Track 9

素股「パンツ無」

◆9 素股2  風呂上りに歯を磨き、階段を上っていた。  誰かが下りてくる足音が聞こえて、角から優衣が出てくる。 【優衣】 「あっ……お風呂上がった?」 【兄】 「んー」 【優衣】 「そっか……」  脇を通り抜けようとする。 【優衣】 「あっ! ……あの」 【兄】 「うん?」  呼び止められて後ろを向いた。  見上げる優衣の顔は、どこかいつもと違う印象を受けた。 【優衣】 「今日……一緒に寝ても、……いい?」 【兄】 「は?」  どうしてわざわざ訊くんだろう。  いつも難癖付けて勝手に布団や部屋に入り込んでくるくせに。  俺が返事をすぐにしなかったせいか、  優衣は酷く落ち込んだような顔をする。 【優衣】 「……だめ?」 【兄】 「いや、駄目じゃないが……」  俺の返事にあからさまにほっとした表情をする。 【優衣】 「あ……そっか。……よかったぁ」  小さく安堵の声を呟いて、顔を上げる。 【優衣】 「じゃあ、先に部屋に戻ってて。  私もすぐに行くから」 【兄】 「あー、あぁ」  よくわからないまま返事をした。  なんだ今の。  表情筋のトレーニングか何かか。  なんとなく距離感を覚える態度だった。 【兄】 「んー……?」  ……  …………  ……  しばらくして、優衣がやってきた。 【優衣】 「……お待たせ」  少し息を乱れさせている。  急いで戻ってきたんだろう。 【優衣】 「あれ? レポート?」 【兄】 「ん? あぁ」  机に向かっている姿を見てのことだろう。  確かに机の上にはレジュメが散乱していた。 【優衣】 「そう……。  あ……、私のことは気にしないで?  私は先に寝てるから。兄さんは兄さんの好きなようにして?」 【兄】 「あー、うん、わかった」  なんでもかんでも優衣が決めていってしまう。  言葉の内容は気を遣っているのが窺えるものなのだが、  ……どうも変だ。  具体的にどこかっていうのか言えないんだが、  声や態度がおかしく感じる。  違和感の原因はなんだ? 【兄】 「……」  机の上を睨む。  どうも集中できそうにない。  優衣には気にするなと言われたが、好きなようにしてとも言われた。  なら、早々に切り上げても文句はなかろう。 【優衣】 「あれ? レポートはもういいの?」 【兄】 「見てただけだ。やることがあるわけじゃない」 【優衣】 「そう……。それじゃ……」  布団をめくる。 【優衣】 「来て……?」  照れたような顔で言った。 【兄】 「……」  ……やっぱりおかしい。  いつもの優衣じゃない。  夕飯のときは普通のように思ったが、  考えてみれば今日はそれほど会話をしない食事だった。  実はその時から様子がおかしかったのか。 【兄】 「電気消すぞ」  リモコンを操作して部屋の灯りを消す。  慣れた部屋は灯り無しでもある程度の行動ができる。  布団をめくり、中へもぐる。 【優衣】 「あ、壁側……。ごめんなさいっ、兄さんがこっちに」 【兄】 「だから別に壁側は特等席じゃないっちゅーに!」 【優衣】 「っ! あ、ぁ…………ごめん、なさい」 【兄】 「あ……いや、うん」  なんだこれ。 【優衣】 「じゃあ、このままで……」 【兄】 「……おう」  優衣は割と勝気な性格だ。  学校が一緒になったことはないので、  外での噂は一切聞いたことがないが……きっと内外関係ないだろう。  しかし、今日の優衣は臆病の一言に尽きた。  一般的な臆病よりはマシだろうが、  優衣にしては随分と尻込みしている。  