第4話 私の居る理由
[家に帰ってきて玄関のポストに何か入ってるのに気づく少女]
あ、お前。ポストに何か入ってるぞ。
年末年始だというのに、配達員の人たちは大変だな。
ん……?この差出人……そうかそうか、なるほどな。
これは同人誌だな。となると、冬コミの新刊か?
そういえば、お前はコミケというのには行かないのか?
(主「君と一緒にいる方が幸せだからいいよ」)
ん……そうか。まあ、欲しいものがあれば、それこそこれみたいに通販で買えたりするしな。
だが、私と一緒に居たいって言ってもらえるのは嬉しいが……あまり私に気遣って自分のしたいことが疎かになるようではダメだぞ?
私も昔は「インドア最高ー、家から一歩も出たくないぞー」という考えだったが、
お前と一緒なら、外の世界に出るというのも悪くないと、最近はそう思っているんだ。
お前に、そう思えるようにしてもらったからな。
だから……お前が嫌じゃなければ、そのうち私も一緒に連れてって欲しい。
私だって全く興味がないわけじゃないんだし、一人じゃ怖くて行けなくても、お前となら……な。
ふふ……
それで、どんな本を買ったんだ?
(主「え?見せなくちゃダメ」)
あ、いや。別に見せたくないなら強制はしないんだが……
お前が一体どういうのを好むのか……なんとなくは分かっているんだが、興味があってな。
きっとお前のことだ。どちらかというとソフトで、かわいい系のが好きなんだろ?
お前のそういう癖にはあまり詳しくはないが、結構そういうのを好んでる印象を、いつもお前にしたりされたりの中で感じてるよ。
(渋々封を開け、中の本を見せる主人公)
ほら、やっぱりな。絵柄とデザイン、タイトルからして甘々系だっていうのがわかる……
それに、あのアイドルゲームのキャラか……
かわいいよな。私もリズムゲームの方はやってるし、小さくて可愛くて、お前の好みだろうなって、目に入るたびに思ってしまうよ。
一貫性があるのはいいことだとは思うが、なんだか複雑な気分……
ゲームのキャラとはいえ、私の上位互換みたいなものだしな。
ちいさくて、いつも働きたくないと言ってる割りには仕事も頑張るし、見た目の割にしっかりいろんなことを考えてるし……
その点私は……んむ……
もうちょっとな……私にもなにかできるといいんだが……
得意なことはゲームくらいだし、好きなものもゲームと、美味しいものと、お前……くらいか?
現状のスキルだと、アイドルは無理だし、お前のお嫁さんにでもなるしかないな。
ふふ……ちゃんとできるかな……お嫁さん。(少しプレッシャーを感じてる)
(主「できるよ」)
そうか?……お前に信頼してもらえているのなら、私は何にだってなれそうだよ。
……そこまで言うのなら、このままずっと責任持って、私を養ってくれよな……んふふ……
しかし純愛か……タイトルにするにはいい言葉だが、私には少々痛い言葉だな。
だって、お前の家に転がり込んで来たのだって、あんな毎日から抜け出したいって思いが少なからずあったからなわけだし……
確かに好き……ではあったが、そういう意味では下心もなかったとは言えないわけで……
(主「僕だって、こんなちいさくてかわいい子が恋人だったらいいなって思いはあったよ」)
ん……そうか。お前も似たようなものなんだな。よかった……
そうだよな。恋愛なんてものは下心から始まるくらいが丁度いいんだよ。
何も求めない、何も与えないで愛しあうなんて、私には遠い世界の話に感じる。
住むところもご飯も世話してもらって、この前みたいにちょっとした旅に連れてってもらったり……
毎日毎日、こうやって好きって伝えてくれるし……
私はお前に貰ってばかりだな……いっつも、いつも……
それなのに、お前は私を捨てないでくれるし、それどころか、一層強く愛してくれる……
全くお前は……私をどう調教するつもりなんだよ……本当に……ん……
でも……そうだな……今は、時々そんな昔があったことすら忘れて、幸せで満ちた毎日を送れてる……
毎日の中に、癒しがあって、愛があって、お前がいて……
そんな中で交わすものは、ある意味での純愛ではあるのかもしれない。
多少過積載気味ではあるが……そこは私が強くなるしかないからな。
お前の愛に応えられるよう……できることから頑張るよ。
(自然と顔を近づけ、キスを交わす)
ん……ちゅ、ちゅむ……んむ……ちゅ……ちゅぷ……
ふふ……愛してる……愛しているよ……ん……