Track 2

手コキ「耳舐め」

◆2  手コキ「耳舐め」  とある日の夜。  俺は風呂上りの歯磨きを行っていた。 【兄】 「…………(シャコシャコシャコ)」  廊下の足音が近づき、戸が開く。 【優衣】 「あれ、いたの」  優衣だ。  お決まりのパジャマ姿で脱衣所に入ってきた。 【優衣】 「あぁ、いいから。気にしないで歯磨きを続けて?  私は別の用事」  そう言って後ろに回る。  鏡越しに背後の優衣の姿を目で追う。  脱いだ服を確認してるようだ。 【優衣】 「えー、とー……胸ポケットー、と……。  あぁ、あったっ」  目的の品を握り締めて、すくっと立ち上がる。 【優衣】 「それじゃ、お邪魔しましたー……。……んー……」  廊下に向かおうとして、足を止めた。  幾ばくかの間、考える仕草をしてこちらを向く。 【優衣】 「ねえ、その歯ブラシ……どれくらい使ってるの?」 【兄】 「んー……? 二か月くらいか?」 【優衣】 「二か月? ……通りで、目新しい感じがしなかったのね。  同じ種類のを買っているだけだと思い込んでいたけど、  どうにも毛先がへたれてるように見えて仕方なかったもの」 【兄】 「でも、まだ毛はしっかり立ってるし、買い替えなくてもいいだろ」 【優衣】 「歯ブラシは、歯医者さんによっては二週間で交換するべしと  説いている人もいるくらい、定期的に換えたほうがいいものなの」 【優衣】 「毛先が広がっているかどうかで判断するのは間違いだわ。  見るべくは、毛の透明度よ」 【優衣】 「ほら、私の歯ブラシを見て?」  歯ブラシ立てから水色のものを手に取る。 【優衣】 「この間に買い替えたばかりだから、毛が少し透けているでしょう?」 【兄】 「たしかに」 【優衣】 「対して、こっちがお母さんの。  毛が白くて、透明感がなくなっている。  これが買い換え時のサインってわけ。磨き落とす効力が落ちてるの」 【兄】 「ほうほう?」 【優衣】 「さて、兄さんのはどうかしら? ちょっと見せてみて」 【兄】 「いま歯磨きの途中なので」 【優衣】 「いいから。ほら、口あーけーてー? 見せてー、ねー?」 【兄】 「いや、ちょっと」 【優衣】 「くすくすっ、ふふっ。ん~? 遠慮しないで、ほら。  ちゃんと一本一本を丁寧に磨いているかもチェックしてあげるわ。  ほーらっ、口をあーけーる~~ぅ~~うっ」 【兄】 「やめんか! やめんか!」 【優衣】 「くすっ、あははっ!  ふふ……ごめんなさいっ。冗談が過ぎたわね、悪いクセ。反省反省」  本当に反省しているのだろうか……。 【優衣】 「それじゃ、先に部屋に戻るわね」 【優衣】 「布団を温めて待っておくから。じゃ」 【兄】 「……」  事もなげに言ったことが、内容をより生々しく伝える。  ……歯磨きを終えるまでが長く感じた。  …… 【優衣】 「あ、お帰りなさーい」  部屋に入ると、脚を布団に潜らせて参考書を読む優衣がいた。  俺を視認すると、本を閉じて就寝体勢に入る。 【優衣】 「ささ、いらっしゃい?」  ベッドで迎える優衣は、布団を優しくぽふぽふと叩く。  日中は小うるさい優衣が、夜になるとこうして俺を甘やかす。   こっちのほうが、きっと素の優衣なのだろう。  こんな姿を俺にだけ見せてくれていると思うと、  反抗する意欲も湧いてこない。 【兄】 「電気消すぞ」  リモコンを操作し、ベッドに潜り込む。  いつものようにこちらを向いて寝る優衣。  ……ちょっとした意地悪。  優衣に背を向ける。 【優衣】 「む。ちょっと」  パジャマを引かれる。 