調子が狂うな……。 【優衣】 「……」 【兄】 「……」  会話もない。  いつもなら腕に抱き付いてきているのに、  今日に限ってはそれがなくて、代わりに袖を握られている。  身体だけはぴったり寄り添っていて要領を得ない。 【優衣】 「……」  布団が動く。  股間の違和感。 【兄】 「……なに触っとんねん」 【優衣】 「……柔らかい」 【兄】 「そりゃそうでしょ……」 【優衣】 「……もみもみ」 【兄】 「……」 【優衣】 「……もみも……あ、膨らんできた」 【兄】 「……そりゃそうでしょ」  ……なんなんだ。  優衣は一体なにがしたい? 【優衣】 「えっと……、兄さん……? しても、いい?」  許可を求めてきた。  いつもの『してほしい?』とは逆のパターン。  されたことのないパターン。  なんて答えたらいいんだろう。 【優衣】 「兄さん……?」 【兄】 「あ……うん、好きなようにすればいい」 【優衣】 「あ……。んっ、ありがと」  結局ぶっきらぼうに答えるしかなかった。  優衣は体を起こすと、俺の脚の上に跨る。 【優衣】 「腰浮かせて……」  指示に従い、下着と共にパジャマを下ろされる。 【優衣】 「っ、あ……。でた……」  感嘆の息を吐いて、いとおしそうに優しくさする。 【優衣】 「じゃあ、あの……またこの前みたいに……」 【兄】 「この前?」 【優衣】 「うん。……太腿の付け根で、兄さんのをこするやつ」  素股のことだろう。 【優衣】 「……あっ、兄さんは寝ててっ。私が上で動く」 【兄】 「あ、はい」  言う通りにさせてやろう。 【優衣】 「じゃ、準備するから……」  ボトムスを脱ぐということだろう。  一度は見せたショーツ。  それでもやはり恥ずかしいのか、動きはぎこちない。 【優衣】 「……」  はたと止まる。 【兄】 「……どうした?」 【優衣】 「……枕で顔を隠してて。っ、いいからっ」  自分で持ってきた枕を掴んだ。 【兄】 「はあ……」  無造作に押し付けられた枕を言われた通り眼前に持っていく。 【優衣】 「絶対……見ないでよ? ……っ、しょ」  暗闇の外で、優衣が体を動かすことを伝えるようにベッドが軋む。  シュル……  絹が肌を擦る音。  ベッドに掛かる圧力が変わるのが分かる。  死角で行われる動作を音のみで感じるというのも新鮮だな。 【優衣】 「……ん、……いいわよ」  許可を出され、ゆっくりと枕を外した。  数十秒ぶりの優衣の姿。  パジャマは身に纏っている。  変化は見当たらない。  下に視線をやると、優衣が裾をギュッと握り下げた。 【優衣】 「っ、ちょ、ちょっと、あんまり見ないで……。  パジャマの丈、短いんだから……見えちゃうかも……」 【兄】 「見えちゃうって……」  ふと先ほどまでないものに気付いて、視線をやる。  優衣の右の生脚。  その膝に残っているのは、白色のショーツ。 【兄】 「……優衣、お前」 【優衣】 「い、いい、何も言うな。…………言わないで。  自分でも、なにしてるのか……ぅぅぅ」  問われることすら恥ずかしいのだろう。  自分の行った行為を後悔して、でも後戻りする気もない。  複雑な感情の狭間、それは赤面として表れていた。 【優衣】 「……し、ショーツの感触が特別好きってことなら、穿くけど……?」 【兄】 「……野暮だな。そのままでいい」 【兄】 「そのままがいい」 【優衣】 「っ、あ……う、うん。わかった……」 【優衣】 「じゃあ、このまま…………すぅ、はぁ……は、ぁ……。  