Track 2

02_初めてのコスプレ

■初めてのコスプレ :イベント当日。 :コスプレ衣装に身を包んだ後輩は、 :会場の様子に辟易としながらも淡々と売り子をこなす。 :ところが、多くのオタクが自分に食いついてくる様子を受けて、 :少しずつ彼女の中でコスプレへの興味が増していく……。 …はい、新刊1部ですね。 500円になりま~す。 ええ、そちらの既刊は400円です。 あわせて900円いただきます。 こちらを2部ですね。 ありがとうござますー。 (少し間を置く) …はあ。 想像はしていましたけど…それ以上です。 会場に充満する淀んだ空気。 溢れかえるほどのオタクの皆さん。 漂ってくるニオイ。 五感全部にストレスですよ、これ。 ホント早く終わって欲しいです…。 (少し間を置く) …えっ? この衣装ですか…? あっ、ええ、そうですね♪ そのゲームのキャラクターなんですよ♪ 多分…。 …そ、そんなに似合ってます? あはは、あ、ありがとうございます♪ (少し間を置く) …写真を撮らせて欲しい? わたしの…ですか? う、う~んと…どうしよっかな。 じゃあ…あちらの撮影スペースで少しだけなら。 先輩、ちょっとだけ売り子抜けますね。 (少し間を置く) ごめんなさい、戻りました♪ えっ、なにか機嫌が良さそうって? ふふっ、そうですねえ。 ああやって褒められるのは悪くないです。 そっかあ…元ネタとか全然知りませんけど、 わたしのコスプレ姿って意外と悪くないんですね。 本を買いに来る人も、カメラを持っている人も。 わたしのこと無茶苦茶チラ見してるんですもん。 隠してるつもりでも、視線でバレバレなんですよねえ…♪ くすっ…コスプレかあ。 まあ、たまにはこういうのも楽しいかもしれません…♪ ふふっ…ふふふっ♪