【優衣】 「どうしてそっち向くのよ」 【兄】 「今日は横を向きたい気分なのだ。わはは」 【優衣】 「横を向きたい気分なら、こっちを向けばいいでしょー。  ん、ほぉら、こっち向いてっ。向く、のーっ」 【兄】 「ええい、引っ張るんじゃない」 【優衣】 「…………」 【優衣】 「両脇くすぐりの刑!」 【兄】 「のわっ!?」  脇下に手を差し込まれた。 【優衣】 「っ、こしょこしょ、こしょこしょーっ!  ほら、観念してっ、こっちを向きな、さいっ!  こしょこしょこしょ、こしょこしょーっ!」 【兄】 「わーった! わーったわーった! 向く向く向く向く!!」 【優衣】 「うんー? んー? くすっ、口だけじゃ分からないわーっ。  まずは行動でっ、示せーっ、このやろーっ!」 【兄】 「っ、ぐっ! 向くっ、むく! はい向いた!」 【優衣】 「くすっ、ふふ。……はい、ストップ」  脇を襲っていた手の感覚がなくなる。  天井を見上げてほっと一息……。 【優衣】 「……? こっちに向かないの?」 【兄】 「え……?」 【優衣】 「今日は横向きに寝る気分なんでしょう?  さっき自分で言ってたじゃない」  笑いながら訊いてきた。 【兄】 「あー……いや、これで寝る」 【優衣】 「ふうん、そう」 【優衣】 「まあ……上を向いたほうがしてもらいやすいものね。  ん、合理的だわ」 【兄】 「……」 【優衣】 「……そこで黙られるのも、困るんだけど……。  なんだか、私から誘ってるみたい……」 【兄】 「すまん、そんなつもりじゃなかったんだが……」  唐突に話を切り出されても反応し辛い。 【優衣】 「……ねえ、そろそろ自分からお願いしたら?  毎回、私のほうから訊いて……断った試しがないじゃない。  いちいち確認するのも、ね。……ええと、実は結構恥ずかしい」 【兄】 「あー……」 【優衣】 「私のことは気にしなくてもいいのよ?  彼女のいない兄さんのためだもの。……仕方ないこと」 【優衣】 「それに、この前も言ったけど……私、兄さんが感じて、  相好を崩してよがってるところを見るの……結構好きよ?」 【優衣】 「だから、半ば好きでやっているようなものなの。  ……兄さんは、私の楽しみを奪う気?」  ……そこまで言うのは余計なことじゃないだろうか。  わざわざ外堀を埋めていくようなことをしなくとも、  俺はこの行為をやめられずにいるわけだし。  それでも、優衣の言葉は俺の罪悪感を軽減する効果があった。  我が妹独特の言い回しに込められた優しさ。  いったい何度助けられたことか。 【優衣】 「ほら、ちゃんとお願いして。自分から。  じゃないとしてあげない」 【兄】 「……」  ……憎々しいところも、魅力の内の一つではあるだろう。 【兄】 「優衣……してくれるか?」  ハキハキとした声は出てこなかった。  それでも、優衣は充分だとばかりに微笑む。 【優衣】 「……んっ、仕方ないわね。  兄さんにお願いされたとあらば、私も断れないわー」  そう言って、ひとつ笑う。 【優衣】 「ほら、脱いで?」  パジャマの腰紐をくいっと引いてくる。  ささやかな仕草は俺の意欲を促進するのに充分だった。  優衣に引かれたことでできた隙間に手を差し込み、  下着と共にパジャマを下ろす。  下着のゴム紐が弾く音。  現れた陰茎を見て、優衣は喜んだように喉を鳴らした。 【優衣】 「わぁ……。……ふふ……」  脈動を続ける逸物にそっと手を伸ばし、優しく握る。 【優衣】 「ぁ……かたーいっ、んふふっ。……しこ……しこ……、あはっ……  びくんっ、びくんって跳ねちゃう。  