くっつける、から……」  パジャマの裾はしっかり押さえて、  片手は俺の胸に置いてゆっくりと腰を下ろしていく。  前回は下着越しに感じていた優衣の秘部。  妹と生殖器同士をくっつけてしまう……  逸物がパジャマの裾に隠れると、ぴとりと触れた。 【優衣】 「ん、っ……ン……、はぁ……、  ぁ……く……くっつけちゃった……」  粘膜同士の接触。  見えないが、確かに感じる。  得も言われぬ感動があった。  世の恋人どもはこんなことを当たり前のようにやっているのか。 【優衣】 「動く、から……。んっ、……えい、っ」  優衣が体を反るようにして腰を前に進めた。  恐るべきことに、すでに優衣のアソコは濡れていた。  引っかかりもなくスムーズにペニスの上を滑る。 【兄】 「う、ぁっ……」  逸物には優衣のほぼ全体重がかけられている。  重いとは感じないが、ペニスは完全に優衣に押し潰される。  それでも硬度を保った陰茎はひしゃげることなく、  むしろ優衣の秘部の柔らかさに埋まり、包み込まれていた。 【優衣】 「っ、は……はっ……ふ……、ん……ンっ……ぁ、  ……はぁ……ぅ……ん、ぁ……かたぁい……っ、は……、  太さも、ぁ……やっぱり、全然ちがぅ……」  胸を突いていた手を口元に持っていき、漏れる声を堪えていた。  すでに濡れていた状況から見るに、  もう陰部の快感は覚えたのだろう。  快楽を求めて、俺の逸物に花弁を擦りつける。  腰だけを器用に動かして、  あらゆる角度からの刺激を味わおうとしていた。 【優衣】 「は、ぅ……はっ……は、ぁ…………んっ、っ……ぅ、  ふゃ、ぅ……びくびく動いてっ……ン、ぁは……にいさん……  くす、にいさぁん……」  猫撫で声で俺を呼び、無心に腰を揺らす。  陰唇の中はとにかく逸物に吸い付くようだ。  奥から愛液を分泌してお互いの快感のために作用する。  優衣の体が俺を求めていることに興奮した。 【優衣】 「ん、っ……ふぁあ……は、ぁ……はフ……ん……。  ……どう……? 良い? んフ、は……ショーツ無しの、ぅン……、  は……じかのほうが、嬉しい……?」 【兄】 「あぁ……やっぱり直接のほうがいいな」 【優衣】 「ん、んフ……は……ふ……ん、っ、ぁ……そう……。  ん、く……は、ふ……よかった」 【兄】 「優衣はどうだ?」 【優衣】 「っ、ん……え……わたし?  んン、ぅ……は……はっ…………ぅン、わたしも……きもちー……」  口角を上げながら答えた。  やっと気持ちいいと口にした。  今まで一方的に俺だけが満足する形だったが、これからは……。 【兄】 「っ……」  しかし、粘膜同士を擦り合わせるのは危険が伴う。  自制心をしっかりと持たないと、行くところまで行ってしまう。  優衣の秘処に触れること自体が感動的なんだ、  これで満足しなければ……。 【優衣】 「っふ、ふはぅ……ふ、っ……んぅ……ンは……ぁ……。  あ、ぅ……ぅ……音が、ぅぅ……でてる……っ、ンぅ……っ」 【優衣】 「は、ぅ……ぅっ……ん、くっ……これぇ、すごいえっちぃ……っ。  ん、ふぁ……、……ねっ、兄さぁん……?」  優衣の腰の動きに合わせて、ぬちゅ……ぬちっ……と。  俺と優衣から分泌された潤滑油が二人の交わりを聞こえさせてくる。  優衣も俺と同じように気持ちよさを感じて濡らしているんだ。 【優衣】 「ぅン、っ……は……あ、……ぅんンっ♪ んっ……♪  はっ……ぁ、ぁっ♪ ン……ふ……、ん……んっ……」  鳴くように短く声を上げる。  