フェラ「隠れフェラ」
◆4
フェラ「フェラ2」
時計を見ると九時を過ぎていた。
自室にいてもすることがなく、
俺はリビングのソファに腰掛けてテレビを見ていた。
【優衣】
「あ、お母さん。帳簿?」
背後のダイニングから優衣の声がした。
母さんはテーブルに座ってレシートと睨めっこをしている。
【母】
「うん」
【優衣】
「ふふっ、毎年この時期は大忙しねー」
【母】
「ほんとほんと……。
毎月付けてれば苦労はしないんだけど、なかなかねえ」
【母】
「優衣は? 上にあがったんじゃないの?」
【優衣】
「私? ちょっと水を飲みにきただけ」
【母】
「ふうん」
【優衣】
「ん、あら?」
リビングの声がこちらに向いていた。
【優衣】
「どうしたの、兄さん? 今日は夜更かし?」
【兄】
「まあな」
【優衣】
「ふうん」
何食わぬようすで隣に座る。
【兄】
「今日も一緒に寝るのか?」
声を潜めて訊いた。
【優衣】
「別に。今日は一人で寝るつもりだけど、どうして?」
【兄】
「最近は入り浸りだったからな」
【優衣】
「あはは、確かに。最近は頻度が高くなっちゃってるわね」
【優衣】
「まあ、たまには一人で寝るようにしないと。
私の寝具が寂しそうにしてるし」
【兄】
「そうか……」
ただの疑問で、ただの質問。
他意はない。
だが、優衣にはそうは思えなかったようで。
【優衣】
「……残念?」
【兄】
「誰もそうは言ってない」
【優衣】
「でも、顔に書いてる」
思わず顔に触れる。
【優衣】
「嘘。本当は、兄さんの声が寂しそうに聞こえたから」
【兄】
「そりゃ空耳だな」
【優衣】
「あら? 本当に空耳かしら?」
【兄】
「あぁ、空耳だ」
【優衣】
「……そう」
つまらなさそうに顔を背けた。
【優衣】
「じゃあ、残念なのは私のほうってこと」
【兄】
「それは……」
どういうことだ、と訊きかけてやめた。
野暮な質問だ。
【兄】
「……」
テレビの音と、後ろで母さんが唸る声。
静かな日常のひと時。
そっと優衣が肩に頭を預ける。
【兄】
「……母さんが見てるぞ?」
【優衣】
「うんー? なーに、お母さんの見てるところで甘えちゃ駄目?」
【優衣】
「ちょっとくらい、いいじゃなーい?
寄り添って、肩に頭を預けてるだけだもの」
【優衣】
「別にぃ、こうやってー……んふふ」
頭を動かして頬ずりをしてくる。
【優衣】
「犬が懐くみたいに、兄さんに頬ずりをしてるわけじゃないわー」
【兄】
「してるねーか」
【優衣】
「んもー、冗談よ。
ちょっと試してみただけ、そんなに目くじら立てないで」
そう言って、わざと腕を抱いてくる。
夜になると、時たま過度に甘えてくるときがある。
昔ながらのスキンシップ。
特段、珍しい行動ではないし、優衣に変わった様子はない。
変わったのは、俺の感性のほう。
風呂上りの独特なシャンプーの香り。
今まではこの匂いで胸がわさわさし始めるなんてことはなかった。
優衣を抱き締めたくなるような衝動に駆られることなんて
一度たりとも。
【兄】
「……」
抱き締めたい。
変な意味ではない。
この衝動が望むのは、ただ抱き締めることだけ。
きっとそれだけで満足するだろう。
しかし、どうしてこんな衝動に襲われる?
理性を越えた先にある、身体自身が欲するナニか。
気持ちの揺らめきの根底にあるのは、やはり……ベッドの出来事か。
【兄】
「ちょっと。ちょっと」
【優衣】
「んー? どうしたのー兄さーん?」
【兄】
「どうでもいいけど、離れろ」
【優衣】
「はあ」
要領を得ないといった具合に頭を転がせた。
【優衣】
「……どうでもいいなら、そのお願い、聞いてあげませーんっ」
【兄】
「ガキか!」
【優衣】
「ん~……んふっ。
……んー……なによー、
そんなに遠ざけようとしなくてもいいでしょー?」
【優衣】
「学校から帰って、ご飯食べて、お風呂入って。
あとは寝るだけのオフの状態だもの、好きにさせてちょーだい」
【兄】
「言いたいことは解る」
【兄】
「だが、時と場合によるだろう」
【優衣】
「……? 時と場合ー?」
【優衣】
「……なんか最近、やけにシチュエーションに拘るようになったわね、
兄さんは。……人の目をすっごく気にしてる」
【兄】
「そうか?」
【優衣】
「そうよ」
【優衣】
「家族のスキンシップを家族に見られて何が恥ずかしいのかしら……。
本当に理解に苦しむわー」
この程度のスキンシップなら、確かに単なる仲良しな兄妹と見える
だけだろう。
だが、痛い腹を探られると困る。
それは決して切開してはならない、体内に留めておくべき腫瘍だか
らだ。
【優衣】
「……ふぅ、仕方ないわねー……」
やれやれといった具合に息を吐き、体を離した。
優衣に抱きかかえられていた腕はほんのりと温まっている。
【優衣】
「じゃあ、こうする?」
ソファの上にあった手が唐突に握られる。
【優衣】
「脚の間で、ぎゅって手を握って……ふふっ、
これならぱっと見では解らないし、兄さんもお気に召すでしょう?」
【兄】
「……あのな」
【兄】
「俺は行為自体に苦言を呈しているわけだが」
【優衣】
「んー? なーに、まだ文句あるの?