本当、相変わらず兄さんのおちんちんは、素直で正直な子ね」    逸物を包む、少しひんやりとした優衣の手。  華奢であり柔らかな肌を持つ手は、自分のとは丸っきり違うもの。  いくら回数を重ねても慣れることなく、逸楽に腰が震えてしまう。 【優衣】 「根元のほうで小刻みに焦らす感じがいい?  それとも、ゆっくりと……ふり幅を大きく、根元からカリ首の  ところまで、こしっこしってする感じがいいかしら?」  言葉で説明しながら、合わせて手を動かしていく。  適度な圧力で上下されると、簡単に我慢の限界を越えてしまう。 【兄】 「優衣、もういいから……はやく……」 【優衣】 「んぅ? なーに? 聞こえなーい。  んふふっ、もっとはっきり言わないと……わからないわー」 【兄】 「だから……」  またわざわざ口にさせたいのか。 【兄】 「早く……口でしてくれ」 【優衣】 「ん~? ……んー……そう、お口でしてほしいの。  ……ふうん……、くすっ……だーめっ」 【兄】 「っ、なんで……」 【優衣】 「だって、いつもお口じゃ、芸がないでしょ?  たまには趣向を変えないと……ね?」 【兄】 「それは、そうかもしれないが……」 【優衣】 「……なーに? 兄さんは私の手じゃ……満足できないの?  もう……。してもらってる立場なのに、文句を言うだなんて……。  くすっ、贅沢で……欲張りな兄さん」  脇腹を指先で突かれた。 【優衣】 「ん……安心して? ちゃんと頑張るから……ね? お願い」 【兄】 「む……」  甘えるような声で『お願い』と言われたら反抗できない。  こちらも手伝ってもらっている立場なんだし、  優位なのは向こうのほうだ。 【兄】 「……わかった」  俺の返事に、優衣は安堵の息を漏らす。 【優衣】 「……んっ、任せてっ」  夜の帳が下りればこんなに素直になるんだから、  この関係はやめられないよなぁ……。 【優衣】 「じゃあ、ゆっ……くーりと、動かしてくわねー?  焦らすよぉーにぃ……くす、もっともっと~ってびくびくしちゃってる」 【優衣】 「ん、まだだぁめ。我慢汁も出てないのに、  ごしごしなんてできないでしょ? もっと興奮して?  おちんちん、もっとびきびきって……反り立たせてー? くす……」  肩に頬を当てて喉を鳴らしながら手をしなやかに動かす。  ゆっくりとだが、ミルクを絞り出すように根元から先端に  引き上げながら手の圧力が増していく。  緩慢な動きの中でも確実に性感を高めさせてくる。  些細なことではあるが、優衣の性処理における技術向上は目ざまし  いものがあり、俺はただただ慄くばかりだ。 【優衣】 「下に……上に……。下に……上に……。  上にあげるときは先っぽからおつゆが出てきやすいようにー……、  ぎゅぅぅって絞りながらするわねー?  緩急をつけて……きゅぅぅ、……きゅーぅっ♪」 【兄】 「っ、ぅ……」 【優衣】 「うん? じんじんしてきた? 気持ちよさそうな声……。  んふ、じれったいのも時には刺激的で、良いスパイスでしょう?  今日はゆーっくり、たーっぷり味わいましょうねー?」 【優衣】 「兄さんが気持ちよくぴゅっぴゅって射精するまで……  じっくりとしてあげるから……」  安心して、と言いたげな優しい声色。  今はイかせるまでの速さや強さでないけど、  ちゃんと最後には満足させてあげる――  射精という結果をわざと口にすることによって、俺はこのじれった  さを煩わしいものと捉えなくなっていた。 【優衣】 「ね……左手が手持無沙汰だから、兄さんの右手と繋いでも……いい?  