上擦る声を無理に堪えようとしないことが嬉しく思った。  喘ぎ声を隠そうとしないのは、  俺になら聞かれてもいいと信頼しているからだろう。 【優衣】 「ん、ンぁ……はぁ……、はぁ……あ……、  手……脚においてもいい?  ちょっと、この姿勢疲れちゃって……」 【兄】 「ん? いいぞ」 【優衣】 「はフ……ふ……ありがと。  ん、はぁ……っしょ、と、とと……!  ふへ、あぶない……。よっと……」  目測を誤ってそのまま倒れそうになった。  右手だけを後ろに回して俺の膝を掴んでいたが、  どうも体勢が悪いらしくパジャマを握っていた左手も動員する。  フリーになったパジャマの裾。  背中を反ると突き出された胸がパジャマを持ち上げて、  裾がすっと上がる。  裾の奥に隠れていた俺の陰茎が見えたが、  肝心の優衣の局部は見えそうで見えない。  くっ、なんたるチラリズム! 【優衣】 「はふ、はふ……ふ……、ンっ……んっ……!  あっ……これ、さっきと違うところがこすれて、っ……  ふ、ゃぁ……ぁふ、んぁ……」 【優衣】 「ふ、っ……んン……ぁ……、はぁ……はふ……んっ、ン……。  はあ……は……ぁ、えぇと……見えて、ない……?」 【兄】 「……?」 【優衣】 「ん……んぅ、両手、後ろに回して、あの……背中、反ってるし……  パジャマも押さえてないから……、えと………………あそこ。  ……見えてない……?」 【兄】 「あー……うん」  残念ながら。 【優衣】 「ん、っ……ふ……はっ……。  ……そ、そっか……はふっ、ふ……安心した……」 【優衣】 「はぁ……っ、あ……じゃ、遠慮なくっ……んっ、っ、ンッ……!  ンはっ、はっ……ふ、……っ……ンっ、……っ、んっ♪」  俺の上で腰を踊らせるようにくねらせる。  生暖かい愛液は逸物だけでなく、腰にまで広がっていた。  角度によってはお尻の柔らかさまでをも感じることができる。 【優衣】 「ン、ふぁあ……ぁっ、ぁ……は……はふ……ん、……っ……ン……  はぁぁ……兄さんのおちんちん……ビンビン、っ♪ はぁ……、  カリ首のところ、でこぼこして……ンふぁあ、すご、きもちー……」  素直に気持ちいいと言ってくれる優衣。  愛おしさがこみ上げてくる。  もっと気持ちよくさせたい。  もっと触れたい。  声を聴きたい。  暗闇の中、白く映える生脚に思わず手を伸ばした。 【優衣】 「ンふぅ……ぅ……っ、あ……」  全身が敏感になっているのか、手が触れるだけで声を漏らした。  いつ触っても飽きの来ないきめ細やかな肌。  さわさわと太腿を撫で回す。 【優衣】 「ンふっ、っ……んンっ、はぁっ……ぁ、いやぁ……っ……  あしっ……、っ……ふとももぉ、さわさわっ、ぁ……んフ、っ……」 【優衣】 「はぁっ、あ……ふぅ、ぅ……  ぞくぞくぅ、するぅ……ぅ、っ……のぉ、……ふあ、ぁっ……」  背中を反って突き出した胸を揺らして腰を動かす優衣が  艶めかしくてたまらない。  太腿に添えた手を滑らして、パジャマの下に手を差し込む。 【優衣】 「ん……あ……? ぁ……ぱじゃま……」  そのままスルスルと上げて腰を掴んだ。 【優衣】 「ンぅ、あっ……こおらぁ……」  後ろで体を支えていた手を慌てて前に持ってきて  パジャマを押さえる。 【優衣】 「ぱじゃま、ぅぅっ……あげちゃ、ゃぁ……いゃ……ゃぁ……」  それでも既に腰まで上がったパジャマは、  どんなに隠そうと引いても陰部を隠すことはできない。  露わになった優衣の局部。  