……まったく、贅沢な人だこと」
【優衣】
「……手を握ってもらうの好きなくせに、
どうしてそんな文句をつくのかしら」
【兄】
「いつ好きって言ったよ?」
【優衣】
「んぅー? くすっ、あららー、バレてないと思ってたの?」
バレる以前に、そんな事実はない。
【優衣】
「ふふっ。兄さんったら、いつも手を握ってあげると
嬉しそうにしてるじゃない」
【優衣】
「口で言わなくても、体の反応は素直だものねー?」
【兄】
「だからいつの話だ」
【優衣】
「いつの話かっていうと……それは……」
軽く言い淀んで、照れたようにはにかむ。
【優衣】
「……兄さんに、……してあげてるときの話」
【兄】
「……」
地雷を踏んだ。
まさかこんな場面で優衣の口から話題にされるとは、迂闊だった。
【優衣】
「……わざと言わそうとした?」
【兄】
「いや……、そうじゃない」
【優衣】
「……どうかしら。
兄さんってば、口で言ってもらうことに興奮するような人だから」
【兄】
「だからそういう話題は……」
【優衣】
「うん? ここでこういう話題をしてほしくないの?」
あっけらかんとした優衣の様子。
【優衣】
「んふふー、どうして?」
【兄】
「どうしてもなにも」
後ろをちらりと確認する。
目は合わない。
帳簿に集中し切りだ。
【優衣】
「お母さんがダイニングにいる場で、二人だけの話をしちゃ駄目なの?」
【兄】
「そりゃ……まあ、そうだろう」
【優衣】
「聞こえたらマズいから? ……それとも」
【優衣】
「こんなところで、おっきくさせちゃいそうだから?」
【兄】
「な――」
【優衣】
「あーっ、焦ってる焦ってる。
ふふっ、兄さんったら、相変わらず感情を隠すのがヘタね。
態度や表情でバレバレ」
【優衣】
「でも、それは隠すつもりがないっていう裏返し。
真意に気付いてほしいっていう、兄さんの暗示」
【優衣】
「興奮してることを暗に教えて、
もっともっと私にいじられたいーっていう証拠。
……でしょ?」
優衣の言葉を否定することはできる。
俺の意図しないところから表れる態度の真意を、
訂正することはできる。
でも、言おうとする口が吐息しか出さないところを思うと、
あながち間違いではないのかもしれない。
【優衣】
「否定はしない。それもまた兄さんの真意……ね」
【優衣】
「くすっ……、……どうする? もう話は切り上げる?」
【優衣】
「部屋に戻って……いつもみたいにベッドで、可愛がってもらう?」
いつになく得意顔の優衣。
沸々と沸き起こっていた欲望が、反骨心にドロついていく。
手のひらで転がしてる気分の優衣から、余裕を奪い取る……
そんなことばかりが頭をよぎる。
【優衣】
「どうする? 兄さん?」
ええい、こうなりゃ自棄だ!
【兄】
「……ここでしてくれ」
【優衣】
「は……、は? ここで、してほしいの?」
【兄】
「頼む」
【優衣】
「…………ふふっ」
呆けていたかと思うと、ふっと笑った。
【優衣】
「ふうん……。
そうやって素直にお願いしちゃう兄さんは、少し珍しいわね。
なあなあの受け身が主体なのに……今日はどうしたの?」
【兄】
「……別に」
【優衣】
「……こんなところでしたらぁ、
お母さんに見られちゃうかもしれないわよー?」
【優衣】
「それに、兄さんのって……すごく飛ぶから。
こんな開けたところでこっそりって訳には……、ね」
【兄】
「口でしれくれれば」
【優衣】
「あぁ、なるほど……。口内射精で、ね……」
呆れたように息をつく。
【優衣】
「……まったく、仕方ない人。
そこまでして私にやってもらいたいなんて……
さすがはおもちゃにも手を出した兄さんだわ」
【兄】
「……」
【優衣】
「ふふっ、睨まない睨まない」
【優衣】
「……わかった、してあげるから。
だから機嫌を直して……ゆっくりと、パジャマを下ろして……?」
【優衣】
「大丈夫。
ソファを背もたれにしてる体勢だもの。
遠くからは見えない見えない」
手を離すと、優衣は地べたにもそもそと移動する。
自分から言い出した船だ、さっそく取り出しに掛かる。
すると、その手を優衣の手が止める。
【優衣】
「あぁ……兄さんが自分で脱ぐと不自然な動きになっちゃうから、
ほら、後ろから見たら肩が変に揺れて、
もしかしたら勘繰られちゃうかもしれないでしょう?」
【優衣】
「だから私がズラしてあげる。兄さんは腰を浮かせるだけをして?」
【兄】
「あ、あぁ、わかった」
細かなところまで気を配れるところは流石だ。
優衣となら、この異常な状況下でも安心して事を進めることが
できるかもしれない。
【兄】
「じゃあ……」
両手を着いて、腰を浮かせる。
【優衣】
「ん。……はぁーい、下ろしまーす……。ん、……しょと」
優衣に脱がされた腰を下ろすと、革張りのソファがひんやりとした。
【優衣】
「くす、まだ小さいままねー」
【優衣】
「あ、もうちょっとこっちに腰をずらして?