くす……繋ぎも繋ぎ、指と指の間を通す……『恋人繋ぎ~っ』。  んふ、……今だけは、私を恋人と思ってくれていいから、ね?  ……どう?」 【兄】 「別に……好きにしろ」 【優衣】 「……♪」  ぶっきらぼうに言ってしまっても、優衣は顔色を変えずに喉を鳴ら  して応えた。  肉棒を扱く手を止めると、反対の手で俺の右手を握る。  指と指を絡めようと苦戦する優衣に、俺は手を開くことで助け舟を  出してやった。  優衣は何度も握り直して、こだわり深く、指の付け根で絡まるよう  にとしてくる。  満足する形になったのか、優衣は五指を曲げた。  少々躊躇いはあったが、俺も指を閉じて応えてやる。 【優衣】 「んふふ、右手は私の左手と……おちんちんは私の右手と繋がってる。  私の両手とも、兄さんと……恋人みたいに繋がっちゃってる……」 【優衣】 「左手では兄さんと愛し合うみたいな形なのに、  右手は兄さんのを可愛がるみたいな形ね。  なんだか歪で、妙なカンジ」 【優衣】 「でも、こうすると……より深く兄さんと愛し合ってるみたい。  うまく言えないけど、そんな感覚がする」 【優衣】 「愛って、とっても複雑怪奇なものね」  感慨深く愛を語る。  恋を知らない優衣に、愛を理解し得るのだろうか。  恋の先にある、愛。  しかしながら、恋の工程を無視した愛の形があるのもまた事実。  家族愛と呼ばれるものがその一つだが……優衣の言う愛とは、  果たして、家族愛や兄妹愛と呼ばれるものなのだろうか。  優衣が知らない、優衣自身の抱く恋を俺は知っている。  お前の語る愛は、本来は語ってはならないはずの愛じゃないのか?  俺の疑問を悟ったのか、優衣は優しく息を吐く。 【優衣】 「別にいいの。こうしてるときだけは、妹じゃなくて彼女なんだから。  恋人同士のように、愛し合ったっていいの」 【優衣】 「日常生活における恋人の真似事は再現しがたいものがあるけれど、  兄さんの性欲処理のお手伝いならば、私が兄さんの彼女役でも  見劣りせずに演ずることができる……」 【優衣】 「……むしろ、私こそ……兄さんの彼女に相応しい……」 【兄】 「え……」 【優衣】 「…………?」 【優衣】 「…………」  ゆっくりと時間をかけ、己の発言を反芻したようだ。 【優衣】 「……あはは、は。なんか、勘違いしてない?  私はね、もし将来、兄さんに彼女ができたとしても、きっと……  私のほうが本物の彼女以上に彼女らしく振舞うことができるーって、  そう言っただけ。  ……私を彼女に、とか……そういうんじゃ、ないから……」  口頭で釈明した。  にも拘わらず、俺の誤解を敢えて口にすると、  覇気のない声で尻すぼみした。  釈明のはずが、まるで自分の真意をはかりかねているような声。  それも一瞬。言下で手の動きが再開する。 【優衣】 「ほ……ほら、……私は兄さんがどうすれば気持ちよくなれるか  熟知してる。兄さんの考えてることなんて手に取るように分かるもの。  くすっ、それに兄さんは……私には、私にだけは……  ありのままを晒してくれる……でしょ?  こんなの、ただあしらえただけの彼女じゃ、できっこないもの」 【優衣】 「あ……♪ んふふー、出てきたぁ……。  聴こえる? くち……くち……って。おちんちんの上を手が  滑っちゃうから、ぬりゅぅっ……て、カリ首を締め付けるでしょ?  きもちー? くす、気持ちいい?」  ずいっと近づくと、耳元に吐息交じりに囁かれる。  思わぬ刺激に、息を呑んで身体を震わせてしまう。 