第10話 雪夜さんと耳かきコース導入編
いつものように部屋で語らっている主人公と雪夜さん
雪夜 「あっ、主、茶釜の湯が沸いたようです」
雪夜 「……はい、沸き立つ直前の水の音を察しました。茶には適した温さでしょう」
お湯を注ぎながら
雪夜 「急須に湯を入れるので少々お待ちください……はい、耳は良いですから……些細な物音もよく聞こえます」
雪夜 「物音と言えば主の横にあるその包みはなんでしょうか……なにやら陶器のような音が微かに聞こえました」
雪夜さんに包みを渡しそれを開ける
雪夜 「はい、主……この包みを開ければよいのですか……これは……湯のみ……『雪夜』と私の名が刻んであります」
雪夜 「プレゼント?私にこれを……ですか?……いえ、しかしこれはお役目とは何ら係りのないもの……受け取るわけには」
雪夜 「私の喜ぶ顔?……そんなものが見たいのですか……やはり主はよくわかりません……しかし嬉しい……です」
自分の名が入った湯のみを見つめながら
雪夜 「私のもの……他の誰でもない私だけのもの……大切に致します」
雪夜 「あ、失礼致しました……お茶が渋くなってしまいますね」
雪夜さんお茶を急須からそれぞれの湯のみに注ぐ
雪夜 「では早速この湯のみを使ってみます」
お茶を渡す雪夜さん
雪夜 「どうぞ主……では私もいただきます」
お茶を飲む雪夜さん
雪夜 「んぐ、やはり少し渋くなってしまいましたね……それでも私には忘れられない味です」
雪夜 「主、今宵は床に就く前に私の部屋をお尋ねください」
雪夜 「はい、そろそろお耳掃除の頃合かと……主が望むならお夜伽でもかまいませんよ」
雪夜 「くす、ではお耳掃除を……今度は私が主をお喜ばせする番ですね」