行儀の悪い椅子の座り方をするみたいに……」
【兄】
「こうか?」
腰を優衣に向けて突き出すような恰好を取る。
【優衣】
「そうそう」
【優衣】
「んふ、これで咥えやすくなった」
開いた脚の間に優衣が割って入ってくる。
素肌を晒した太ももに左手を添えて、
ゆっくりと逸物を摘まみ上げる。
【優衣】
「わぁ……。
……くすっ、リビングのど真ん中で……
しかも、お母さんがダイニングにいる状況でさらけ出してる」
【優衣】
「異常な状況下を作ってるって、自覚してる?」
【兄】
「……わかってる」
心臓はさっきから強く波打っている。
緊張で手に汗を掻いていた。
【優衣】
「……ふふっ、でしょうねぇ」
【優衣】
「まだ何もしてないのに、目の前でどんどん大きくしてるんだもの。
異常事態に興奮してるーって丸解りよ」
硬度を増した逸物の感触を確かめるようにふにふにと指先で弄ぶ。
あぁ、始まってしまう。
同じ空間に母さんがいるのに、俺は妹と口淫に耽ってしまう。
【優衣】
「じゃあ……ゆっく~り、静か~にやっていくわよー?」
【優衣】
「あ。……ちゃんと声も堪えるのよ?
いつもみたいな、子供のような喘ぎ声を漏らしたら……くすっ」
【優衣】
「どうなっても知らないから」
【兄】
「……善処しよう」
【優衣】
「じゃあ、まずは先端のお口から……。
舌は使わないで、キスだけしていくわね?
ん……ちう」
深紅に腫れた亀頭に優衣の唇が触れる。
口を軽く尖らせてできた口唇の窪みに鈴口が見事に収まる。
伏せられた目蓋は長い睫毛を衒うようだ。
【優衣】
「ちゅ、ちゅ……ん……ちう、チュゥ……ん、フ……ん……ちゅ、
ちうちう……んー? んふ、なによーもう。
そんなにじっと見つめないで」
【兄】
「あ、すまん……」
言われて顔をテレビに向ける。
こうしたほうが後ろから見て違和感がないだろう。
優衣なら、そう指摘するかもしれない。
【優衣】
「ん、ん……ちう、ちゅ……ん……ちゅ、んフは……。
変な音を立てて勘付かれないように……ね。
ちゅ、ちゅっ……ちゅ、んん……ちゅ、ちゅっ……」
【優衣】
「ん、ふ、ぁ……真っ赤に腫れた亀頭のお肉を、ちゅ、ちゅって。
んんむ、ちゅ……ちゅ、ちゅっ……ん、フ……ちゅ、ちう」
顔の角度を変えて、亀頭肉を唇を使ってもにゅもにゅと遊ぶ。
カリの角を引っ張るように吸い付く。
耳につくほどの水音はしない。
優衣もそれなりに気をつけているようだ。
【優衣】
「ん……幹のほうも、ンむ……ちゅ、ちゅ……ちう、ちゅ、ン……。
はぅむ……ちゅ、ん……ちゅ、ちゅっ……ちうちゅ、ちゅぅ……」
【優衣】
「ちゅ、ん……んふっ、そんなにヒクつかせちゃってぇ。
まだキスだけよ? ンむ、ちゅっ……ちう、先が思いやられるわね」
先を急かすように動く逸物を指先でつつく。
状況による緊張感もあってか、陰茎に与えられる所作の一つ一つに
過敏に反応してしまう。
【兄】
「優衣……」
太腿に添えられている優衣の手に触れる。
【優衣】
「ちゅ、ちゅっ……ちゅう……ん、ん? どうしたの?」
【兄】
「……」
逸物の根元を押して、先端を優衣の唇に当てる。
【優衣】
「ん、む……」
【優衣】
「あ……先走り……。
ふふ、吸い取ってほしいの?」
【兄】
「……あぁ」
【優衣】
「ふうん……? くす、わかったっ」
小さく微笑むと、両手の指先で亀頭を摘まむ。
【優衣】
「んー。……見れば見るほど唇みたいね。
……ぱくぱく、ぱくぱくぱく。
ふふふっ、はーい、遊びません」
俺の訝しむ視線を感じたのか、笑って誤魔化した。
子供みたいな仕草も束の間、上目遣いで見つめながら陰茎に顔を
寄せる。
【優衣】
「優しくするから……はぁぅ、ンむ。
ちう、ちゅう……ん、ちゅぅぅ……ん、んン……フ。
んふ、舐め取ってあげりゅ、むぅん……んれるぅ、れりゅぅ……」
【兄】
「ぅ、あ……」
敏感な先端を熱っぽい舌で舐められ、待ってましたとばかりに
腰を逸物をビクつかせてしまう。
革張りのソファが俺の動きに合わせて軋む。
音はテレビにかき消されているだろうか。
【優衣】
「ん、れぇぇる……ンちゅ、ちゅ……んれる、れる……ちう、ン」
【優衣】
「ちゅ、ちう……んふふ♪ チンポもこの状況を愉しんでるのねー。
舌を使って、ちゅるってするだけで、ピクピクンって動いてる」
【優衣】
「今日はあまり大きな音が立てられないから、じゅるじゅるって
吸い付くのはしないわ。へぇるぅ……ん、こうひへ、
ひたで舐めぅのが限界だけど……我慢して?」
【兄】
「あぁ……わかった」
俺の返事に優しく微笑むと、再び舌を差し出す。
【優衣】
「んん……ちゅ、れる……える、れるぅ……ん、はむ……あむ、ぁむ、
ン……ちゅ、れる……れぇぇ……れるれるれろぇろ……」
舌を左右に振らせて尿道口から漏れ出す我慢汁を舐め取っていく。
【優衣】
「へるれろぇろ……ちろちろ……はぅむ、ぁむン……ちう、
ちゅン……んぇる、れろえろ……れるん、えるぅ……んちゅぅ」
【優衣】
「ちゅ、ちゅ……舌の動きをたっぷりと味わって……?