【優衣】 「……? どーしたの? ……ふふっ、囁かれるの、好き?  私が口を動かすたびに、体がぶるぶるって震えてる」  囁く声に肢体を震わせ、その間に逸物を扱かれると……  何とも言えない甘美な刺激となる。  歯を食いしばっても、喉の奥で甲高い鳴き声が漏れてしまう。  俺のようすに、優衣はイタズラっぽい笑みを漏らす。 【優衣】 「ぁ……思い出した。兄さんってば、私の声が……くす、  私の声に『興奮する』って、前に言ってたものね」 【優衣】 「そっかぁ……。耳元で囁かれて、しかも囁く声は私の声……。  反応しちゃうのも当然よね……?」 【兄】 「ちがっ……」  意図せず抗弁をするが、カリ首を指の輪でくりくりとされて言葉を  飲み込んだ。  得たり顔の優衣はさらに口元を寄せてくる。 【優衣】 「ふうん……。  耳元で動く……私の口の動きを聴いて、興奮するんだ。  そかそか、……くすくす」  わざとらしく笑い、聴かせるように口で息をする。  離れていれば聴こえないような小さな呼吸。  微かな吐息を鼓膜で感じ、ぞわぞわとする体を押さえつけようと  眉をキツく閉じる。  しばらくして、優衣の口が開くのを感じた。 【優衣】 「はぅむ……」 【兄】 「っ、……!?」  耳朶に覚える柔らかさ。  今まで以上に優衣の吐息が耳介に吹きかけられる。 【優衣】 「はむ、あむ……ぁむ、んみゅ……んふ。……はぁ、ぅむ……、  ん……ん、んむ、ンにゅ……んもんむ……ん、んぇれ……れろぉ」  口が開かれ、唾液をまとう舌が這い出てくる音まで鮮明に聴こえる。  なんだこれ、なにが始まってる。 【優衣】 「ぇれ、ぇぇ……クスッ。  ……んぅ~? 耳たぶ、はむはむされるの……んふ、どう?  ンれぇぇ……って、舌をお口から出す音……嫌い?」 【兄】 「ぅ……」  妙な感じではあるが、嫌いかと訊かれると返答に困る。  ムズ痒いけど、癖になるような感覚。 【優衣】 「……少し下品な音かもしれないけど、……ふふ、  逆にそれが……興奮する? くす、兄さんってば……へんたーい。  ……はぅむ……んンむ……、食べちゃぅ……はみゅ、んむ、ン……」 【優衣】 「ちう、ちゅ、ン……はむ、んむ……んれる、れりゅ、れぇ……。  はぁむ、ちゅ……ん……ン、ちう、ちゅ……ん、んぁむ……ん」 【優衣】 「ちゅ、ちゅ……ん……こっちも集中して?  ほらぁ、涎でべとべとなおちんぽの先っぽ♪  涎まみれな手で搾ってあげるー……ふふっ、ぷちゅ♪ ぷちゅっ♪」  口から発せられるオノマトペに合わせて、陰茎が甘い刺激に  支配される。  相乗効果は絶大だ。 【優衣】 「くす。……はぁぅ、む……ん、ン……。  ちう、ちゅ……ちゅ、ちゅ……ん、ねろれるぅ……ん、フ……  はむ、あむ……ぁむ……ん……」 【優衣】 「ちう、ちゅ……ン、はぷぅ……ちゅ……ん、ふふっ。  兄さんって、耳も弱点なの?  くす……こんな曝けたところに性感帯があるなんて、難儀な体ね」 【優衣】 「満足させるって約束したもの。ちゃーんと有効活用しないと……ね。  はむっ……んむゅ、ン……ちう、ちゅ……噛んじゃぅ……はみ、  はぐっ……かみかみ……あぐ、あむ……ふふっ。んン……かむ……」  薄くも柔らかさを持った耳たぶに切歯がかけられる。  少しでも力加減を間違えれば痛感と変わる行為。  優衣を信頼しつつも、本能的防衛心で身構えてしまう。 【優衣】 「んむ、かみかみ……んフ、ふふっ。肩が上がってる。  耳を責められたくない? ……ふぅん。そんなことばっかり  言ってると、こっちが危なくなってきちゃったり~?」 