  ……あ、でも……相手のためになりたいということが、そのまま自分の欲に結びついているのですから、これもある意味では、無償の好意、なのでしょうか……?  うぅ……わ、分からなくなって参りましたが……。  ……でも。坊ちゃまは、そう思って下さって、おいでなのですね。  ……それなら、カズハは坊ちゃまに対する母性なら、誰にも負けるつもりはございません。  ですからこれからは、どうかご遠慮なさらず。  カズハお姉ちゃまに、たくさん甘えて下さいませね、坊ちゃま……。  …………。  ……ん、キレイになりましたね。  梵天で、仕上げを致します……。  …………。  ……ん。はい、できました。  では、お耳をふーふー致しますので、少々ご辛抱を……。  ……ふーっ……ふーっ……ふぅーっ…………。  ……、はい。お疲れさまでした、坊ちゃま。  本日のお耳のお掃除はおしまいです。  ちゃんとじっとしていられて、大変ご立派でした。  ……ん、坊ちゃま、おめめがとろんとして参りました。  眠たくなってしまわれましたか?  ……わたくしのお膝の上で、そんなにリラックスして下さったのですね。ありがとうございます。  このまま、お休みまで付き添わせて頂きたく思いますが……。  流石に、夜通し膝枕というのは、足がしびれてしまいます。  坊ちゃまさえよろしければ……その、添い寝を、させて頂いてもよろしいでしょうか?  ……はい、ありがとうございます。  では、坊ちゃま……お隣、失礼いたしますね。  …………。  ……ん。  膝枕でお昼寝、という事はございましたが……。  添い寝をさせて頂きますのは、初めてでございますね……。  ……少し、緊張いたします。  …………坊ちゃま、よろしければ、その……胸を、お吸いになられますか?  ……はい、構いません。  ……カズハママのお胸は、坊ちゃまのものでございますから。  腕枕をいたしますので、どうぞ、おしゃぶりになりながら、お休み下さい。  さあ、どうぞ……。  …………ん。  いかがですか坊ちゃま。  カズハママのお胸は、美味しい、ですか……?  ……ふふ、良かった。  お休みになるまで、このままずっと、添わせて頂きますので……。  どうぞ安心して、おくつろぎ下さいませ。  こうして……頭を撫でて、お背中をとんとん、って……。  寝かしつけて差し上げます……。  ですから、カズハママのおっぱいの事だけを考えて、お休みになって下さいね。  あ……、そんなに、身を寄せてきて……。  ……カズハママに甘えるの、お好きですか?  ……ありがとうございます、嬉しいです。  カズハママも、坊ちゃまに甘えてもらえるの、とても好きですから。  ……だから、いつでも。カズハがママになってさしあげますね。  お辛いとき、お疲れのとき、ふと寂しくなった時……。  ……そして、わけもなく、ただ甘えたくなってしまわれたときも……。  いつでも、カズハママが慰めてさしあげます。  ……このお胸は、坊ちゃまのものですから。  いつでも、坊ちゃまのために空けておきますので。  カズハママのお胸は、坊ちゃまの特等席です。  その……毎日でも、甘えて下さってよいのですよ。  ……ふふ。坊ちゃま……。坊ちゃま……。  ………………。  ……ん、坊ちゃま? そろそろ、本当にお休みになりますか……?  はい、ではどうぞぐっすりと、お休み下さいませ。  このままずーっと、ご一緒いたしますから。  おやすみなさいませ、坊ちゃま……。  …………。  ……ん、ちゅっ……。