ンム、ほらあ……へるれるぅ、ン……舌の真ん中の切れ目に
裏筋を合わへて……ンれぇぇ……へれ、れぅれぇる……」
舌の生温かい感触が裏筋に当てられ、
優衣の体温を持った吐息が亀頭の周囲を纏う。
【優衣】
「ン、ひたから上へ、なぞっへ……ぇぇ……ぇ、ぁ……れぇぇ……。
ひた先で、尿道口と裏筋を往ふく……ぅ、れるぅ……れぇ、れろ」
【兄】
「あっ、そこ……っ」
上がりそうになる声をぐっと堪える。
子猫がミルクを舐めるようにチロチロと舐められていく。
【優衣】
「れろれろえろ……ぇぇ……れぇ……ぴちゃぴちゃ……、
ちゅン、ちゅ、んん……れりゅ、ぅン……れる、れろォ……」
【優衣】
「はぷ、ぅン……んんれぇぇりゅぅ……ンにゅ……む……。
裏ふじとカリのみじょを、ひたを動かひへ一緒に……、
えれえれえれ……へるれろ……ぇぇ……ぴちゃぴちょ……」
優衣は蚊が鳴くような声を出しながら舌を踊らせる。
吸い付きができない分、俺にだけ聴こえる音で愉しませようと
してくれている。
その姿はペニスにじゃれる子犬のようにも見えて、
俺は優衣の頬に手を伸ばす。
【優衣】
「はぅみゅ、んン、ん……ちゅ、ちゅっ……ちゅれぇ……。
ん、っ? んん……? ちゅ、ぷ……は……。
ふふふ……なーに? 頬、撫でたくなったの?」
【兄】
「……」
言葉は返さずに、もみ上げを掻きあげるように指を通す。
その動きに優衣はくすぐったそうな声を出す。
【優衣】
「ん、んフ……ふふっ。
……うん、撫でたいなら、好きなように撫でてて……。
嫌いじゃないから」
子猫のように手に頬擦りをする。
予期しない優衣のお返しに気が高まってくる。
【優衣】
「んふ、ふぁ……、ん……ちゅ、ちゅ……はぅむ……ちゅぅぅ……、
れる、れろ……ちゅ、ン……ぁむ、あぅ、れぇる……ちゅ、ちう」
【優衣】
「ン……ん、れるぅ……ちゅ、ちゅぴ……ちうちう、ンふ……ちゅ、
むぅ……ちゅむぁ……はむ、ちゅ……あむ、ンにゅ……むにゅ……」
優衣が陰茎を握った右手で皮を下ろす。
ぷっくりと腫れあがった亀頭の笠を唇に含む。
【優衣】
「ちゅ、ん……はぁ、カチカチ……。反り返りも、スゴぉ……」
隆起した逸物は顔から逃げるように反り返っている。
優衣は骨董品でも眺めるようなうっとりとした表情で反り具合を
見つめていた。
【優衣】
「くすくす、……反りに沿って下から……ちゅる、ぅれぇぇ……ぇぇ、
ぇぁ……裏ふじまれ来たら、くひに含んれ、ぁむ、んちゅる、
むにゅんちゅ、にゅむにゅる」
【兄】
「ぅ、っ……!」
【優衣】
「れるぅ、ちゅっ……んん♪ こぉら、声を抑えなきゃダメっ。
体をビクつかせるのも堪えて……?
ちゅ、ちう……ン、勘付かれたらどうするのー……?」
【兄】
「わかっ、てる……っ」
歯を噛みしめて声を殺しにかかる。
なるべく体の力を抜いて、刺激に反応しないようにしないと……。
【優衣】
「んン、ちゅ……ちゅぴ、……ンれるぅ、ちゅ、れぇぇ……るぅ……。
ちゅむ、ぁ……くす、うん、そうそう。澄まして、冷静に……ね?
