14話目 あなたのハートに
[メイドカフェに入って料理を出された後のふたり]
萌え萌えキュン……か。ふふ……ああも真面目にやってくれると、ちょっと面白いな。
だが、彼女が言うにはこれでとっても美味しくなったらしいぞ?ふふふ……
メイドカフェとか言うの、昨日歩き回ってる中でも何件もあって、この街ではやっぱりこう言うのがメインコンテンツなのかなと思ってな。
私だけだと絶対に入れないし、お前もこう言うの、嫌いではないかなと思ったんだよ。
しかし、最初は面を食らってしまったが、この空気感に慣れてくるとそれなりに普通の飲食店ではあるのかなって感じ……んふふ。
一部ガチ勢みたいな客もいるような気がするが、今日は見なかったことにしておこうか。
……そういえば、なんだかこういうところはイコールオムライスっていうイメージあるよな。
ふふ、ケチャップでかわいく顔なんか描いて……本当によくできたエンターテイメントだ。
私のパフェも、うさぎっぽく耳が付いてて可愛い……
(オムライスを食べてる主人公)
味はどうだ?おいしいか?
(主「普通」)
んふふ……まあそうだろうな。別に、料理の味で売ってるわけじゃないんだし、
それよりも、雰囲気づくりや演出なんかに力を注いだ方が映えるもんな。
私も……ふふ。萌え萌えパワーで美味しくなったうさちゃんの顔を……(顔を模したアイスクリームにスプーンを沈め、掬いとる)
あむ……んむ……(アイスを頬張る少女)
んふ……まあ、アイスクリームだし、甘くておいしいよ。
悪くないよな。こういうのは大体工場で作ってるんだろうし、そんなに味もぶれなくて。
あむ、んむ……んふふ……
(主人公が背の低い店員に目を奪われてることに気づく少女)
ん……お前、どこを見てるんだ?私はここだぞ。(少しわざとらしく不機嫌そうに)
全くお前は……
確かにあのメイドさん、背が低くて目立ってるし、目を奪われるのもわかるんだがな……
あまりそうやってあからさまにされると、目の前にいる私の立つ瀬がないぞ。
それとも、私がお前をご主人様扱いすれば気がすむか?
ふふ……お前だけの「小さくてかわいい恋人」が目の前にいるのにな。
それに……んむ、ちゅ……(主人公に顔を寄せ、軽くキスをする少女。結構恥ずかしい)
メイドさんはこういうこと、させてくれないだろ?
(主「嬉しいけど人、見てるよ」)
う、うるさい……!私だって恥ずかしいんだよ……
だが、なんだか悔しくなってしまってな……んむぅ……
私、意外と嫉妬深いのかもしれないな。
だが、私の世界にはお前しかいないんだから、あまり私を寂しがらせるようなこと……するなよな?
(主「ん、わかった」)
ん……わかればいいんだ。
それよりも、そのオムライス、私にも一口くれないか?
(「あーん」をしてあげる主人公)
ん……くれとは言ったがこれも少々恥ずかしいな……
あ~……ぁむ。
んむんむ……むぎゅ……
んふふ……確かに。もう少し味は薄くてもいいかもな。
私も随分舌が肥えてしまってるようだな。お前に鍛えられたか?
だが、私の好みは「お前の味」に他ならないからな。
拾われるまでは長い間ちゃんとしたもの食べられてなかったから、いいものばかり食べさせてもらって、本当に幸せだよ。
衣食住、全部が幸せなんだ……おそらく、以前と比べなくてもな。
だから、多少は私も恩返し、しないととは思っているんだ。
だが、これがなかなか難しい……
言ってくれれば、時々はお前専属のメイドさんにでもなってやるから、だから……
(主「無理しなくても大丈夫だよ」)
ん……いや、別に無理はしてないよ。ただ、何をすればいいのか、よくわからないんだ。
なんでも自分でやってしまえるお前に、一体何をしてやれば喜んでもらえるのか、な。
少しずつでいいから、教えて欲しい……私にもできること、お前の喜んでくれること……
ずっと「お嬢様」じゃいられないの、わかってるからな……ん……
んふふ……すまんな、せっかくの空気が台無しだ。
だが、お前が私を変な気分にさせるからいけないんだぞ……全く……
ほら、気分を取り直して、今を楽しもうじゃないか。な?