【兄】 「っ、あ……!」  真っ赤に腫れた亀頭を握りつぶすような強烈な刺激に視界が点滅す  る。 【優衣】 「クスッ、ほらほら~、指で作った輪っかでカリ首をぷちゅって  弾いて……先端だけを何度もきゅぅー、きゅぅーって  搾っちゃったら、簡単にイッちゃうわよ? くす、心の満足なんて  得られない、強制的な射精……。そんなの嫌でしょ……? ね?」  優衣の責め苦に否応なしに腰が浮いてしまう。  このままでは、幸せなんて感じない、ただの生理学的な射精へと  導かれてしまう。 【兄】 「わかった、っ……! 続けていいから……っ」 【優衣】 「くすっ。……ん、やめてあげるー」  激しく搾り上げていた手が止まった。  弓なりに反っていた背中をゆっくりとベッドの上に落とす。  やっと落ち着いて息ができる……。 【優衣】 「……こんなイかされ方、されたくないでしょ?  ん、大丈夫っ。耳たぶをはむはむするだけじゃイッちゃわないから。  ぞくぞくするだけ。心地いいぞわぞわが広がるだけ」 【優衣】 「くす、我慢我慢っ。  ……そうすれば、おちんちんだけじゃなくて、耳も頭も……。  体全体で気持ちよくなって、自然にぴゅっぴゅって射精できるから」 【優衣】 「私に任せてー、ねー? ……はむぅ……ん、んむゅ、  もむんにゅ……ちゅ、……くす。おちんちんを、一定のリズムを  保ってちゅくちゅくってするわね? ちゅくちゅく、んふっ。  ちゅくちゅくぴゅっぴゅっ♪ くすくすっ」 【優衣】 「は……、ぁぅむ……ン、ちゅ……れぇぇ……ぇぇるぅ……  んン、む……はむ、んむ……ちう、ちゅぱ……はむ、あむぁむ……」  手の動きは穏やかだが、カリ首を通る際に指をくいっと曲げてきた  りと、俺を飽きさせない。  ぬるま湯に浸る心地のまま丹念に性感を与えられ、着実に射精へと  誘われていく。 【優衣】 「ちゅ、はむっ……あむ、ン……。  耳たぶだけじゃなくて、……ぇれえぇぇ……ぇはっ♪  溝に沿っへ、上のほぅも……ぇぇ……、れるぅ……ちゅ、ぁむ……」  頭をずらして耳介の上部を咥える。  軟骨を甘噛みし、包まった部分に舌を這わしていく。  溝を掃除するように舐められる感覚に意識を囚われていると、  逸物の溝を磨かれた。 【兄】 「はっ、ぁっあ!」  二重苦に溜まらず声を漏らした。 【優衣】 「ちゅ、れりゅ、れぅ……ちゅ、はぅむ、んにょむ……れる、  ちゅぅ……はむ、ぁむン……ちう、ちゅっれぇぅぅ……ん、んン」 【優衣】 「兄さんは……耳たぶはみはみと、溝をンれぇぇるぅ……ってやるの、  くすっ、どっちが好き?」 【兄】 「は……。そんなの……」  決められるわけがない。 【優衣】 「はむ、ン……決められない? もう……決断力に欠ける人」 【優衣】 「……そんな兄さんのために、こうしましょう。  耳をはむって咥えて……はぅむ、ン……何度もかみかみっへ甘噛み  ひながら、おクひの中れ、れるぅ……ちゅ、っへ舐めるの」 【優衣】 「んふっ、優柔不断な兄さんも、これなら文句ないでしょ? んン、  れぇぇるぅ……ちゅ、れぇぇ……りゅぅ、ンむ、はむ、かみかみ…  …かじ、ぇる……ちう、ちゅっ、はむっ、ぁむ……んむ……」  耳元で行われる動作は、普段なら聴こえない音まで届く。  口を開く音。  腔内を動く舌。  空気を含んだ唾液。  下品とも取れるそれらの音が鮮烈に脳へと伝っていく。 【優衣】 「ちゅ、んっ……んはぁあ……」  熱っぽい息が吹きかけられた。  優衣の体温を宿した吐息。  図らずして、体が震えてしまう。 【優衣】 「もっとぎゅぅぅって握って? 