んちゅ、ひたの動きをチンポで感じるだけを考えへ……んン、むぅ」
【優衣】
「ちゅ、ちゅっ……ちゅ、れぅ……んぇえ……ぇぁ……ぁぁ……、
ぇれ、るぅ……ちゅ、んむ……はむ、っ、ぁむ、ンむぅ……
ちう、ちゅ、ちゅっ……ん、フ……んん、ちう、ちゅむゅ、ぁ……」
優衣の艶めかしい舌の絶技に耐えようと意識すると、
吐息が乱れに乱れる。
少ない呼気だが、気をつけないと喘ぎ声も付与されかねない。
そうなれば、現場を押さえられなくとも察知されてしまうやも……。
背後から立ち上がる音がする。
【兄】
「ッ……!」
太腿に乗っていた優衣の手を握る。
【優衣】
「れぇる、ちゅ……ん、んっ?」
一旦中止のアイコンタクトを送るために優衣の顔を上げさせる。
【優衣】
「ちゅ、ぴ……んン、ん……?」
【兄】
「っ」
とろんとした優衣の顔。
ぞわりとした。
母さんがこちらに来るかもしれない今、先端を口に含んだ状態で
待機するのは危険が伴う。
それなのに、粘り気のあるドス黒い意志が行動を拒む。
唇の奥でちろちろと舐める動きに、意思がどんどん増幅していく。
優衣の唇から逸物を解放することはできない。
頼む、来ないでくれ――
【兄】
「…………」
足音。
行き先は奥のほう。
遅れて冷蔵庫が開く音がした。
【兄】
「ほっ。……大丈ぶ」
【優衣】
「んむっ、じゅずずずっ!!」
【兄】
「っ! ちょっ」
慌てて首根っこを押し上げる。
ちょっと! あなた何やってんの!?
俺の反応に嬉しそうに笑う。
【優衣】
「にひっ、ごめんなさぁーいっ」
こんな状況下でも、楽し気なこの様子。
どんなず太い神経してるんだ。
【優衣】
「ほら、妙に慌てなきゃ平気よ。どしっと構えてなさいな?
くすくすっ、ふふっ、不安そうな顔をしないで。
ごめん、もうしないから」
【兄】
「……頼むぞ、ホント」
【優衣】
「くす、わかってまーす」
ビクビクしている俺からすれば、危機感が無いように見えた。
現状、優衣は俺よりも一枚も二枚も上手だ。
生かすも殺すも優衣次第と言ったところ。
優衣を困らせてやろうと思い立った行動も、
結局、弄ばれているのは俺の方か……。
【優衣】
「ん、ちゅっ……ちゅ、らいじょーぶ……ン、怖くない怖くなーい。
れるぅ……ちゅ、ぁむ、える……んン、ちゅ、れぇぇ……んフ、
クスッ、……んー、ちゅッ♪ ちゅっ、ちゅ……」
【優衣】
「ちゅ、むン……ちゅ、れぇぇ……るぅ、ン……ひもひぃ?
んフ、ん……れる、ちゅ、ちゅぅぅ……っ、ん……んふっ、
我慢じぅたくはん出てぅ、ンはぅむ……ちゅぴ、れぇぇ……ぅ……」
裏筋を舐め上げながら感度を訊いてくる。
返事はできないから、首筋を撫でて好意的な意思を伝える。
【優衣】
「れりゅ、れろれる……ん、ふ♪
ちゅぴ……ん、む……ちゅ、はぅむ……、ちゅ、ちゅぴ……ちゅ、
れる、ンれぇぇ……ぇ、ぅ……んむゅ……」
俺にだけ聴こえる声で喉を鳴らしながら唇の粘膜で舐る。
激しさはないが、ねっとりとしたいやらしさが籠もった愛撫。
家族が後ろにいる中での行為は、たとえようのない背徳感があった。
【優衣】
「ちゅ、む……んぇ、へぇぇるぅ……ちゅぅ……んン、ちゅぴ……、
れりゅぅ、ンむ……んんむ、みゅ、ぁ……ぅむン、ちゅ、ちゅっ、
ちゅぴ……あぅみゅ、んりゅぅ……ちゅ、ンれぇぇ……」
【優衣】
「れるれろれろ……ぇぇぇれえぇ、るぅ……んン、ちゅっ。
フ、ん……ちゅ、ちゅっ……は、ぁ……ん、ンれぇぇ……、
ぴちゃぴちゃぴちゃ……れろえれろれぇぇえ……ぇぇ、ぁ……ぁー」
口を開き、伸ばした舌で鈴口を弾く。
左右に動く舌をじっと見つめてしまう。
動けば動く分だけ亀頭に性感が加えられて腰が浮いてくる。
【優衣】
「ぅ、れぇぇ……ぇ……ぁぁ……ぁ、ぅむ、ン……んちゅぅ、ちゅ、
……ん、ちゅぴ、ぁ……んン、ちゅっ、ちゅ……む、ちゅ、れりゅ
……れろ、えるぅ……ぁ、れろぉ……ぇれろれえ……」
【優衣】
「ぁむ、ムぅ……ちゅ、む……んべぇぇ……ぇはっ♪
ぁ、ぁぁ……ひたの裏がわれぇぇ……先っぽをンれるれろォ、って。
ン、はっ……れぇぇ、ぁ……ぁぁ……ぁぅむ、ン……ちゅるぅ、ぷ」
ゆったりとした顔の動きと正反対に舌がぐるぐると回る。
お淑やかさに隠れた淫靡さに興奮して背筋が反った。
【優衣】
「んちゅぅ、ちゅ、んれぇ……れりゅぅ、ンれるぅ……れるン、
ちゅ、ちゅぴっ……ん、はぅむ……あむゅ、ンにゅ……ちゅむぅ」
【優衣】
「ちゅ、ン……ンれぇぇ……ぇ……ぁぁ……ぴちゃぴちゃ……ぁ……。