両脚の間に見える申し訳程度に生えた陰毛に感動すら覚えた。 【優衣】 「んっ、むぅ……むはぁ……、っ……はふぁ……」  パジャマを下ろせないとわかるや否や、  もう片方の手を衝立代わりに持ってくる。  手をパーにして俺の下腹部に突く格好だ。  細い腕では隠せる範囲など微々たるもの。  心許ない衝立は優衣が腰を動かす度にゆらゆらと動いて、  奥で粘膜を擦れ合わせているのがチラチラと見える。  完全に隠せられていないと解ってもなお、腰を止めることはない。  腰を前後すると、チンポの存在で秘処が見え隠れする。  感覚だけでなく、視覚でも確かに  優衣の割れ目と擦れ合っているとわかる。  感動と興奮で頭にじんわりとした熱のようなものが広がった。 【優衣】 「んっ、……はぁ……見るなあ……ぁっ、見ちゃだめっ……んっ、  ぅ、ぁ、はぅ……っ、あ……やだ……どうして、っ……きもちっ♪」  見られることの羞恥心と、それによる快感。  心地良さが恥ずかしさに手助けされる感覚を優衣は知らない。 【優衣】 「は、っ……はふ、ぅ……はぅ……ん、はっ……ぁ……ぁ、ぁ……っ」  小刻みで小さな声は、  声量は大きくなくとも気持ちよさが確かに込められたもので、  聞いていてとても興奮する。  優衣も見られることの快感に気付き始めたのか、  パジャマを押さえる力が弱まってきていた。  もうここまで来たら止まらない。  次の目標に向けて、優衣の体に沿って手を上げていく。  持ち上げられるパジャマから優衣の手が落ちたところで、  俺は一気に脇のほうまで手を進めた。  パジャマはめくれ上がることなく、胸の下に引っ掛かる。  優衣のやつ、いつの間にこんなに成長して……。 【優衣】 「っ、ふあ……っ、兄さぁん……」  優衣が俺の左腕に手を添えた。  どんな意味があったのかはわからない。  抵抗するわけでも促すわけでもなく、ただ、ぐっと腕を握ってきた。 【優衣】 「……ン、は……ふ……ぁ」  じっと見つめられているのに気づく。  きっと、意志を確かめているんだろう。  本当にいいのか、と。  覚悟はあるのか、と。  この前、下着に手を掛けたときは  優衣の言葉にはっとして手を離してしまった。  今回も、きっとそういう意図があってのもの。 【優衣】 「……脱がす、の……?」 【兄】 「……優衣」 【兄】 「脱がすぞ?」 【優衣】 「ぁ……、……ぅん」  薄く笑って、こくんと頷いた。  ワンピース型のパジャマは胸下にゴムが渡っている。  ゴムの下に手を入れて、  胸の湾曲に引っ掛からないようにパジャマを上げていく。 【優衣】 「ん……っ……んくっ、ぁ……」  俺と同時に優衣も息を呑んだ。  今までパジャマの上からでしか感じられなかった、  制服のブラウスを持ち上げていた確かな膨らみがそこにあった。  夜目にも鮮やかな造形美にしばらくのあいだ見惚れていた。  つんと上を向いた乳首が可愛らしく乳房であることを主張している。 【優衣】 「はぁ……は……ふぅ……ん、…………見てる、だけ……?」 【兄】 「……綺麗だ」 【優衣】 「んっ、あっ、ありがと。  兄さんにそう言ってもらえると嬉し……って、  もう……感想じゃなくて……」 【兄】 「触るぞ?」 【優衣】 「っ、あ……。  ……うん、どうぞ。好きなだけ……触って」  下から押すように触る。  ぐにゃりと変形した。  太腿とは比べ物にならないほど柔らかい。  どこまで押しても柔らかいのが続く。  