03
フェラチオというのは、男性器を口で愛撫する方法。
キスしたり、舐めたり、咥えてしゃぶる……何故そんなことをしなければならないのか。
そんな不潔な行為に何の意味があるのか。
私にはわからなかったし、わかりたくもなかった……けど、今は違う。
愛する男性のペニスを気持ち良くしてあげたい。
それを膣に挿入する前に……後でもいいらしいけど、今は先にする。
いわゆる前戯としての行為。
やはりセックスには愛がないと駄目なんだな、と強く思う。
彼の雄々しい男性器を見れば、気分が悪くなるどころか興奮するし、汚いなんて少しも思わない。
だから私は、彼に教えられるままフェラチオを始めた。
少し生臭くてしょっぱい。
我慢汁の味なのだろう。
もしかすると、愛液も同じような味なのかもしれないけど、自分の味を確認しようとは思わなかった。
それよりもフェラチオだ。
彼のペニスは両手で握れるほど大きいので、根元の方を優しく掴んで、先っぽにキスをする。
ペニスはまるで何かのレバーのようで、根元を押さえていないとユラユラした。
握っている手で擦りながら、舐めたり咥えたりして欲しいと言われたけど、何をどう擦ればいいのかわからない。
悩んでいると、彼は私の手を包み込み、その手を上下に揺すり始めた。
なるほど、擦るというのはこういうことらしい。
何度か擦って感覚を掴もうとするけど、手が睾丸に当たってしまったりして彼を苦しめてしまった。
でも彼は怒ることなく、手での愛撫を求め続ける。
もちろん、フェラチオも。
……擦りながら舐めるというのは結構難しい。
まるで、右手で丸を書きながら、左手で四角を書くかのよう。
それでもやり続けられたのは、彼が喜んでくれるから。
ペニスを扱くと気持ちいいようで、甘い吐息を漏らしてくれる。
これまで聴いたことのない彼の喘ぎに興奮して、もっともっと気持ち良くなって欲しいからと扱きまくる。
そして、フェラチオも忘れずに。
手で扱きながら、ペニスの先っぽに舌を這わせる。
我慢汁はオシッコをする穴から出ていた。
手で扱くと、まるで絞られたかのように透明の粘液が溢れ出る。
飲んでも大丈夫とのことなので、遠慮なく啜った。
キスして、唾を飲むのと大差ない。
すぐに味にも慣れて、自分のツバで薄めて飲めるようになった。
けど、舐めるだけでは物足りない。
ペニスの先っぽ……亀頭を咥え込むといいようだ。
彼も、咥えて欲しいと言ってきたので、口を大きく開けてペニスを食べてみる。
もちろん、歯は立てないよう気を付ける。
けど、彼のペニスは大きいので、すぐにあごが痛くなってしまった。
亀頭が上あごに当たると、オエッとなってしまうのも辛い。
半分も咥えたら、喉に刺さってしまいそうで怖い。
それでも、クンニをしてくれた分はお返ししてあげたかった。
息が詰まるのを我慢して、ペニスを咥え込んでいく。
口をすぼめつつ吸って欲しいと言われたので、そうしてみる。
口内全体にペニスが当たり、ビクンビクンとした脈動が舌の上に感じられた。
鼻で息をしつつ、ゆっくりと飲み込んでいく。
ふと思い出して、手での愛撫も追加すると、強く喘いでくれた。
ちゃんと気持ちよがってくれている。
それが嬉しくて、いっぱい擦る。
これ以上、口の中には入らないので、入れられる限界の所まで咥えて、口をすぼめた。
舌を動かすと、より気持ちいいとのこと。
手だけでなく、口の中でも擦ると気持ちいいというわけだ。
なるほど、これは擬似的なセックスなのかもしれない。
口の中を膣代わりにしているのね……それがわかれば、やり方もわかる。
膣に挿入したペニスは前後に擦り、出し入れする。
気持ち良さが達すれば、射精する。
口でも同じことができるのだろう……ということは、口の中で射精するということか。
大丈夫かな?
私は射精を膣内で感じたことはあるけど、見たことはない。
もちろん口の中に射精されたこともないので、どのくらいの勢いで噴き出て、どれほどの量の精液が出るのかもわからない。
もしくは、前戯では射精しないだろうか……私は強い羞恥心を覚えつつ、彼に尋ねてみた。
私の口の中で射精する?
と……彼はとても照れて、とても嬉しそうに悩み……する、と答えた。
射精するとなれば、かなり激しく擦らないといけないだろう。
夫はいつも、思いきり腰を振って膣内を擦りまくる。
夫のペニスは彼のモノほど大きくはないけど、やることは大差ないだろう。
私は意を決して、もう一度ペニスを咥え込んだ。
歯が当たらないように注意しつつも、強く吸って、中ほどまで挿入する。
口を膣に見立てて、顔を前後させて口内でペニスを擦り付けた。
吸い込む力加減、抜く時の吐息……舌の上にペニスを載せ、上あごや左右の頬に上手く当たるよう気を配る。
それでも、ペニスの半分しか口の中に入れられないから、手での愛撫も忘れない。
長いペニスの根元の方は、両手で握って扱きあげる。
睾丸に手がぶつかると痛いようだから、無茶苦茶な擦り付けにならないように注意する。
しばらくの間、私は夢中になってフェラと愛撫を繰り返す。
ジュルジュルと卑猥な水音が溢れ出すけど、先ほどの自分の喘ぎ声に比べれば可愛いものだ。
それに、彼の喘ぎ声が可愛くて、性欲をいや増してくれる。
もしかすると、彼もこんな気分で、クンニをしてくれていたのかもしれない。
彼の喘ぎ声が早くなり、強くなる。
もう少し、と言うからもう少し強く吸って、扱いた。
どのくらいの時間が過ぎただろう……頬が疲れ、あごの痛みが限界に近くなった時、彼が叫んだ。
出る……もう出る、と。
それが射精のことを言ってるのは辛うじてわかったけど、何か特別なことをするのかどうかはわからない。
だから、ただフェラと愛撫を続けた……。
そして、彼は腰を引いて、私の口からペニスを引き抜いた。
私の目の前で自らペニスを握り、何度か擦る……そこで初めて私の名前を呼び捨てにして、顔に向かって精液を噴き出した。
ビューッと音がしそうなほどの勢いで、頬に生温かい精液が当たる。
私は呆然として、それを見るだけ。
大量の精液が顔にかかり、頬を伝ってこぼれ落ちる。
首筋にツーッと伝うそれは、
温かいような冷たいような……ふんわりと香る潮の匂いが精液のものだとわかった。
夫のものとも大差はない。
ただ、その匂いに対して愛しさを覚えるかどうかでは、差は歴然としていた。