れろ、えろれろォ……あ、はぁ……ぅむ、ン……ちゅ、はプっ……、
んみゅ……ん、にゅ、ぁむ……ん……」
ペニスにじゃれる優衣。
子猫の優衣の行為は甘ったるいと表現するしかなかった。
逸物から漂う淫猥な空気に中てられて発情した子猫。
慈しみを持って俺は優衣の首筋をさすった。
【母】
「――あ。優衣ー?」
ダイニングからリビングに向けての声にびくりとする。
母さんの場所から優衣の姿は見えない。
存在を確かめる意味も込めての長引いた呼びかけ。
返事をすれば、俺の膝下辺りにいることが察せられてしまう。
優衣はどうするんだろうか。
【優衣】
「ちう、ちゅ……っ、ん、……はーい?」
優衣は即座に返事をした。
【母】
「明日、お昼に帰るから、朝の内にお米を研いでセットしといてー?」
【優衣】
「ん、わかったー……ーぁぁぅむ、ちゅむ……ん、ぇぇ……れろれろ、
れぇぇ……ぇ、はぅむ……ん、ちゅぴ……ンれぇりゅぅ……」
【兄】
「っ、ぅあ……」
母さんと会話をした口でそのままペニスをしゃぶる。
日常と異常を同時進行しているような感覚。
妹と悪いことをしているという背徳感をより感じさせてくる。
【優衣】
「んむ、ン……ちゅぴ、れりゅ、ンれぇぇ……クスッ。
焦った? ふふ、私が返事をするなんて思わなかった?」
【兄】
「……まあ、な」
【優衣】
「んン、ちゅ、ちう……返事をしておかないと、
確かめに来るかもしれないでしょう?
ふふっ、ひやひやするのも醍醐味のひとつよ?」
……確かに、後ろの様子をドキドキしながら窺うスリルは、
性感を高める一つの要素かもしれない。
背後に気を取られていると逸物への甘美な刺激に否応なく
反応してしまうのだ。
かといって優衣の舌にばかり集中していると、気配に疎かになる。
忙しく気を配りながらの行為は楽しくもあった。
【優衣】
「くす、……んはぁ、あぅむ……ちゅむ、んむ……ぅ、ンれぇぇ……。
れるぅ、れぅ……れりゅぅ……んんりゅ、ぅ……あみゅ、んれりゅ
……ちゅ、はぁむ……ちゅ、ちゅっ……クスッ、ちゅ、ン……ちゅ」
裏筋にキスをすると、根元を引いて陰茎の向きを変える。
腹に向かって反っていたのを真上に向け、
優衣は少しだけ体を寄せてきた。
【優衣】
「ん、……ん、は……。……ふふっ、いっただっきまーす……」
小さく呟くと、顎を引いて顔を埋める。
【優衣】
「はぅむ、ンむ……ぁぐ、むぐ、んグ、もご……」
【兄】
「っ、優衣……それは、っ」
先端を咥え込まれて慌てた。
音に気をつけなければならない状況で腔内ピストンはマズい。
【優衣】
「ん、んぅ? んフ、だいじょーぶ。吸いあげたりひないから……。
ぅむン、ん……くぽくぽって、おクひのナカれ気持ひよふひて
あげぅだけだから……」
【優衣】
「ん、フ……ちゅうちゅう吸うより、音も控えめよ?
だから、ぅむン……安ひん、ひへ……んム、ん……ぷ……ん、ン」
見る見るうちに腫れぼったい亀頭が優衣の口の中に消えていく。
皮を下ろされて完全に剥かれたカリ首まで、
柔らかい唇が下りてくる。
空気が抜かれた狭い腔内を進み、
逸物の中腹まで来た辺りで頭が上がる。
【優衣】
「ん、っ……フ……んン……、……っ……ん、んン、も……ン……」
慣れない居場所に馴染ませるように何度か軽くピストンをして、
優衣は息を吐いた。
【優衣】
「ん、んっ……んふっ♪ んっ、ンむぉぁ……っ、はプ、ん……。
にいはんの、くぽくぽ♪ ってしながら……じぃっと目を見つめて
あげるから……兄さんも私の目をちゃんと見て……?」
言われるがままに視線を下げる。
開放感のある明るい居間でペニスを咥える優衣。
そんな姿をじっと見つめるだけで、陰茎がビクビクと反応した。
『早く終わらせないと』という焦りの気持ちと、
『もっと長く楽しみたい』という色めいた気持ち。
ない交ぜの感情に答えはなく、
俺はただ優衣に身を委ねることしかできない。
【優衣】
「ンん、ちゅ、ちゅむ……ン、んんっ、っ……。
ん……、……ン……ちゅっ……んフー……っ……んっ、フー……」
【優衣】
「んグっ……ン、っ……ふ……ンふぅ……ちゅ、ちゅる……ちゅ……。
んれるぅ、ちゅむ……ン、んんぐ……む、ゥ……ん……っ……ふ」
窪んだ頬肉で包みこまれるのは窮屈の証。
逸物にほとんどを占められた狭い腔内をぬるりと舌が動いていく。
少し動くだけで形や硬さを変える舌は飽きさせることがない。
【母】
「ねー、優衣ー」
【優衣】
「ン、む……っ? ん、ちゅ、むぐぉあ……はふ。
あー、ちょっと待っててー!