胸はスライムみたいだという形容を聞いたことがあるが、  肌の張りが強いせいかそういう印象は持たなかった。 【優衣】 「……ん…………っ、フ、はっ……ん……んんっ……」  優衣の声は感じているというよりも、  恥ずかしい感情を声で堪えているような様子だ。  甘い声ではなく、鼻を抜ける吐息が多い。  力加減がわからないが、  とにかく初めて触ると痛いと言われると聞くので丁寧に扱う。 【優衣】 「は……ふぅ……ん、は……。  …………みられてる……んぅぅ、……さわられてるぅ……」 【優衣】 「にいさんに……はぁぁ…………にいさんに……、にいさぁん……  っ、ふっ……ふぁっ、ぁっ……ぁっ、あっ……ゃ、はぁ……っ」  止まっていた腰を動かし始めた。  触られている自身の胸を見下ろして、喘ぎ声に口を歪める。  短い息の中にふんだんに甘美な音色を含ませて優衣は踊る。  二人で一緒に高みへと昇っていく。  今まで以上の圧倒的な精神的幸福感。 【優衣】 「にいさん、っ……ふ、ぁっ……ぁんっ、んぁ……はっ……はっ……、  ぁ……にいさぁ……ん、っ……ふぁ……ぁ、きもちぃのお……っ、  にいさあん……っ」 【優衣】 「はぁ……はふ、んっ……ぁあっ……ぁっ、ぁぅ……ぅあ、んっ……  ンはぁ……ぁ……ぁっ、ぁぁ……は……はフっ……ふ……」  揉むたびにつんと立った乳首が気になって仕方ない。  手の平で乳房を掬いながら、親指と人差し指で乳首を摘まんだ。 【優衣】 「ン、ふぇあ? あっ、ちくび、ふっ、んっ――あぁああっ♪」 【兄】 「っ、ちょ」  有り得ないくらいの大きさの嬌声に心臓が跳ねた。 【優衣】 「ぁ、はっ、ぁ……あ……なにぃ……いまの……」  自分の大き過ぎた声には何も言わず、  余韻にびくびく震わせる体を襲った快感の正体を気にした。 【優衣】 「はぁ、ぁ……にい、さぁ……ん……っ、もういっかい……」  屈託ない笑顔でお願いされた。  先ほど部屋に大きく響いた嬌声。  階下の両親のことを考えれば、  優衣の願いを叶えるのは愚かでしかない。  自身を取り巻く快楽に理性が消失してしまった優衣。  理非の判断ができない今、俺が理性を働かせないと。 【優衣】 「ん、ぁぁ……ちくび、ぎゅぅぅ……って……して?」 【兄】 「っ……」  ……わかっているのに。  優衣の色めいた表情に俺は指先の突起物を捏ね上げた。 【優衣】 「はぅ、っ――ぁぁあぁっ♪ あぁあっ♪ っ、んぁあっ♪」  発情し切った優衣の喘ぎ声。  首をがくがくと震わせて喘ぐ優衣の艶めかしい反応に、  理性の糸が切れた。 【優衣】 「っ、ゃあっ……! にいさっ、んんぅっ!  はっ、はぅっ……駄目っ、だめぇえっ♪ ふゃ、んっ……♪  ふあ、ぁっ……ぁっ、ぁ……ぁんっ、んン……っ!」  優衣が腰を前に突き出して亀頭が陰唇の中とキスをするたび、  そのまま中へ捻じ込みたい衝動に駆られる。  優衣の膣内へ生のチンポを挿入して、腰同士を打ち付けたい。  根元までぎちぎちの蜜壺に入れて、  体温を感じる膣壁に包まれながら子宮口へ精液をぶちまけたい。  そんな連想をしてしまう。 【優衣】 「んはっ、はっ、はっ……っ♪ ぅっ、んンっ……にいっ、さんっ、  ンッ、っ、……あっ、それ……♪ きもちっ……きもちっ……、  乳首ぃぃ……きもちぃの、ぉっ……♪」  でも、それは叶うことのない幻想。  あってはならない妄想。  ぐっと堪えて、想像による興奮を味わう。  考えるだけは罪じゃない。  優衣の純潔を奪うのだけはしてはならない。  