左手、……兄さんから見たら右手か。  ちゃんと愛を感じないと、幸せな気持ちで射精できないわよ……?  ほら、ちゃんと握って? ぎゅぅぅ……って」  恋人繋ぎの右手なんて、現在の状況からすれば細やかなこと。  しかし、気を紛らわすのには適しているかもしれない。  望まれたように優衣の右手を握る。 【優衣】 「んふ……、ふふっ。よしよしっ」 【優衣】 「お返しに、私は兄さんのおちんぽを、もっと強く、ぎゅぅぅって  握ってあげるー。ぎゅぅぅ~……っ♪ くすっ、ふふふー」  おもちゃで遊ぶような嬉々とした声。  余裕をなくした俺を手中に収めるのがよほど喜ばしいのだろう。  自尊心を手懐けられた気分だ。 【優衣】 「んん~……こっちも忘れちゃダメぇ……。  はぅむ……れる、ンれぇぇ……ぇれぅ、ン……ちゅ、ちゅっ……」 【優衣】 「ん、フ……はぅ、ん……んねるぇる……んむ、もぐもぐ……もご、  む……んにぇる、りゅ、ちゅっ……ちう、ちゅ、はぷっ……んむゅ」 【優衣】 「ンれぇぇ……れるれるれろぇぇ……ンぇぇ……ちろちろ……。  んン、んっ……はむっ、ん……ん、っ……ちう、ちゅ……」  恋人繋ぎした手を引かれる。  かと思ったら、優衣の体が近寄ってくる。  繋がれた手は優衣の太腿の間に挿し込まれ、腕には胸の柔らかな  感触。  最近気付いたんだが、優衣は意外と胸があるみたいだ。 【優衣】 「ん、はぷっ、ちう、ちゅ……ん、もうちょっほ、早くふるわね……?  ん、っ……はぅ、ふ……ふは……くすっ、  大丈夫? すぐにイッちゃわない?」 【兄】 「っ、大丈夫……だっ」  威厳を保つために答えた。  だが、所詮は見栄。  お尻の筋肉に力を入れ、下腹部を凹ませることで迫りくる快楽に  抗おうとする。 【優衣】 「ん……、ん。そっか、ふふっ……男の子だもんねー?  我慢できるもんねー? んふ、ふふ……。……はぅむ、ちゅぅ、  ん、段々……、早くしていくから……ね? ぁむぅ……んれりゅぅ」  手首のスナップを利かせて、根元から先端まで丹念に搾り上げて  いく。  親指を立てると、先走りを垂らす鈴口をこね始めた。  イかせるまでの動きはなくとも、常に俺を喜ばせようという真心が  込められていた。 【優衣】 「ん、ちう……ちゅ、む……はむっ、ぁむ……んン、ん……はむ、  かむぅ……はみ、かみ……んむゅ、ンにゅ……にゅむ、ン……  ちゅれりゅぅ……んれるぅ、れぇぇ……れる……」 【優衣】 「ちゅ、ちう…………イきたいときは、『イクっ』てちゃんと言って?  兄さんの息に合わせて、弱いところをくちゅくちゅってして……、  気持ちよく、ぴゅっぴゅっ♪ ってさせてあげるから……。  イッちゃうおちんちんに合わせて、ごしごしっ♪ って動かして、  せーしを搾り出してあげるからっ……くす、ふふっ♪」 【兄】 「あぁ、っ……わかっ、た……!」  右手を握り返して意思を伝える。  呼応するように、優衣は太腿をぎゅっとすり寄せてきた。  妹の太腿の感触を味わう状況なんてなかった。 【優衣】 「ん、はむっ……ちゅ、れる……れりゅ、ぬろれろ……ん、はみ、  んむゅ……んょ、んにょむ……ン、ちう……ちゅ、んれぇぇ……  えれえれぇぇ……ちるちゅる……」 【優衣】 「ちゅ、ちる、んべぇぇ……れるれぇ……ぇはっ、ふふ。  かたぁいおちんちん……♪ んふ、きもちぃ? きもちぃ?  お耳をはむはむしてもらって、あはっ……反り返り、すごぉい……」 【優衣】 「すぅ……はぁ……。  くすっ、おちんちんのやらしぃ~匂い、  ここまで匂ってきそう……。  