くす、今ちょっと目が離せられなくて…………ね?」
俺の目を見てニコリと微笑んだ。
共犯意識だろうか。視線を合わし、俺もつられて笑うしかなかった。
【優衣】
「ん、フ……ちゅ、ちゅむ、ぅ……はむぅ、ン……んん……、
んグ、む……ぁむぐ……んぐ、む…………っ……ん、ンっ……」
【優衣】
「ちゅむ、……っ、ン…………んフぅー……ちう、フゥ……。
……きもひぃ? ちゅ、にいはぁン……ん、ぅ……んフ、くすっ。
フ……うん、わかっへる。ちゅむ、ぅ……腰浮きっぱなしだもの」
後ろめたさ故のひそひそ話は、妙にワクワクさせる。
【優衣】
「くす、ほんとに兄さんは、……おクひピストンが弱いのねえ」
【兄】
「……お前が上手いだけだろう」
【優衣】
「えりゅぅ、ちゅ、ン……んふ? えー? 私が上手いから?
くすくす、兄さんはお世辞も覚えたのねー」
【兄】
「世辞なんかじゃ、っ」
弁解の声も、先端への口づけに飲み込んでしまう。
【優衣】
「んふ、ちゅむ、ぅ……女の子の扱いに慣れてきたのかしら?
成長ねー……恋人の代わりをしてあげてるお陰かしら、ね……」
とうに忘れ去られていた設定を持ち出してくる。
優衣の中では、それがこの関係の線引きなのかもしれない。
【優衣】
「む、ちゅっ……ちゅ、ぴ……ン。……そろそろ、速くふるわね?
あぅ、む、ぅン……、……ん、……ん、ふぅっ……っ、プっ……」
【兄】
「あっ、……ぅっ、それっ」
腔内を分け入っていく柔らかさを味わう間もなくやってくる、
強烈な吸い付き。
思わず出た声を慌てて飲み込む。
引き抜くときにわずかに聴こえる喉のくぐもった音が扇情的だ。
【優衣】
「ん、っ…………っ、っ……フっ……、ん、ンんむゥ……ン。
フー……フー……、ん……プッ……ぷっ……ぷっ……、ん……んっ」
【優衣】
「ん、むっ……チュ、ぷ……、……っ……ん、……フ、ふぅ、ン……。
ちゅ、ちゅるっ、ちゅぷっ……んン、れりゅぅ……ちゅ、ちゅっ、
ンふ、……んっ……、……ん、ム……ちゅ、ちゅるりゅぅっ」
吸い上げないと言っておきながら明らかに耳につく粘っこい音。
『咎めないと』という気持ちも、昂った心が邪魔をする。
劣情を誘う吸引に俺が意識を奪われた。
【優衣】
「ん、んンっ、ん……おっき……♪ ん、ちゅむぅ……ンぐ、っ……。
ン……もぉ、こんぁに反り返らへてっ……んンりゅ、るろぅ……、
ん、プっ……ん……んっ、亀頭も、パンパンっ……♪」
【優衣】
「ちゅむ、っふ、んふふっ……どろどろせーえきっ、
たくさん飲ませてぇ、にぃふぁ、ンん……むりゅぅ……ンにゅ、ぅ、
ん、ンっ……む、ご……っ……ん……ン、っ……ん……」
聴こえてしまう危険性を賭して射精を促してくる。
スリルは最高の興奮剤だ。
姑息な策を弄しても、もはや時間の問題。
【兄】
「ぅ、ぁ……優衣、そろそろ……」
精嚢が持ち上がる感覚と共に、
精道の奥がぐつぐつと煮え滾るように痺れてきた。
腰をソファから浮かせて、射精へのおねだりをする。
【優衣】
「んン、ん、むンぅ? ちゅ、む……ん……んぷ、ちゅ……ん……。
んん……ちゅ、ん……む……ン、む……ちゅ、ちゅぴ、ちゅ……」
愛らしく喉を鳴らしながら顔を見つめて、
震える逸物へキスを重ねる。
【優衣】
「む、んン……ん、……っ、ちゅ……ん、ぅ? ちゅる……イきほぅ?
ちう、ちゅっ、ちゅ……ンふ、リビングでぴゅっぴゅってしちゃう?
