02
んん……す~~、く~~……ふにゃふにゃ、んん、んす~~、んく~~……すやすや、んん……んう?
んにゅ~~……
あれぇ?
なんだかモゾモゾする……けど、気持ちいい~。
むにゅむにゅ、んん……フワフワして、ムニャムニャして、あったかぁい……んん、むにゅ。
ん、んん……あぁん。
んん?
あれぇ?
お帰りなさぁい……あっふ、ふわぁあ~~。
早かったのね。
今日は遅くなるって言ってなかった?
だから、まだいいかな~と思ってお昼寝を……メール入れてくれたの?
あら、ごめんなさい。
気付かなかったわ……あぁ~ん。
ごめんなさいってば~……はーい、お詫びのチュウ。
ん~っちゅ♪
さて、それじゃお夕飯の支度を……あ、いっけない。
お買い物行こうと思ってたんだわ。
あぁ、大丈夫大丈夫。
ご近所さんも、もう慣れたわよ。
お母さん、元々若作りだったから、少しくらい若返ってもお化粧のせいって思われてるわよ。
背丈もさほど変わってないしね。
それに、胸の大きさだって大差ないでしょ?
あぁでも、やっぱり若い乳房は色艶が違うわ。
お母さん、毎日お風呂に入るのが楽しくてしょうがない……え?
あぁはいはい、お買い物ね。
一緒に行ってくれるの?
ありがとう、それじゃすぐに支度するわね。
若いと、ちょっと外出るのにいちいちお化粧しなくていいから楽だわ~。
お母さん、若返って良かったかも~♪
うーん、今日は風が強いわね。
髪、縛ってくれば良かった……っとっとっと!
あぁごめんなさい、よろけちゃった。
え、腕組みするの?
わーい、優しい~……ふふふ、がし~っと。
そういえば、腕組みするの久しぶり?
最近、一緒に外出することって少なかったものね。
あ……ちょうど下校時間だから、学生さんが多いわね。
それに、カップルも大勢いて凄~い。
最近の学生さんたちは腕組みして歩くのも当たり前なのね。
お母さんが制服を着てた頃には、そんな恥ずかしいことできなかったわ……今はもちろん平気ね。
もちろん、あなたとなら……。
そうだ!
昔の学生服、まだ残ってたはずだから探してみようっと。
おばさんの時だったら問題だけど、今の私が着れば、コスプレじゃないわよね?
ね?
ふふっ、楽しみにしててね。
じゃーん!
これがお母さんの通ってた学校の制服でーっす!
保存状態、完璧。
まさか、この歳になってまた着られるなんて思ってもいなかったわ~。
どうどう?
可愛くない?
ふふふ、制服って不思議ね。
着ているだけで、本当に学生に戻った気分……入学式のこと、教室で授業を受けていた時の席順、お昼休みにみんなで食べたお弁当……そして卒業式まで。
いろんなことが思い出せるわ。
まるで、つい昨日卒業したみたいな気分。
……あとは、はいコレ。
あなたも着てみて?
捨てたりしないわよ。
あなたのものは全部、大切なんだからね。
ほらほら、ちゃんとクリーニングにも出したんだから……あぁ、いいわ。
大人になっていくあなたを見るのはとても嬉しいことだけど、やっぱり学生の頃っていうのは心に染みるわね。
私がこの制服を着ていた頃はまだ、結婚とか出産とか、何も考えていない……夢物語だったわね。
え?
えぇそうよ。
お父さんに会うのは、もっとずっと後のこと……えぇ?
イヤだ♪
学生の頃には誰とも交際してなかったわ。
お父さんが最初で、ずっとお父さん一筋よ♪
お母さんウブだったから、交際も結婚も、全部お父さん任せで……やだもう、何言わせるのよ~。
あぁ、そういえば……あなたは、お父さんによく似てきたわね。
でも、やっぱり違う。
似てるけど別人ね……ふふふ、そんなこと当たり前なんだけど。
ほ~ら、こうして腕を組んで~。
このまま外を歩いていたら、今どきのカップルの出来上がり~!
お父さんと出会う前の私……もし今、本当に学生のままであなたに出会っていたら……私は、あなたに恋をするのかな。
だって、大好きだもの。
どんなに大勢の中からでも、あなたのことを見つけ出す自信があるわ。
そして愛してるって言ってあげる。
あなたが子供の頃から、大人になっても……きっとね。