愛しいからこそ、穢してはならないんだ。  エゴだと他人から罵られても、  兄として最後の要だけは守り通さなければ。 【優衣】 「ぅあ、は……はぅ、ぅっ……ふ、……兄さんもー……っ、  こうっ? こうっ? ンはぁ……ふぅぁ……どう、きもちっ?」 【兄】 「ぅあっ、優衣……っ」  俺に快感を与えようとより大胆に腰をうねらせる。  完全に俺は優衣の体の虜になっていた。 【優衣】 「ん、ふぁは……もっと、っ、っふ、ふはぁっ……♪  腰をぐりぐりぃ、押し付けてえ、ぁっ……これっ、  私も、きもちぃー……っ♪」 【優衣】 「んっ、はぁふ……もっとっ、んっ……!  もっとっ、ぁ、もっとっ……く、ふあ……、  くいっ、んひ、くいっくいっ……ンはぁ……は、ぁっ……」  陰部を使って俺の逸物を圧縮するように刺激してくる。  腰を前に進めるたびに先端が軽く割れ目にハマる感覚に、  背筋の震えが限界にきた。 【兄】 「ゆ、いっ……もう、イクっ!」 【優衣】 「んっ、っ、へぇあ? ぁふ、はぁ……んく、っ……イク?  ふふぇへ、イク? イクっ? ンふぅぁ……ぅンっ、うんっうんっ!  イッて? へぅ、ぁ……らしてぇ……ぴゅぅっぴゅぅぅってえ……」 【優衣】 「っ、ふ、はっぅ……早くっ、ぅっ……っ、  もうっ、わたしもっ……もたな、ぁっ……ふっ!  ンっ、っ……ン、んっ!」  軽く痙攣するように小刻みに擦り付け始めた。  優衣も俺のチンポで達してしまう――  そのかわいらしい様子は俺をイかせるのに充分だった。 【兄】 「っ――ぁぁあっ!!」  せり上がってくる感覚に身を任せ、優衣の乳首をこね上げた。 【優衣】 「フっ、はぅっふ、ぐ……むっ、んン……っ!  ふぎゅっ、ンっ、んんぅっぅ、んンんんん~~~っっ……!!」  びゅるるっ!! びゅーっ! びゅくっ、びゅぅーっ! 【優衣】 「んンっ! っ、っ……ンっぅ! っ……ンふぁはっ……!  っ、ふは、ぁっ……はっ、ぁ……ぁ、……はっ……はっ……は……」  優衣のナカにぶちまける想像をしながら射精を行う。  同じく絶頂に体を痙攣させる優衣の姿に、  逸物が喜ぶように脈動して快感が深まっていく。 【優衣】 「っ、んはぁ……は……出たあ……。  はぁ……、イった……いっは……はぁは……はふ……ぁ……」  余韻に浸るようにしっとりと呟いた。  理性のタガが外れた中での射精。  情欲に塗れた雰囲気に飲まれ、前後を忘れるほどの意識状態。  がくがくと震えていた優衣がこちらにくずおれる。 【優衣】 「――っ、あ……」  咄嗟についた両手も絶頂の余韻が消えていない。  乱れた息を吐きながらぼんやりとした目が俺を見つめる。 【優衣】 「はぁ……はぁ、んっ……はぁ……、っ……にいさん……」  目の前にいる優衣の顔。  瞳は俺の目を見つめる。  その視線がふっと顔の下を確かめ、頭が近づいてくる。  何を求めているのは即座に察せられた。 【優衣】 「はぁ……は……、んっ、んフ……、……はぁ……」  どう、する……?  このまま、してもいいのか?  優衣と……妹と、……キスなんて……。  ――下を向いていた優衣の瞳が、俺の目に向く。 【優衣】 「は、ぁ……。  …………ぁ、ぁっ、っっ!」  はっとした顔をして、体を離した。 【優衣】 「あ、っ、ぁ、あのっ……っ……ご……ごめんなさい」  何故か謝られた。 【優衣】 「ごめんなさい……」 【兄】 「おい……? なんで謝ってるんだ?」 【優衣】 「私……私は、……」  優衣は謝るばかりで理由を口にしようとはしなかった。