ンむちゅ、ちゅっ、ちゅっ……」
亀頭に優しく口づけを行われる。
柔らかい唇を求めてくいくいと腰が浮いてしまう。
【優衣】
「んもう……家族団らんの場で、お母さんもいるのに……
妹のおクチに射精のおもらしをするなんて……イケナイ人」
【優衣】
「ふ、ぁ……はぅ、むン……ちゅ、ンれぇりゅ……んフ、ふふっ♪
出しへいいわよ? んむゥ、ちゅ……ぷゅっ、ぴゅっ♪ って、
くすっ♪ ん、んン、あむ、ぅ……ン」
【優衣】
「んっ、っ、ぶっ……ちゅぶっ、ん……っ、ン……! む、んん……
ン、むぁ……ぷ、んっ……っ、んっ、む……んっ、ちゅ……っ!」
【兄】
「っ!! ゆ、優衣っ……音っ、抑えて……っ」
明らかに過大な水音。
これじゃバレてしまう。
優衣は何を考えてる……!
【兄】
「くっ!」
激しく動く頭を両手で押さえる。
【優衣】
「ちゅ、む……んむぐ、むっ? ん……ん、む……ぅ……。
……ちゅ、ちゅる、む……じゅる、じゅるっるる、ぢゅるぅぅっ!」
【兄】
「ちょ、ちょ……!」
頬肉を震わせて下品な吸引を行う。
冷静な頭とは別に優衣の行為に喜ぶ下半身。
快感が深まれば深まるほど射精欲に脳が支配されそうになる。
【優衣】
「ちゅむぅ……んフ、くすっ♪
にいはぁん? んン、ちゅぅぅ……っ、イッて?
おくひの中にっ、びゅーっ、びゅーってしへ? ぅむン、ちゅむぅ」
【優衣】
「んっ、ぶ……! ちゅ、んっ……ちゅ、ちゅるるる……っ、
ちゅる、むぅ、ぅン……じゅるるる、ちゅるるっるるぅっ……!」
容赦のない責め苦に俺は声を漏らして腰を突き上げた。
【兄】
「ぅっ! あぁっ!」
びゅるるっ! びゅっ! ビューッ!!
絶望に近い恐怖と、射精の快感。
頭がどうかなってしまうそうだ。
口の中で跳ね回る逸物に嬉しそうに喉を鳴らす優衣。
感情を隠すこともなく、
いつもの部屋での調子で精液を吸い上げていく。
二回、三回と吐精する。
回数を追うごとに頭の中が真っ白に染まっていく。
冷水をぶち撒かれたような感覚。
バレた。
バレてしまった。
もういくら弁明しようとも、隠し通せはしない。
【優衣】
「ちゅる、ちう……ちゅ、ん……ちゅ、ちゅっ……んン、ふ……、
ちゅるっぷ、ンはぁ……、はぁ……はフ、ふあ……は……。
……? どうしたの?」
【兄】
「どうしたもなにも……」
【優衣】
「……兄さん?」
やけに淡々としている優衣。
何かがおかしい。
一向に声が掛かってこないのも、疑問に拍車をかける。
重い頭を回す。
【兄】
「……え」
後ろには誰もいない。
いるはずの姿がどこにもなかった。
【優衣】
「ふふ、後ろには誰もいないわよ? 安心した?」
【兄】
「い、いつの間に」
【優衣】
「兄さんったら、私に夢中で周りのことなんておざなりなんだもの。
私がちょっと音を立てたら大慌て」
【優衣】
「ふふっ、見てて面白かったけど」
……確かに、優衣がストロークを速くした辺りから、
イクのを我慢しようとしていた記憶しかない。
その間に母さんは脱衣所かどこかに行ってたのか?
【兄】
「いないならいないと言ってくれ……心臓に悪い」
【優衣】
「えー? ……元はと言えば、
リビングでしようなんて言う兄さんが悪いんでしょう?
……最低なお願いをしたこと、ちゃんと理解してる?」
【兄】
「むぐ……」
そう言われると弱い。
冷静な頭になって考えると、随分と馬鹿なことをしたと思う。
優衣と行ったからこそ乗り越えられたんだろう。
反逆するためとはいえ、向こう見ずな提案はすべきじゃないな……。
【優衣】
「……まあ、こんな状況下で声を堪えながら、
苦悶の表情を浮かべる兄さんの顔が見たくて承諾した、
私も私だけど……」
視線を逸らして、バツが悪そうにしている。
【兄】
「リビングでするのは、流石にもう控えよう……」
【優衣】
「たはは、冷静になっちゃった?」
【優衣】
「でも……うん、そうね。
私も、ちょっとムキになってたところがあったかも」
【優衣】
「冷静に考えると……中々に無茶なことしたわ」
冷めた頭で自己分析を終えたのだろう。
苦笑いで頬を掻いている。
【優衣】
「刺激を求めるにしても、次はもっと低いハードルでしましょう?」
【優衣】
「じゃないと、いつか絶対に……」
優衣も、今回の自分がおかしかったことに気が付いているようだ。
異常な雰囲気に酔い、熱に浮かされたような優衣の姿。
危機管理も優衣らしからぬものだった。
スリルは簡単に感情を昂らせてくれるものだ。
だが、副作用は麻薬に近い。
身体がスリルによる快感を覚え切ってしまえば、謂わば疾患となる。
たとえ優衣と言えどもボロが出るだろう。
一度でも見つかってしまえば後はない。
関係を知られた俺たちがどうなるかなんて、想像も易くない。
【兄】
「……今まで通りで行こう」
【兄】
「やっぱり、ベッドが一番だ」
……手放したくないと思ってしまったんだから。
手放してしまうような危険を冒すなんて、愚の骨頂だ。