しゃせぇしたがってる、兄さんのおちんぽのニオイ……」 【優衣】 「……指を立てて、人差し指と親指で作った輪っかで……、  兄さんのよわぁいところ♪ クスッ、いじめちゃうー……。  んフ、ほらっ、ほらっ♪ カリ首、ぷちゅっ、ぷちゅっ♪」 【兄】 「うあっ、あっ、あ……!」 【優衣】 「んふ、あはっ……きもち? くすっ、イッちゃいそうになっても  いいから……ね? ほらほらっ、ふふっ♪ ぁぅむ……ン、ちう、  ちゅ、んフ……んねるぇる……れぇぇ……ちろちろ……ちゅぅ」  手に覚える、すべすべした程よい弾力。  二の腕に押し付けられている胸とどちらが柔らかいだろうか。  ブラジャーは身につけているだろうし、実物の胸はもっと柔らかい  のか……? 【優衣】 「ン、はぷっ、はむっ……ん、ちう……ンぇぇ……るれるぅ……。  ちゅ、んえる……れろぉ、はむちゅ、ん……んフー……フ……ふー」  そんなことを考えていると、優衣の息が外耳道に吹き付けられる。  ぞわぞわとする上体につられるように逸物に電気が走った。  前立腺が蠢く。  尿道が収縮するのがわかる。  もう後戻りはできない。 【兄】 「あっ……! イく……っ!」 【優衣】 「フー、んっ、はむっ、んみゅ……ん、ちゅ、ちゅっ……ん……んぅ?  ちぷ、……イふ? んン、む……ぷゅっぷゅっしひゃう?  ン、ぁぅむ……ちう、はぷっ、ン……んふっ、ぅん……わかっはー♪  ぁむ、ン……ちゅ、ちう……」 【優衣】 「ちゅ、むン……ちゅぷっ、ぁ……は……、ふ……。  くすっ……ん、イッて♪ イッて♪ おちんぽっ、っ♪ たまたま  に溜まった赤ちゃん、出してっ♪ っ……手、速くし、てっ……」 【優衣】 「っ、ほらっ、ほらっ♪ はぁ、っ、ピュッ、ピュッ、ピュッ♪」 【兄】 「っ、あ……ぁぁっあ!」  びゅるっ! ビューッ!! びゅぅーっ!! 【優衣】  「んっ、あっ……あ♪ とぴゅっ、ぴゅっ、クスッ、ぴゅく、  ぴゅぅーっ、ぴゅー、ぴゅぅ~……っ」  頭から足先まで逸楽に震え、精を吐き出していく。  全身からかき集められた精力を陰茎から迸らせていく感覚だ。  優衣は射精を行う逸物に顔をやり、吐出に合わせて手を動かし、  『ぴゅぅ~』と声を上げる。  視覚・感覚・聴覚と射精を促され、俺は甘えるように精液を吐いて  いく。 【優衣】 「っ、ん、はぁ……っ。ぁ……、っ……でたあ……、は……ぁ……。  んフ……ちゃーんと最後まで、んっ、っ、っと。くすっ、出たでた」  次第に勢いを失う肉棒に、残滓を搾り出そうと上下に動かす。 【兄】 「ぅ、あ……ぁっ」  微睡むような心地よさに、か細い喘ぎ声を出した。 【優衣】 「ぁ……もう、終わった? たまたまに溜まってた精子、全部出した?」 【兄】 「あぁ、出た……全部、っ……でた」 【優衣】 「うん。……んふっ、よかった。  ……兄さん、ちゃんと満足してくれた?  たまには手で優しく搾り取ってあげるのも……くす、  悪くないでしょう?」 【兄】 「……まあ、そうだな」  耳責めというオプション付きなら、手で抜くのも悪くはない。  全身に広がる射精の余韻を考慮に入れれば、  充分に満足できるプレイだ。 【優衣】 「くす……んふふー。……私の耳舐め、お気に召して?」 【兄】 「っ……い、いまはやめろ」  心地よい疲労感を湛える体に性感は苦痛に近いものがある。 【優衣】 「くす、はいはい」  笑って距離を置く。 【優衣】 「またいつか機会があれば……そのときには、また……ふふ、  耳もいじめてあげるわね? 兄さん……」