12話目 BB弾は愛を撃ち抜いて
[休日の昼前の街を歩く二人]
なんというか、オタクっぽい街だから親近感は持てるよな。
私たちと方向性があってるかは別にしても。
パッと見た感じでも、ゲームセンターとかカラオケとか結構多いなってわかるし、そういう街なんだろうな。
でも、そういうのは向こう(家の方)にもあるし、せっかくならこういう街でしかできないことをしたいなと思って、今日の予定を組んだんだ。
えっと、確かこの辺りだった気がしたんだが……ちょっと地図で確認するぞ。
えっと……ん……(スマホの地図アプリで位置を確認する少女)
ああ、そうだ。この道の、もうひとつ曲がったところだったな。
[シューティングレンジに入ったふたり]
なるほど、中はこんな感じなんだな。
※昨日は偵察で外から覗いただけだったんだが、思ったよりも広い……
(レンタルのエアガンを持ってくる主人公)
お、お前はその銃にしたのか。
私はこれだ。(小さめのエアガンを見せる少女)
なんだか変わった形で面白いし、他のよりも小さいから私にはちょうどいいかと思ってな。
ふふ。驚いたか?こういうとこに連れてこられて。
シューティングレンジ、というんだっけか。
覚えてるか?この前やってた、サバゲをテーマにしたアニメ。
※FPSとかも触る程度だがプレイはするし、実は前々から気になってたんだよ。
この街はこういうお店が多いなっていうのは、昨日歩いてて気づいてたし、うちの周りにはあまりないからな。
せっかくだから今のうちに触れてみようかなって。
えっと……あの的に当てればいいんだよな。
セーフティを解除して、狙いを定めて……
(軽くトリガーを引くと、勢いよくBB弾が出る)
わっ……
ふむふむ、なるほどな……こんな感じなのか……
思ったよりも反動というか、衝撃みたいなのはないんだな。少し大げさに構えてしまったよ。
だが、意外と弾が速くて、どこに飛んでったのかよくわからんな。
(もう数発撃って見る少女)
ん……ふむ……
(1発が標的の空き缶に当たる)
あ、当たったかも。
なるほど、見えなくても音でわかるんだな。ふーむ。
しかし、エアガンって結構重いんだな。
こんなの担いで動き回ってたら一瞬でバテてしまいそうだ。
あ、お前も撃って見たいだろ?ほら、遠慮するな。
(少女のエアガンよりも派手な音を立てる主人公の選んだ銃に驚く)
うおぉ……それは結構迫力があるんだな。もしや銃によっても作りが違うんだな?
ふむ……奥が深い……
だが、全然当たってないみたいだぞ。ふふふ。
(近くに用意されているターゲット用の紙を見つける少女)
あ、もしかして、ここに置いてある紙って、照準を調整するためのやつじゃないか?
確かに、これならどこに当たったのか一目瞭然だな。
だが、どうやって使うんだろ……
向こうまで置きに行くわけにもいかなそうだし……
(主「ここに挟んで向こうにやるんじゃない?」)
(ターゲット用の紙を挟んで奥の方に送り出す仕組みがある)
あ、こいつに挟んで向こうに送ればいいのか。なるほど、
(高い位置にあるその仕組に背伸びするが全然届いてない少女)
ん……全然届かんな。お前、頼む。
(スイッチを操作し、ターゲットシートをレンジの奥に送る主人公)
よし、ではこれで大体どの辺りに飛ぶのかがわかるな。
じゃあお先に……
(ターゲットシートに向けて数発撃つ少女)
ん……音はしたから当たってはいるんだろうが、ここからだと流石に見えないか……
(目を細める少女に「目、悪かったっけ」と主人公)
ん……確かに、前よりは目、悪くなったかもな。
あまりこうやって遠くを眺めることがないから気づかなかったが……
(主「コンタクトレンズにする?」)
ん~……でも、コンタクトってちょっと怖くないか?
だって、眼球にあんな薄っぺらいものを入れるんだろう?
何かの間違いで目の裏に入ってしまったらって想像すると……
それに、寝る前にわざわざ外しに行くのも面倒だ。
ゲームやってて寝落ちするのは最高に気持ちいいからな……ふふ。
それだったら、メガネの方がいいのかな……うーん。
(主「今度一緒にメガネを見に行こうよ」)
……ああ、そうだな。お前が一緒なら、眼鏡屋だろうがどこだろうが、怖くないもんな。
それに、お前の顔、遠くからでももっとはっきりと見たい。
じゃあ、今度暇な時にでも、お願いするよ。
[しばらく遊んだあと、利用時間終了直前]
あ、そろそろ時間みたいだな。少し弾が残ってしまったが、腕の方が限界だしちょうどいいか。
結構楽しませてもらったよ。ふふふ。
思ったよりもよかった。いつか実際にサバゲーに出向くのもありかもしれないな。
(主「機会があれば一緒に行こうか」)
ああそのときは是非、一緒に戦おうな。
それじゃ片付けて、これ返して、次に行こうか。
(主「次はどこに連れてってくれるの?」)
ああ、次はちょっと戻って、駅の方に行くぞ。