ドラマパート
//本編開始
(内気な少女的な声質)
おはようございます、ご主人様
ガチャガチャ(鎖の音
ご主人様、なにを慌てているんですか?
ここは何処ですって?何で鎖で繋がれてるかのか?
もちろんここはご主人様のお屋敷ですよ、ご主人様はご存知ないかもしれませんが
このお屋敷にはこういった隠し部屋が沢山あるんですよ、そして、ご主人様を繋いだのは私です。
なぜ、私がこんなことをするのかって?
我慢できなかったんです…
ご主人様と、許婚であるお嬢様との結婚式が嫌だったんです……
最初は我慢したつもりでした、私は平民の娘、ご主人様はこの町の領主様、身分が違いすぎます。
それにご主人様の許婚のお嬢様は、とてもお優しく、平民である私とも仲良くしてくれました。
私が逆立ちしたって敵いません、本当に素敵なカップルだと思いました…
だけど、お二人が仲睦まじい様子を見てて思ったんです…
なんで、あそこにいるのが私じゃないだろうって…
どうして、私は平民に生まれたんだろうって…
どうして、ご主人様は貴族に生まれたんだろう…
どうしたら、私がご主人様と一緒になれるのかなって
私なりに考えたんです。一生懸命考えたんです
そして思いついたのです。私とご主人様だけがいる世界
たった二人だけの世界…
そんな世界があれば幸せになれるはずだって
すこし汚くて狭いけど、ここにいるのは私とご主人様だけ
私の望む小さな幸せ…
ねぇご主人様、素敵だと思いませんか?
がちゃがちゃ(鎖の音)
鎖を解いて欲しい?それはダメですよご主人様、
まだここは二人だけの世界じゃないんですから、
ご主人様の頭の中にはお嬢様の事や、外の世界の事が一杯詰まってるじゃないですか。
それを全部忘れて、私の事だけ思ってくれるまではその鎖は外せません
大丈夫ですご主人様。ちゃんと全部を忘れられるように私も一生懸命頑張りますから。
それじゃあ、目をつぶって下さい。
何で、ですか?
本当は目をえぐり出して、外の世界の事はもう、何も見えないようにしたいんです。
でも、大好きなご主人様の目を潰すなんて、できれば私、したくないんです。
だから、目、つぶって下さいますね?
やっぱりご主人様はやさしいですね。
こんな私の言葉にも素直に従ってくれるなんて…とっても嬉しいです。
さあ…これでご主人様は何も見えなくなりました。
ねえ?ご主人様。
この地下室には私達だけしか居ないんです。
私の声しか、聞こえない…
私の声だけしか、聞こえない…
ご主人様の世界にはもう、私の声しか…ないんです。
だから、私の声だけを聞いてください。
私の声にだけ意識を向けてください。
ご主人様の心を私の声で一杯にしてください…