04_諦めきれずに…
■諦めきれずに…。
:手酷くフラれたものの、それでも後輩に思いを寄せる聞き手。
:しかし、自分に熱を上げるその様子を見て
:彼女はとんでもない提案を持ち掛けてくる――。
なんですかぁ、先輩。
わざわざ校舎裏に呼び出したりして。
ふふっ、なんか随分思い詰めた顔してますよ?
(少し間を置く)
…わたしのことが諦めきれない?
せめて専属の売り子として、
自分のサークルに関わって欲しい…ですか?
…くすっ。
あはははっ…♪
へーえ…そうなんだ。
先輩って、そんなにわたしのコトが
好きだったんですね。
そっかそっか。
好きだった女の子が、せっかくコスプレっていう
馴染みある趣味に目覚めたんですもんね。
ばっさりフラれても、なんとか接点だけは
作っておきたいってコトですか…♪
ふふっ、どうしようかなぁ~。
(少し間を置く)
ん~…んんん…。
やっぱ…
"ダメ"
です♪
考えたんですけど、先輩のお手伝いをする
メリットって大して無いですし…。
わたしが好きなのはコスプレなのでえ、
売り子するのもメンドイです…♪
…まあ、でも。
代わりに"他の何か"があれば。
接点くらいは残してあげてもイイんですよ?
わたしの言いたいコト、分かりますか…先輩。
(少し間を置く)
ふふっ、オタクな先輩には難しかったか。
だからぁ、わたしと仲良くしたければ
"メリット"が必要なんです…♪
…ああ、そういえば。
この前の新刊、わたしが売り子を頑張ったお陰で
かなり売れ行きが良かったんですよね?
そこそこ潤ってるんじゃないですかぁ…?
ふふふっ…♪
わたしが何を言いたいか、
そろそろ察してもらえました?
(少し間を置く)
そうです…"お・か・ね"、です…♪
いま、お財布持ってますよね。
…ほら、まずはお財布の中身を
わたしに見せてください…♪
(少し間を置く)
なんですかぁ、拒否するんですか。
まあ、別にいいですけどね。
そしたら先輩にはマジで用ナシです。
…くすっ。
耳元で、そ~っと現実を囁いてあげましょうか?
カドを立てないように我慢してたんですが…。
わたしぃ、先輩のコト。
ず~~~っと、ず~~~っと…。
"うざい"
って思ってました…♪
カレシでも無いのに馴れ馴れしいし、
ノリもとっても気持ち悪い♪
最初に売り子を頼まれたときも、
心底キモくて嫌だったんですよ?
先輩はぁ、そんなわたしの本心を知りもせずに。
勝手に脈ありかも…とか勘違いして、
一人で舞い上がっちゃってたんですね♪
ふふっ…ふふふっ♪
いいですかぁ、先輩。
よぉく聞いてください。
先輩は"キモいんです"♪
男性として見ちゃうと、
"平均よりもかなり下"。
むしろ下から数えた方が早いくらい♪
しかも筋金入りのオタクだなんて。
よくそれでわたしに言い寄りましたねえ?
身の程知らずにもほどがあります。
…だ・か・らぁ。
そんな先輩からメリットを見つけようと思ったら、
もうお金しか残ってないじゃないですか~♪
…ね、いいでしょ?
可愛い可愛い後輩のために、
お財布を広げて見せてください…。
さあ…っ♪
(少し間を置く)
くすっ…やっぱり。
割と持ってるじゃないですか、先輩。
これなら仲良くするメリットはありそうです♪
そうそう、それで次のイベントにも
参加されるんでしたよね。
じゃあ…イベントが終わったあと
ホテルでアフターしませんか?
ふふっ、もちろん集金が待っているんですけど♪
でも…お金でわたしを喜ばせてくれたら、
"イイコト"をしてもらえるかも?
なのでえ、頑張って本を売って
稼いできてください。
ファイトですよぉ、せ~んぱい♪
ふふふっ…。