13話目 小さな頃から好きなもの
[少女の好きなキャラクターの展覧会に来たふたり]
うおー……す、すごい……(感動してる少女)
(主「好きだもんね、このキャラ」)
ああ、このキャラクター、小さい頃からずっと大好きでな。
よく文房具やシールを集めてたんだ。
(主「部屋にもおいてあるよね」)
ああ、パソコンの上に置いてあるだろ?あのぬいぐるみのキャラクターだよ。
実は昨日駅でポスターを見かけるまで、ここで展覧会をやってるの知らなかったんだが、見つけてしまったからには行くしかないよな、と。
だが……普段店先やなんかで見るのとは全然違うな……
まるでこの世界の中に迷い込んだみたいだ……
(グッズで歴史をたどるコーナーに置いてある文房具を見つける少女)
あ、このノート、使ってたな……懐かしい……
こうやって、最初期からのグッズが並んでると、時代を感じさせられるよな。
この頃はこういうデザインだったなーとか、こういう雰囲気のが流行ってたなーとか。
……この頃は、まだ家族が居たんだよな。
……ふふ、遠い昔の話か。
(少し寂しそうな表情を見せる少女の手を強めに握る主人公)
ん……今のは別にそういうつもりで言ったんじゃないさ。そんなに強く手、握ってくれなくても大丈夫だ。
それに、今はこうやって大好きなお前と、大好きなキャラクターに囲まれてる。
辛くなったりするわけないだろ。むしろ、興奮してちょっと変なテンションになってるよ。
だが、嬉しかったよ。
そうだよな。今はお前という家族がいるんだもんな。ふふふ。
あ、向こうに原画コーナーがあるらしいぞ!
商品になったイラストしか見たことないし、ぜひ見ておかねばな……!
[しばらく色々と見た後、出口に向かうふたり]
はふぅ……良かった……
こういうのは初めてだったんだが、こんなにも圧倒されるものなんだな……
しかし、都会人は常にこんないい思いをしているのか……ぐぬぬ……
人が多いのは好きじゃないが、こういうものを見せられてしまうと都会に対する評価も改めねばなるまいな……
(主「こっから先は物販みたいだね」)
ん?ああ、そうか、物販もあるんだな。てっきりもう終わりだと思っていたよ。
こうやって出口付近に店を構えて、高まったテンションで衝動買いさせる作戦だな……上手いじゃないか……
ん……んぅ……(何か買って欲しいけどなかなか言えない)
(主「何か欲しいのある?」)
ん、ぁ…………ああ。あるにはあるが……いいのか?
「多少贅沢してもいい」とは聞いたが、こういうお金の掛け方はまたちょっと違うからな。
(主「限定品とかあるだろうし、あまり高くなければ」)
そうか……ふふ。やはり持つべきものは理解者だな。ありがたいよ。
だったら、そうだな……会場限定の、このマスコットにしよう。
(主「それでいい?」)
ああ、これがいい。
あまり大きなのにしても、これからいろんなとこに行くのに荷物になってしまうしな。
これなら、カバンにつけられるサイズだし、なによりこれがラスイチのようだ。
運命の巡り合わせだよ。だったら拾って帰るのが正解だろう?
うむ。では、会計は頼んだぞ。
[カバンにさっきのマスコットをつけてご機嫌な少女と街を歩いている]
んふふ……本当に良かった……まだドキドキしてる……
(主「そういえばごはんは?」)
ん?なんだ、お前。もうお腹すいてきたのか?
私は、朝しっかりと食べたからな。まだすいてはいないが……そうだな……
甘いものくらいなら入るかもしれない。
だったら、あそこに行ってみよう。
(近くにあったメイドカフェを指差し)
いかにもこの街っぽくて、いいとは思わないか?
予定にこそ入れてはいなかったが、前々から興味はあったんだよな。
(主「いいんじゃない」)
うむ。では参ろう。